「のんびり or あくせく。」

「粋な夜電波」は最終回までカウントダウン、ラスト3。
OMSBとMoeさんを迎えて、最後の「ホーリー・ヒップホップ・アワー」。
久しぶりに集まった御三方の近況報告トークを文字起こししてみました。

Fourth Dimensional Rocketships Going Up

Fourth Dimensional Rocketships Going Up

RAP PHENOMENON

RAP PHENOMENON

N/K はい、どうも。「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。今週はですね、最後の「4H」、「Holy Hip-Hop Hour」ということで、非常に懐かしい感じですけども(笑)。SIMI LABのOMSB’Eats、そしてMoe and ghotsのMoeさんのお二人を迎えてお送りしております。よろしくお願いします。
OMSBMoe よろしくお願いします。
N/K 懐かしいですね。
OMSB だいぶ(笑)。
Moe この空気も〜。ねえ。
OMSB ジングルとか…うお〜っ!とかなって。
Moe そうそうそう。記憶がなんかよみがえって…ああーっ!
OMSB (笑)。
N/K 久しぶりですよね。
OMSB だいぶ。
Moe めっちゃ久しぶりです〜。
OMSB 1年以上ですか。
N/K ん?…1年以上じゃないかなあ。
Moe あっ!…そうか、最後のやつ、私が欠席させてもらって、代わりに漢さんが…来たんですよね。
N/K そうそうそう。
Moe そうですよね。
OMSB そうだ。
N/K だからMoeさんとやるのは、もう2年ぶりぐらいです。
Moe それぐらい…そうなんです。
OMSB そんな気はしなかったッスけどね。全然。
Moe ねえ。
N/K なんとなくはね。ただ、まあ…久しぶり感もハンパなかったですけどね。
OMSBMoe (笑)。
N/K まあ、なんでしょう…こんなことギョーカイ人みたいで一番言いたくないんですけど、「最近どうよ?」っていう。
OMSBMoe (笑)。
N/K 最近どうなんですか?…お二人は。OMSBは。
OMSB うーん。
N/K ちょっと…デカくなりましたね(笑)。
OMSB デカくなりました(笑)。
Moe ちょっとね、ちょっと。
OMSB ていうのも、ちょっとやってた仕事…っていうか、辞めてから…次またちょっと探してるんですけど、仕事。
N/K うん。
OMSB 探してるっていうか、決まってはいるんですけど。その間ずっと、お菓子食い…メシ食い。
N/K (笑)。
OMSB 曲を作り、映画を観…ってやってて。
N/K まあまあ。話だけ聞くとね、優雅な創作生活(笑)。
Moe そうそうそう。
OMSB ただ、だいぶ…「やっちゃってんな!」っていう感じはあるんで。はい。どんどん肥えていってます(笑)。
N/K なるほど。それはソロアルバムを制作中?
OMSB そうですね。ソロをちょっと…ずっと。
N/K 最近もうSUMMIT凄いもんね。
OMSB 頑張ってますねえ、みんな。もう、凄いな〜って(笑)。
N/K 凄いよ。
Moe 「凄いな〜。」って。「凄いな〜。」って思ってるの?(笑)。
OMSB 「みんなスゲエな!」って、ほんとに思ってる。
N/K 駅行ったら、BIMくんとReebokの広告がバーンッ!ってあってさ。
OMSB (笑)。
Moe ああ〜、リーボック…。
N/K うおお〜!みたいなさ。
OMSB 結構、バコーン!となってますよね。
N/K ねえ。PUNPEEさんもガンガン行ってるしね。
OMSB うん。
N/K 今日、レーベルオーナーもいらっしゃってますけど。…ホクホクでしょう?(笑)。
OMSB (笑)。
N/K どうなんだかって感じですけどね。Moeさんは、もう最近は…こういう…あのね、お便りがきておりますですよ。
Moe あら。


(メールを読んで)


N/K ま、これもあれですよね…最初はね、「日本語ラップ特集」って言ってたのよね。
Moe そうでした。
N/K そう。そいで、「もう日本語の枠、取ろう。」っつって、「Holy Hip-Hop Hour」って名前に変えて。
Moe 「4H」…はい。
N/K 詰めたらね…詰めたらっていうか、合算したらね…3年ぐらいやってますよ。3〜4年やってるよね。
OMSB ああ〜。
N/K 最後あたりで、韓流のヒップホップ…韓国ヒップホップと融合したり。
Moe しました、しました。
N/K したよね。ヴィヴィアンさん来て。
OMSB はいはい。
N/K 「韓流最高会議」っていうコーナーが別にあるんだけど、そっから一人来て、合流したりして…なんだかんだでね。で、しばらくやんないな…って間に、番組が打ち切りになったって感じですけど(笑)。
Moe おお〜(泣)。
OMSB (笑)。
N/K はい。メール戻りますが…


(メールを読んで)


N/K Moeさん、この…全く音沙汰無い?
Moe そうですね。だから…前回の活動が、菊地さんに呼ばれた…多分「4H」か、その後のソロぐらいだったんですけど。
N/K はいはい。
Moe そっから2年ぶり…もう、パッタリと(笑)。今回、私…2年ぶりに菊地さんに召喚されて来た低級霊みたいな感じなんですけど(笑)。
N/K いやいや。何ていうか…この御時世に2年間も姿を消せるってこと自体がね。
OMSB (笑)。
N/K 奇跡の…別にどっかに隠遁されてたわけじゃないですよね。
Moe いやいや違う…。
N/K 普通に暮らされてた…
Moe そうです。毎日生きてたんですけど。
N/K はい。
Moe うーん。だから、ほんと…菊地さんしか憶えてないんじゃないですかね。私の…Moe and ghostsのことを。
N/K いやいや、そんなことないでしょう(笑)。
OMSB そんなことは全く無いと思うよ。
Moe (笑)。
N/K 空間現代とやったアルバムをね、紹介して…。
Moe あ、そうそう。あれ、もう2年以上前とか。
OMSB あれですら?
Moe そう。
OMSB ええ〜。
Moe そうなんですよ。
OMSB 早いな〜。
N/K それ言ったら、SIMI LABって何年出してないの?
OMSB (笑)。
Moe あれ?…でもライブをしてますよね。
N/K ライブやってる。ライブやってる。
OMSB でも、まあ…5年ぐらい出してないです。SIMI LAB自体は。
N/K 自体はね。
Moe あ、そんなもんか〜。
OMSB はい。いや…そんな経ってんの(笑)。
Moe あ、でもさっきのオムスじゃないけど、私も仕事を辞めて。
OMSB はい。
Moe 実は今東京に住んでないんですよ。
N/K ああ、なるほど。
Moe で、何百キロぐらい離れた関西のほうに引っ越したんですね、私。
OMSB はいはいはい。
Moe …たんですけど、で…ほんとはそこでゆっくりできたらいいんですけど、またなんかあくせくしてて(笑)。
N/K 田舎に行ったら行ったで…。
Moe 田舎に行ったら行ったで、あくせくしてますねえ。行ったら行ったで(笑)。
OMSB (笑)。
Moe なんか…人生って、そんなもんなんだなあ…って。なんか(笑)。
N/K めちゃめちゃリアルですね、それって。
Moe リアルですよ〜(笑)。
N/K ねえ。田舎に行ったら、のんびりできるっていうのは、ファンタジーですよね。
Moe 違います、違います〜。
OMSB 幻想だったんですね〜。
Moe そうそうそう(笑)。
N/K 東京でものんびりしてる人いるしね。
OMSB (笑)。
Moe そうなんです。結局「その人」なんですよ〜。…と思いました。
N/K なるほど。田舎に行かれて、で…あくせくされて(笑)。
Moe あくせくされて(笑)。
N/K じゃ、もう活動どころじゃなかったですね。
Moe そうなんです。あ、でもね…1曲だけ作ったんですけど。
N/K なるほど。それって、ひょっとすると今日聞けたりするの?
Moe そうそうそう。かけさせてもらおうかな…と思って。はい。
N/K えーと、どうしようかな。それ、早速聞こうかな。今日、曲順も決めてないからな。
OMSB (笑)。
N/K もうちょっと後からにしましょうか。
Moe わかりました。
N/K なるほど。へえ〜、そうですか。じゃ、Moeさんは今、東京都民ではないという。
Moe 違いまーす。
N/K あら〜。差し支えなければ、北南…東西南北で言うと?
Moe はいはい。関西の…京都の北部に住んでます。
N/K ああ、なるほど。じゃあ何ていうか…里帰りされたというような。
Moe そうですね。Moe and ghostsのトラックと二人で離れて住んでたんですけど、そっちに引っ越したんです。私が。
N/K ああ〜なるほど。
OMSB なるほど。
Moe そうそうそう。
N/K そして、Moe and ghostsのビートの方と…そっちに移動したけども、作品は作っていないっていう(笑)。
Moe 作ってない(笑)。
N/K 合流して休んでるわけですからね。
OMSB (笑)。
Moe (笑)。
N/K 合流して休んでるのすごいですね。
OMSB そりゃすごい。
Moe まずは体をね、休めて…はい。
N/K なるほどね。
OMSB えっと…ユージーン・カイムさんでしたっけ。
Moe そうそう。ユージーン・カイム。はい。
N/K 天才ですよね。
Moe いやいやいや…私以上に謎の(笑)。
N/K なるほど…そうですか。まあ、ワタシもね…ジャズドミュニスターズ、微妙に…一昨年ぐらいにアルバムが出た後、何もやってないですけど(笑)。
Moe おお〜。
N/K あ、ライブやってるから。大谷くんがライブ好きだから。
Moe (笑)。
N/K 大谷くんはね、今…「谷王」って名前になったの。
Moe (笑)。
OMSB 最高ですよね、最高!(笑)。
N/K 谷の王様…って書いて、「谷王」!
Moe 谷王?
OMSB (笑)。
N/K とにかく、あらゆるラップのイントロで「Call Me 谷王! 谷王!」って。
Moe 今普及してるとこなんですね、「谷王」(笑)。
N/K そうそうそう(笑)。谷王、谷王…うるさいですけどね。
OMSB (笑)。
N/K 最近は…聞いてる?…チャンス・ザ・ラッパーとか、聞いてる?
OMSB あ、聞いてます聞いてます。
N/K 聞くは聞いてるんだ。
OMSB 俺、すげえ…その辺、アンチというか。
N/K うん。
OMSB 「ちょ、チャレーな。」みたいな感じになってたんですけど…
Moe あ、そうなんや。
OMSB 最近、結構…そういうのしか聞いてないッス。
N/K オーバーグラウンダー
Moe うんうんうん。
OMSB オーバーグラウンダー…トラップみたいなものは、すごい…
N/K トラップ聞いてるんだ、普通に。
OMSB 聞いてます。
N/K トラップ聞いてんだ!
OMSB あんだけ言ってたのに…みたいな、ぐらい(笑)。
N/K (笑)。
OMSB 吐いた唾飲みまくりの…(笑)。
N/K 最近は…そうだなあ…、ヒップホップはトラップになっちゃったもんね。
OMSB うん。でも、いいの…やっぱいっぱいあるしな〜と思って。
N/K いや、いっぱいあるよね(笑)。Moeさんは全然聞いてないですか。
Moe 私はでもチャンス・ザ・ラッパーは聞きました。
OMSB うん。
Moe うんうん。で、好きですね。
N/K 日本…ジャパニーズ・ヒップホップ界はどうですか。
Moe …は、どうなんですか。
OMSB …は、でも…だいぶ面白い人が増えたなって感じは、なんか。
N/K だよね。
Moe ふーん。
OMSB そういう中にも、やっぱ個性的っていうか、やっぱりツボ押しまくってるっていうのが、すげえ見えるなっていうか。
N/K うん。
OMSB むしろなんか…ラップスキル以前に、キャラクターとなんか…パンチ力っていう。
Moe ふーん。
N/K こんなこと言うとさ、上からみたいに聞こえるけど…やっぱり「フリースタイル・ダンジョン」の影響は大きいよね。
OMSB ああ〜。
N/K あれによって、アンチの人も乗っかってきた人も含めて…
OMSB うんうん。
N/K 右派も左派も、いっぱい出て来たという感じ…ではありますよね。特に日本はね。
OMSB そうッスね。


Think Good

Think Good


Cupid & Bataille, Dirty Microphone

Cupid & Bataille, Dirty Microphone

「スパンクハッピーの大パンです!」

「粋な夜電波」も残すところあと4回!
今週はFINAL SPANK HAPPYのお二人をゲストに迎え、ODがシリアスなコントにも挑戦。
スパンクハッピーのパンです!」という人が現れた時の話をしたところを文字起こししてみました。

夏の天才

夏の天才

Double Rift

Double Rift

(「パンを食べながらライブを楽しむ文化があってもいいんじゃないか。」というメールを読んで。)
OD うん。ありがとうございます。
菊地 うん。
OD ま、フランスパンはちょっと食べながらっていうのは難しいですけど、柔らかいパンだったらね。ぜひ。
菊地 うん。
OD クロワッサンとかだったら、いいかもしれないですね。ライブ…食べながら。
菊地 あの…ワンパン・ライブ…いいんじゃないの?
OD うん。いいかもしんないです。
菊地 ねえ。
OD あ、そういえば…あれでした。
菊地 喉が乾くって問題だけね。
OD 確かに。ドリンク…牛乳とか、何か一緒に飲まないといけないですね。
菊地 牛乳とかね。給食みたいですけどね(笑)。
OD (笑)。そう。最近インスタライブでも話したんですけど。
菊地 うん。
OD あの…BOSSとですね、食事をしてたらですね。
菊地 はいはい。
OD スパンクハッピーの…ファンです。」多分、言ったんだと思うんですけど。
菊地 うん。
OD スパンクハッピーパンです!」って話しかけてきた人がいたと思って(笑)。
菊地 (笑)。
OD すごいビックリしたんですね。
菊地 あん時…BOSSから聞いたけど、ヤバかったみたいね。
OD そうですね。突然…
菊地 いろんな…人に聞かれちゃいけないような話を…
OD (笑)。
菊地 まさか知り合いが…知り合いっていうか、「パン」の方がね。
OD パンの方がいらっしゃるとは。
菊地 近隣のテーブルにいるとは知らずに、言いたい放題、お互いに言ってたら。隣のテーブルの人が立ち上がって、こっちにやって来たんで、何かと思ったら、「あの…すいません。私、スパンクハッピーのパンなんです!」。
OD そう(笑)。「…パンなの?」って(笑)。
菊地 「パンです!」って言ったっていうね。
OD 「パンです!」って聞こえて…(笑)。
菊地 「あ、そうですか。ありがとうございます。」ってBOSSが言ったら、「パンです!」って言ったっていうね。
OD (笑)。
菊地 そこが「パンです!」って聞こえたことに、ずーっと笑ってたでしょ。
OD もうずーっと(笑)。
菊地 真剣なファンの人がね(笑)…「写真撮ってもいいですか?」とか言ってる間も、ずーっと「パンです!」って聞こえたことが可笑しくて笑っていたっていう。
OD 可笑しくて。うーん。
菊地 ヤバかったですね、あの時ね。
OD そうですね。やっぱり。
菊地 「パンです」発言。
OD そう。
菊地 ちなみにね、K-POP…韓国語では、ファンのことを「ペン」って言うんですよ。
OD うん。似てるじゃないスか。
菊地 似てるよね。だから…もういいんじゃない?…スパンクハッピーのファンの方は…「パン」だって。
OD 「パンです。」って言っていただいてね。
菊地 「私…パンです。」っていう(笑)。
OD そう(笑)。突然「パンです。」って…言っていただいて(笑)。
菊地 うん。じゃ、「パン」でいきましょう。これからは。
OD うん。そうですね。
菊地 「大パンです!」とかね。
OD あ、「大パン」…なんかカッコいいですね。
菊地 「大パンです。」って。
OD 「昔からのパンです。」とか言って。
菊地 そうそう。「昔からのパンです。」とかね。
OD (笑)。
菊地 そう。もう…何ていうかな…追っかけの…「パンの追っかけ」(笑)。
OD 「パンの追っかけ」って、おかしい(笑)。
菊地 (笑)。「大パン」いいですよね。
OD ねえ。
菊地 「大パンです!」って。
OD 「昔から大パンなんです!」って。
菊地 いいですね。
OD うん。いいじゃないスか。
菊地 え〜…じゃあ、そうですね。「ヌードモデル」って曲ですね。
OD はい。
菊地 こちらも…まだこれでも完成形じゃないですよね。もうちょっと詞をブラッシュアップしようとか。
OD そうですね。
菊地 歌ももう少しちゃんと入れ直そうとか、なんとか言ってるとこですよね。
OD レコーディングに向けて、いろいろブラッシュアップしますが。はい。
菊地 とはいえ、今ライブで披露しているのは、これだということで。
OD はい。
菊地 前回来た時よりも、さらに完成した形ですよね。
OD はい、そうです。
菊地 じゃ、ワタシ紹介しましょう。FINAL SPANK HAPPYで…これ、まだタイトルも(仮)ですけどね。
OD はい。
菊地 ちなみに、これ「ヌードモデル」ってのはあれでしょ?…画学校とか、美大とか。
OD 画学校?…あ、絵の学校ですね。はいはい。
菊地 絵の学校ね。うん。美大とかのヌードモデル…いわゆる撮影会とかじゃなくて、みんなが油絵を描いてる。ぐるっと回ってね。
OD うんうん。
菊地 そのヌードモデルのバイトをやってる女の子の話ですね。
OD うん。

菊地成孔の粋な夜電波 シーズン6-8 前口上とコントの爛熟期篇

菊地成孔の粋な夜電波 シーズン6-8 前口上とコントの爛熟期篇

「筒井先生のオークション。」

「粋な夜電波」も残すところあと5回にして、ついに菊地さんが憧れてやまない筒井康隆先生が番組に御出演。
番組本に影響されて書かれたという短編の一部を朗読され、トークも盛り上がって、まさに神回となりました。
番組前半の「筒井康隆展」でのオークションについて語られた部分を文字起こししてみました。

文學界2018年3月号

文學界2018年3月号

菊地 はい、どうも。「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。今週は、小説家そして俳優、そして愛煙家の筒井康隆先生をお迎えしております。よろしくお願いします。
筒井 はい。宜しくお願いします。
菊地 えーとですね、何と申しましょうか…私、筒井先生と二人でイベントをするのが、生まれてから今日が3回目でして。
筒井 ああ、そう。
菊地 ええ。1回目は、あの…筒井先生も記憶が無いぐらい昔の(笑)…「時をかける少女」がアニメになった時
筒井 あ…。憶えてない、憶えてないです。
菊地 憶えてないですよね。僕もひと言も喋んなかった記憶があるんですけど。緊張して(笑)。
筒井 (笑)。
菊地 で、2回目が先日の世田谷文学館ということなんですけども。
筒井 ああ…わざわざどうも、ありがとうございました。
菊地 とんでもないです、とんでもないです。もう本当はですね、ひと言も喋れないぐらい緊張しているんですけど、ラジオだと放送事故になってしまいますので(笑)。
筒井 うん。
菊地 なんて言うか…無理やり喋ってる感じなんですけども。それほど緊張しております。


(メールを読んで)


菊地 相当ありがたいことになってますけど、先生。
筒井 いやいや…ありがたいですな。
菊地 番組はお聞きになったこと無いんですよね。
筒井 無いんです。それが…あなたの著書ですね、この「粋な夜電波」というのを。
菊地 本のほうをお読みいただいて。
筒井 そう。第1巻目…もうじき2巻目が出るそうですけどね。
菊地 ええ。これは出たばっかりの2巻目ですね。はい。
筒井 1巻目を読ませていただいて。ビックリ仰天しましてね。
菊地 ああ〜、そうですか。
筒井 これは喋ってるまま…字になってるわけでしょう。
菊地 そうです。
筒井 それができるってのが、もう…羨ましいというか。
菊地 (笑)。
筒井 理想ですよ、これは。
菊地 そうですかね。ま、僕が書き起こしたんじゃないですけどね。
筒井 うん。まあまあ、多少はね。多少はやってるだろうけども、しかし凄いですよ。これはね。
菊地 はい。
筒井 いや…僕も…「今日、朗読してくれ。」って仰った、これは僕はあなたのこの著書に影響を受けて…
菊地 おお〜。
筒井 で、自分でやってやれってんで、文字でもってディスクジョッキーをやったわけですよね。
菊地 そうですよねえ。
筒井 (笑)。
菊地 こう…何て言うか…アタシがどのぐらい筒井先生をリスペクトしてるかってのは、ファンの者どもなら知っていると思うんですけど。
筒井 (笑)。
菊地 もう…僥倖ですよね。自分が書いた物を、筒井先生に読んでいただいて、パロディにしていただけるなんて。
筒井 そうそう。それをまた今日読むというのはですね…
菊地 そうですよね(笑)。
筒井 うん。それでねえ…やっぱり、難しいわ。
菊地 ああ、そうですか。
筒井 うん。自分で書いた物でも、これは非常に難しいです。
菊地 ああ〜。
筒井 だから、あなたの難しさがよく分かるんだけどもね。
菊地 いえいえ。
筒井 これはほんとに…ダメでしたね。やってみたけど。
菊地 そうですか。
筒井 うん、ダメでしたね。滑舌はもうメチャクチャで。
菊地 テイク1でOKでしたけどね、ちなみに。
筒井 いや、あれはもうわざと…もう何もかもそのままでやっていただくわけなんです。
菊地 なるほど(笑)。お厳しいですね。やはり、俳優でもあられるということで。
筒井 いやあ…もうダメですねえ。こんななってしまったらねえ。
菊地 さすがに、あの…ハムの宣伝はビックリしましたけどね。
筒井 (笑)。
菊地 天海祐希さんのお父様かなんかで(笑)。一家でハム食うんだってCMに出てらっしゃいましたよね。
筒井 ああ〜。ありました、ありました。
菊地 ありましたよね。「わあ、ビックリした。ハムの宣伝に筒井先生が出てる!」と思って驚きましたけど。
筒井 (笑)。
菊地 …ああ、失礼しました。その、お読みいただいた作品名ですけども、ダークナイト・ミッドナイト」
筒井 はいはい。
菊地 文學界」に、もう発表されているということですよね。
筒井 もう…だいぶ前に。「文學界」3月号でしたっけね。だいぶ前ですけどね。
菊地 はい。実際はこれ、1曲目を紹介したところまでで、今日はもう…後はもう畏れ多いということで。お願いする部分は最初のパートだけだったんですけども。
筒井 (笑)。
菊地 体裁っていうか…「文學界」に載っているのは、3曲かな?…
筒井 いやいや、もう少しあったと思いますが。もう少しありましたね、うん。
菊地 4曲かな?…4〜5曲紹介している、相当なボリュームの…要するに、ラジオ番組1個ぶん書いてありますからね。
筒井 だから、あれやって…30枚ですからね。台詞だけで喋っていって30分でしょ。それに曲が入るから…
菊地 はいはい。
筒井 まあ、40〜50分ですかね。
菊地 ですよね。
筒井 うん。
菊地 だから1時間番組をそのまま…(笑)。
筒井 そのままやったみたいなものね。うん。
菊地 小説にしたっていう。
筒井 コマーシャルも入れてね。ちょうどね。そんなもんですね。
菊地 凄いですよね、ほんとに。
筒井 (笑)。
菊地 いやあ、そうですね…
筒井 いや、でもね。これ、実際にこの頃の記憶をね、電波に乗せるとなると…
菊地 はい。
筒井 やっぱりちょっと退屈ですね。この頃は全然崩さないでやるんですよね。
菊地 はいはい。そうですね。
筒井 アドリブ無しでね。
菊地 はい。そうですね。
筒井 だから、ちょっと退屈かもしれませんよね、これはね。
菊地 いやあ。先生がこれ…かけるに際して、「もう歌のとこだけでいいよ。」つって、「楽団のとこは退屈だからカットしましょう。」っつって(笑)。
筒井 そうなんだよ、もう。
菊地 いやいや…でも数十秒のことだから、全然だいじょぶじゃないですかって言ったんですけど。
筒井 いやいや、でも気になりますよ。最近の若い人はもう…気が短いからね。
菊地 凄いですよね。その…気がお若いというか。まだその若い人のポップな感覚ってのを気にされているってところが、さすがだなと思いましたけども(笑)。
筒井 いや、それはやっぱり気になりますね。
菊地 気になりますか。
筒井 ええ。それはやっぱり現代に生きているんだから、やっぱり。
菊地 なるほど。やっぱラノベ書いたりすると…
筒井 そうそうそう。
菊地 (笑)。そうですね…それこそ今ありました、世田谷文学館で…まだ開催中ですかね、「筒井康隆展」。
筒井 はい。
菊地 …のイベントで、11月4日には不肖私が伺わせていただきまして。まあ…対談して…
筒井 うん。
菊地 一番面白かったのは、やっぱりオークションですよね。
筒井 ああ〜。オークションね。あれはもう大変でしたよ。
菊地 あのオークション…先生の縁の品をオークションで出すってんで。
筒井 ええ。
菊地 で、会場はもうパンパンの…ツツイストのゴリゴリでいっぱいでしたから。あれ、ほとんど御存知じゃないですか。来てる方は。
筒井 いや、ほとんどではないですね。やっぱり…20〜30人は知ってますけど。
菊地 20〜30人は知ってるんだ、やっぱり!
筒井 ええ。でもね、それ以上は知らないです。いや、あの時は大騒ぎでしたね。困っちゃったねえ。みんな、番号札上げて言うんだけども…
菊地 はい。
筒井 上げると同時にワーワーワーワー言うもんだから、誰が何言ってるか、さっぱりわからない。
菊地 っていうか(笑)…
筒井 オークションにならんのですよ。あれは。
菊地 「オークションにならんのですよ。」っていうか、通常オークションっていうのは、競り上げていくじゃないですか。何円…いくらから、と。
筒井 うん。
菊地 オークショニアを先生がやられて。オークショニアってのは、ハンマーを持ってるわけなんだけども。
筒井 ええ。
菊地 ハンマープライス決定するのに、こう…ハンマー持って。で、「いくらから。」って言って、どんどんどんどん吊り上げて、最終的に二人ぐらいになって、一番高くなった奴が競り落とすっていうのが、オークションの決まりじゃないですか。
筒井 うーん。
菊地 ですけど…先生が突然「適価にする!」って言い出して(笑)。「高いと可哀想だから。」って話になって。
筒井 うん。
菊地 適価にされるっつって。そいで…例えば、まあ…何でもいいけど…
筒井 いや、あの一番最初のフレドリック・ブラウンの短篇集なんてね…
菊地 ああ、はいはい。
筒井 あれは醤油をこぼしちゃって、中ベトベトで。
菊地 (笑)。
筒井 で、100円からにしたら、すぐに200円ってかかったから、「はい。落ちました!」ってドンドン…
菊地 だから、ものすげえ速さでハンマー叩いて(笑)。
筒井 そう。そしたら皆んながですねえ…それに釣られて、「早く言わなきゃいかん!」ってんで、後はもうワーワーワーワー…。
菊地 だって(笑)…みなさん、どれぐらいまで上がるか、金持って用意してたんですよ。突然、始まった瞬間に「いや、あんまりこんなもん高く売っちゃいけないから、適価で。」っつって。「100円!」「200円!」…っつったら、バーン!って、すぐハンマーいきなり叩いたから(笑)。
筒井 だってあれはね、醤油でベトベトの本をね、普通は店に出さないですよ。
菊地 それがありがたいんじゃないですか。ファンにとっては。
筒井 ありがたくないって、あんなものは。
菊地 (笑)。
筒井 ほーんと困っちゃいましたよねえ(笑)。
菊地 あん時もね、「あんまり高いと気の毒だから。」って仰ったところにね、現代感覚っていうかね…感じましたけどね。あんなもん、幾らだって…。僕が事前に、手の者に情報をもらってですね、ファンの間では有名な、先生の唯一の油絵ってのがありますよね。
筒井 はいはい。
菊地 原宿駅前」。
筒井 はいはい、そうですね。
菊地 生まれて初めて油絵描いたんで、絵の具いっぱい買っちゃって。「買ったぶん、全部使おう!」ってんで、ものすごいギトギトの極彩色の風景画になっちゃって…っていう。
筒井 そうそう(笑)。
菊地 その伝説の…ファンは絶対に話としては知ってる油絵が出展されたんですよ。
筒井 うん。
菊地 僕、あれ絶対に…要するに、あんなに適価で…ポンポンポンポン…もぐら叩きみたいに先生がハンマー叩くと思わなかったから(笑)。
筒井 (笑)。
菊地 「もうどんだけ競り合っても勝つんだ!」と思って、100万持ってったんですよ。
筒井 100万?
菊地 100万ぐらいするだろうと思って。あの油絵は。
筒井 (笑)。
菊地 100万持って1点掛けだと思って、「油絵だけは絶対買ってやる!」と思って。
筒井 いや、それはないでしょう。
菊地 あれは…だって幾らぐらい?
筒井 あれは5万ですね。あれは一番前の席にいた人はね、たまたま私、よく知ってる人だったんです。
菊地 はい。
筒井 で、その人が5万って言ってくれたので。全然知らない人に渡すよりは、知ってる人にね。こっちもそれを記憶しといたほうがいいから。
菊地 はいはい。
筒井 それで「5万!」って言って…はい、落ちました。
菊地 そうですよね。「1万から。」って仰って、「5万!」…はい、ポーン!って終わっちゃったんで(笑)。
筒井 それでもなんか2万とか3万とかありましたよ。
菊地 もうその頃、みんなが焦っちゃって。「早く言わなきゃいけない!」と思ってる(笑)。
筒井 遠くのほうからね、なんか8万とか10万とか聞こえてきてたけども。
菊地 はいはい。
筒井 ちょっとそれはねえ…わけのわからん人に…この絵だけはね、他の物はともかくとして。ちょっとそれは困るなと思ってね。
菊地 …でも、それがオークションじゃないですか(笑)。
筒井 いや、そりゃそうなんだけれども。うーん。
菊地 だから、実際はオークションじゃなかったっていうね。
筒井 (笑)。
菊地 だから、まあ…自分で競り落とさないまでも、「誰が何をどこまで値上げするんだろう?」ってのが見たかったんですけど、上げさせなかったっていうね。
筒井 だから、あれはまあ…オークションのパロディというか。
菊地 そうですね。
筒井 脱臼したオークションというか(笑)。
菊地 脱臼したオークションですね(笑)。あれ、凄かったですよね。パフォーマンスとして。
筒井 (笑)。

菊地成孔の粋な夜電波 シーズン6-8 前口上とコントの爛熟期篇

菊地成孔の粋な夜電波 シーズン6-8 前口上とコントの爛熟期篇

「最後に歌に辿り着く。」

「粋な夜電波」第389回は、TABOOレーベルより満を持してアルバムをリリースする、オーニソロジー=辻村泰彦さんをゲストに迎えて。
奈良から上京して現在に至る流れが語られた、番組最後のトークの一部を文字起こししてみました。

101

101


菊地 はい。「粋な夜電波」…ラストランですね。あと8回…の中の、ラストから…ラス8からラス7にかけて(笑)、オーニソロジーを特集しておりますけれども。
辻村 (笑)。

(メールを読んで)

菊地 …ま、この番組もさぁ、実は相当前に出てるよね。
辻村 ええ。ああ、そうですね、そうですね。
菊地 沙良ちゃんとコントやったもんね。野球のね。
辻村 ええ。
菊地 なんか、奈良だって理由だけで、あの日「甲子園のコント」にしたんだよね。
辻村 はい。
菊地 で、青羊さんがこのバンドのハードリスナーだってことから、おそらく甲子園の連想から、最初の「夏の景色」に繋がったと思うとね…
辻村 (笑)。
菊地 なにかジーンとくるものがありますけどね(笑)。
辻村 繋がりますね(笑)。
菊地 あの甲子園コント、酷かったですけど。まあ、それはともかく…あれで出て「エレタメモア」のデモを流したりして。
辻村 そうですね。
菊地 で、その後「TABOO」的には…「ガンダム サンダーボルト2」のほうに「骨砕かれても」って曲で…
辻村 ええ。
菊地 まあ、音楽番組で時間に余裕があったらかけますけど、時間に余裕が無いからかけませんけどね(笑)。
辻村 (笑)。

(メールを読んで)

菊地 そうですよ。あのねえ…さっき一番最初に結構無駄な時間使って、全タイトル読み上げさしてもらいましたけどね。ま…言っちゃ悪いですけど、一番最後に一番いい盤が出来たと言わざるをえないですよね。とにかくね。自分の作品も含めてですけども。

(メールを読んで)

菊地 ま、MVはこないだ撮影がね…
辻村 はい。
菊地 1日に3本撮りっていうね。地獄の…(笑)。
辻村 ありましたね(笑)。
菊地 あの後、しばらく俺、具合悪かったよ(笑)。早朝に集合して…早朝じゃねえや、深夜に集合して。
辻村 そうですね。
菊地 翌日の夕方に終わるっていうね。いやあ、それぐらい大変でしたけども。
辻村 ええ。
菊地 そもそも「オーニソロジー」にしたっていうのは、多分ジャズが好きだからでしょ?
辻村 はい、はい。
菊地 ね。チャーリー・パーカーの曲名でもありますよね。
辻村 うん。
菊地 てか…俺が一番知りたかったのは、なぜ「TABOO」レーベルにエントリーしてきたのでしょうか。
辻村 いや、それはもう菊地さんの…僕が奈良にいた時、「夜電波」も聞いてましたし。
菊地 ああ、ほんとですか。
辻村 うん。菊地さんの情報をバーっと見ていった時に、なんかのなんかで「デモテープあればください。」みたいなのを見て…
菊地 ああ、書いてあってね。
辻村 そん時にちょうど僕の…オーニソロジーのデモが出来たんですよ。
菊地 うんうん。
辻村 で、これどうしようかなと思ってたところ、もう思い切って「送ってしまえ。」と思って。
菊地 うんうん。
辻村 …たのが、きっかけですね。
菊地 なるほど、なるほど。ま、「夜電波」も聞いていた、と。
辻村 ええ。
菊地 まあ、今ね…オーディションとかさ。
辻村 はい。
菊地 「デモテープください。」とか言うと、とりあえず「デモテープ/オーディション」で検索して、常にそれで探してて、何でもいいから送ってくる人いるからね。
辻村 うんうん。
菊地 いまやもうオーニソロジーの名ベーシストですけど、DC/PRGの近藤くんね…
辻村 (笑)。
菊地 DC/PRG、知らずに応募してきたからね。
辻村 そうですね(笑)。
菊地 ポリリズムやったことないのに応募してきて、そのまま入団…あまつさえ入団しちゃったというトンパチですけど。
辻村 (笑)。
菊地 まあ…元々あの人、マーカス・ミラーが好きなんで。
辻村 ああ、そうですか。
菊地 まあ、オーニソロジーのほうが合ってるよね。正直、DC/PRGより。
辻村 (笑)。
菊地 …替えようかな(笑)。
辻村 (笑)。
菊地 まあ、それはともかく。プライヴェートの話は次回にしましょうか。
辻村 はい。はい。
菊地 いろいろその…「なぜそんなにエロいのか?」…エロいっていうか、エロさってのはいろんな基準があるから難しいけど。
辻村 うーん。
菊地 はっきりとエロティークだと言っていいと思いますけど。辻村くんの声がね。
辻村 はい。
菊地 そのエロさが、どういう意味合いでどういう根拠で出来てきたのかっていう話はね…
辻村 はい。
菊地 ま、いろいろ…「ただ単にスケベだから。」とかさ、ガキの使いじゃないんだから、そんな簡単にはいかないですよね。
辻村 (笑)。
菊地 奈良県のどこですか。
辻村 奈良県天理市ですね。出身。
菊地 ああ、天理市ね。うん。有名な市だよね。…そういう言い方は関東の人間として…というエクスプレインさしてもらうしかないんだけど(笑)。
辻村 (笑)。
菊地 なるほど。じゃあ、天理市から…オーニソロジー活動していて。
辻村 そうですね。
菊地 子どもの頃から音楽やりたくて。
辻村 うん。そうですねえ。ま…小ちゃい頃にクラシックピアノをやってて。
菊地 うん。
辻村 そうそう。もう…結構ね、10歳ぐらいの時に坂本龍一が好きだったんですよ。
菊地 なるほど。クラシックピアノやってて坂本龍一好き…別に何の不思議も無い流れですよね。
辻村 そうですね。で、まあ…ピアノやってて、クラシックばっかりやってて。坂本龍一ゆう人がピアノで曲を作ってる、と。
菊地 うん。
辻村 面白いなあ、と思って。
菊地 うん。
辻村 で…そこで一旦ピアノは切れるんですけど。
菊地 うん。
辻村 次はギターとか、軽音楽のほうに興味を持ち出して。うん。その…ギターを持ち出して。歌を歌うのは、だいぶ後なんですけどね。
菊地 なるほど。歌い出したのは、もっとずっと後なんだと。
辻村 はい。
菊地 なるほど。まあ、ある種…才能が資質が開花していく典型的な例だよね。その…歌の才能がある人が、最初から歌ってるって場合もあるけど、逆もあって。要するに、だんだんだんだん…本当の自分に向かっていくっていうか。最初クラシックピアノやってたんでしょ。
辻村 そうそう。
菊地 で…そのままやり続けてたと思うと、ゾッとするでしょ。
辻村 ええ(笑)。
菊地 で、それは挫折して。ま、俺も最初ずっとクラシックやってたの。あのまま、やってたらと思うと、ゾッとするけど(笑)。
辻村 うーん。
菊地 で…やめて。ほいでもって、ジャズギターになって。
辻村 はい。
菊地 で、ギタリストとして行こうとしてたんでしょ。
辻村 まあ…作曲とか、音楽をジャズを通じて勉強したいなと思ったんです。
菊地 なるほど、なるほど。
辻村 はい。
菊地 まあ…ジャズがなんかいろんなもののモチベーション与えるパターンですよね。
辻村 そうです。はい。
菊地 とはいえ、ジャズを通じて、ジャズギターで作曲する作曲家っていうのも、まあ…夢は…ちょっとそれだけでは…って形になって、歌うようになったわけでしょ。
辻村 そうです。
菊地 でも、まあ…歌が一番いいもんね。結局。
辻村 (笑)。
菊地 作詞作曲も素晴らしい。その第二期に培ったもんでしょうけども。最後に歌に辿り着いた時には、そんなに別に自分の歌が…と思ってなかったでしょ。
辻村 うーん、そうですね。
菊地 うん。あのね、オムスとかも言うんだけど、自分の声が嫌いだって言うの。
辻村 ああ。
菊地 うん。びっくりするよね。
辻村 うん(笑)。
菊地 あんないい声なのにね。
辻村 いいっすね。
菊地 だから…そういう才能のあり方もありますよね。
辻村 うん。
菊地 だから…最初から自分の魅力ってのが分かってて、バンバン売り出せる人ってのは…それはそれで天才なのかもしれないけど。
辻村 うん。
菊地 どっちかっていうと、俺の知る限り、自分の事が分かってなくて、だんだん開花させられたり開花してったっていう人のほうが、力強いですね。
辻村 ああ〜。
菊地 まあね、レコ発…アルバムが出たら必ずレコ発ライブってのがあるもんですけどね。
辻村 はいはい。
菊地 どこでいかような形であるのでしょうか。
辻村 来年1月29日、代官山「晴れたら空に豆まいて」さんで、やらせてもらいます。
菊地 はい。ま、こういう御時世ですからね、お店のほうのホームページに情報出ると思いますので、チェックのほうよろしくお願いします。
辻村 はい。
菊地 ま…そんな辻村くんのパーソナリティーに迫るのは、次回!…ということにしまして(笑)。
辻村 はい。
菊地 今週はその坂本龍一さんのね、カバー曲が入ってる…
辻村 はい、はい。
菊地 坂本龍一さんのさ、曲のね…
辻村 はいはい。
菊地 いっぱいあるよね。
辻村 いっぱいありますね。
菊地 うん。何を、どうやってカバーするのかって事は、すごい問われるでしょ。センスがね。
辻村 ああ…はい。
菊地 やっぱり…名曲ばっかりだから。
辻村 はい。
菊地 楽しみでもあるけど、やっぱ怖ろしいことでもありますよね。
辻村 うん。
菊地 で、この曲…は、ま…歌モノだからってこともあるでしょうけど。
辻村 はい。
菊地 やっぱ名曲ですよね。
辻村 はい。凄いですね。ええ。
菊地 これは…坂本龍一さんのどの作品がいいんだとか言うと、もう…外野が大ゲンカになるんで。
辻村 (笑)。
菊地 下手な蜂の巣は突きませんけども。「B-2 UNIT」は最高傑作と言ってもいいよね。
辻村 ですね。
菊地 その中でも、この曲が…「B-2 UNIT」に針を下ろして、テクノの音楽が流れるのかな?…YMOみたいなのがね、流れんのかなと思って楽しみにしてて、この曲…この歌聞いた時の衝撃はね。
辻村 (笑)。
菊地 一生…スウィート・トラウマだよね。ある種ね(笑)。「Thatness and Thereness」っていう曲ですね。
辻村 はい。
菊地 こちらを辻村くんがカバーしています。こちらを聞いてお別れしたいと思います。
辻村 はい。
菊地 え〜…ジャズミュージシャンの菊地成孔がお送りしてまいりました「菊地成孔の粋な夜電波」、そろそろお別れの時間です。それではまた来週、土曜深夜4時にお逢いしましょう。来週もオーニソロジー特集で…ていうか、ぶっちゃけもう…外野の方には分かってると思いますけど、2本録りです。
辻村 (笑)。


B-2 Unit

B-2 Unit

オリジナル・サウンドトラック「機動戦士ガンダム サンダーボルト」2/菊地成孔

オリジナル・サウンドトラック「機動戦士ガンダム サンダーボルト」2/菊地成孔

「大人になった江藤愛さん。」

TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」第388回放送。
年末までのラストラン、女子アナを迎えての最後のコント。
懐かしの江藤愛さんとの、コント終わりのアフタートークを文字起こししてみました。


KISTUNE Maison 17 [国内仕様輸入盤CD] (TRCI-055)

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菊地 はい。というわけで(笑)…今回のコント「ねえ、愛ちゃん。」のお相手はTBSアナウンサー・江藤愛さんでした。江藤さん、お久しぶりですね。
江藤 お久しぶりです、菊地さ〜ん。
菊地 懐かしいですよね。
江藤 も〜う。…何年ぶりでしょうか。
菊地 何年ぶりなんだろう。何年ぶり?…5〜6年は、いってますよね。
江藤 はーい。もうずいぶん経って、20代だった私ももう30代で。
菊地 (笑)。いやいや、まだ全然お若いですよ。
江藤 いえいえいえ。
菊地 40代だった僕も50代で、今。
江藤 (笑)。見えない、見えない。
菊地 いやあ、お元気そうで何よりです。
江藤 はーい。
菊地 懐かしいですよね、とにかく。
江藤 いや〜懐かしいです。でも私、このスタジオ開けた瞬間に、「はぁ。菊地さんの香りだぁ〜。」って。
菊地 そうですか(笑)。
江藤 「菊地さんの空間に来た!」っていうのを、パッと思い出しました。
菊地 ああ…お恥ずかしい。そうですか。
江藤 はい。
菊地 いやあ、何と申しましょうか。僕が一番最初に…この番組始まって、なんでしょうね…そんな事やったことないんですけど…
江藤 はい。
菊地 女子アナさんて人たちがいるから、その人たちが使えるよって言われて…
江藤 うんうん。
菊地 なんかコントみたいなのを書いたら、その配役として女子アナさん来るよって言われて…
江藤 ええ、ええ。
菊地 何もわからず書いたら、最初にいらしたのが江藤さんだったんですよ。
江藤 あたし?…私、一番最初でした?
菊地 一番最初ですよ。
江藤 うわぁ…嘘〜。
菊地 ほんとほんと。
江藤 え〜…感動です。
菊地 ほんとですか。
江藤 いや…今回もね、あの…終わるって聞いて…
菊地 はいはいはい。
江藤 あと9回しかないのに、その一番最初に私を呼んでくださって。
菊地 ああ、ラストランのね…最初ですね。
江藤 なんて感動なんだ!って思ったんですよ。
菊地 ほんとですか(笑)…嬉しいです。
江藤 そうか…初コントが私だったんですね。
菊地 そうです、そうです。
江藤 きゃあ〜。
菊地 その後、いろんな…
江藤 いろんなね。
菊地 女優さんが現れたんですけど(笑)。
江藤 ええ、ええ。もちろんです。取って代わって…「もう私はお呼びじゃないな。」と思いながら。
菊地 いやいや、とんでもないですよ。だって、テレビ稼働が増えて…
江藤 (笑)。
菊地 途中から「江藤さん、テレビ稼働が増えたから、もう出れないよ。」って言われて(笑)。
江藤 そんなことないですよ〜。待ってましたよ〜。
菊地 ほんとほんと(笑)。
江藤 本当?…嘘〜。
菊地 みんなね、この番組でひとしきりコントやると…「テレビ稼働が増えたんで、出れない。」っておっしゃるんですよね。
江藤 あ、じゃ何?…菊地さんがヒットメイカーみたいな感じですか、やっぱり。
菊地 どーうなんですかね。いや、違うと思いますけども。
江藤 いやいやいや。あたしだって…
菊地 はい。
江藤 「私のTK」じゃないですか。
菊地 (笑)。
江藤 憶えてます?
菊地 覚えてますよ(笑)。
江藤 リスナーさん、これ…憶えてくれてるかなぁ。
菊地 えっとね…どうなんだろう。古くからのリスナーの方はね、もちろん憶えてますよね。
江藤 ねえ。私が歌ったんですよね。
菊地 だって、ライブで歌ったんですよ。
江藤 そう。赤坂サカスのステージで、何百人とお客さん来てくれた前で。
菊地 そう。
江藤 白いワンピース着て。
菊地 あん時、半端じゃなかったですよね。
江藤 そう。「ラブちゃーん!」って言ってくれて。
菊地 あれはね…何百人どころじゃなかった。1000人ぐらい…
江藤 ほんと?
菊地 いた気がしますけどね。
江藤 それも大げさじゃ…
菊地 それは大げさか。でも相当いましたよ。
江藤 ねえ。
菊地 うん。
江藤 そん時、あたし朋ちゃんになりきって…
菊地 (笑)。
江藤 「私のTKだ!」って言って。
菊地 そうですね。
江藤 もう…最高の思い出でした。あれ。
菊地 はい。いろいろね、あの…「江藤さんを呼んでほしい。」ってメールが本当に…
江藤 えっ?
菊地 これは御世辞じゃなくて、たくさん来てて。
江藤 ほんと?
菊地 はい。今日読み切れないから読まないですけど。
江藤 うわぁ〜、嬉しい〜。
菊地 「ぜひ、江藤さんに。」ってのは…特に番組の初中期ですよね、江藤さんが毎週のように出てくださった頃の…
江藤 はい、はい!
菊地 愛聴者の方が…あの…いっぱい、いろんなコントやりましたからね。
江藤 いっぱいやった。いっぱいやった。赤江さんとのコラボみたいなのもやったし。
菊地 やった、やった。
江藤 ねえ。
菊地 うん。あん時は江藤さんがシリアルキラーでね。
江藤 そうでしたっけ。
菊地 うん。殺し屋で。
江藤 ああ…ほんっと…いろんなキャラやりましたよね。
菊地 やりました。夫婦になったこともありますよ。
江藤 ありました。
菊地 子供のね…耳に障害があって…っていう。
江藤 ああ。もう…いろんなの考えますねえ。ほんと。
菊地 あん時は…そうですね。あの頃もう…江藤さんしかいないと思ってたから…
江藤 はい。
菊地 最初はね…江藤さん、どんな方か知らなかったし…
江藤 はい。
菊地 ほんとに。不勉強ながら。
江藤 いえいえ。
菊地 だんだんやってくうちに「江藤さん、こういう人だな。」ってわかってきたんで。
江藤 うんうんうん。
菊地 「江藤さんとこういう事やろう。江藤さんとこういう事やろう。」っつんで、どんどんどんどんアイディアが湧いて…書いてたんですよね。
江藤 ええ〜。あたしをちゃんと想像して書いてくれてたんですか。
菊地 もちろん、もちろん。
江藤 うわぁ。
菊地 そしたら…「テレビ稼働が忙しくなった。」って(笑)。
江藤 (笑)。
菊地 「江藤さん、もう出れません。」って言われて。
江藤 そんなつもり無いのに!
菊地 ええ。
江藤 菊地さん、収録遅いからでしょ。
菊地 そう…ですね。それね、皆さんおっしゃる…今、サブが「その通り、その通り!」っつって…
江藤 ねっ。その通りって。
菊地 遅いとダメなの?
江藤 あのね。やっぱり昨今、働き方改革というのがありまして。
菊地 あっ…それねえ。
江藤 やっぱりね、残業とかあんまり…
菊地 古谷有美さんにも同じ事言われました。
江藤 言われました?
菊地 言われました。うん。
江藤 そう。だから私とかも…古谷さんも早いし。
菊地 ええ。
江藤 私も朝がわりと早いので…
菊地 ですよね。
江藤 遅いとそんなに…だから昼の3時ぐらいからやってくれるといいんですよ。どうですか。
菊地 収録をですか。
江藤 はい。
菊地 というか、まあ…終わりますけどね(笑)。
江藤 (笑)。
菊地 どうですかも何も。
江藤 そうなんですよね。
菊地 はい。
江藤 いや〜…でも今回もこれ…
菊地 はい。
江藤 菊地さん、私のこと…すごく分かってるのかな?っていうような気がして。
菊地 あ、そうですか。
江藤 はい。コント…
菊地 いや、まあ…空想の類いですよ。江藤さんがお綺麗だから…
江藤 またまた。
菊地 一見、振ってばっかりいて…やっかまれたりするんだけど、意外と実はそういう人がフラれる…ね。多いですよね。
江藤 いや…よく言うじゃないですか。「フラれた事なんか無いんでしょ?」って。
菊地 とかね。うん。
江藤 あたしなんか、昔からフラれてばっかりだよ!って…
菊地 (笑)。
江藤 思って言っても、「いやいや〜。またまた〜。」って、絶対信じてくれないんですよ。
菊地 はいはいはい。
江藤 だから、これ見た瞬間に、ちょっと嬉しかった。
菊地 あ、ほんとですか(笑)。
江藤 そう。
菊地 まあ、最後の一発まで当たって良かったですね。
江藤 うん。ほんとに…え〜…終わっちゃうんですかぁ。寂しいな〜。
菊地 そうですね。終わりますね。
江藤 そうかあ〜。
菊地 いや、でも…こんなね、言葉で言うとなんか凄い事みたいですけど…
江藤 はい。
菊地 これで江藤さんと一緒にコントをやるのも、今のが最後ってことですからね。
江藤 えっ、最後?
菊地 最後ですね。
江藤 本当に最後?
菊地 本当に最後ですよ。
江藤 あと1回とか無いですか?
菊地 あと1回はね…もう埋まっちゃってるんですよ。
江藤 うわぁ…埋まっ…そうですよねえ。
菊地 埋まっちゃってるの。でも、でも…女子アナの方がいらっしゃるのは、江藤さんだけです。
江藤 えっ!…嘘?
菊地 はい。江藤さんがね…テレビ稼働で(笑)…しつこいようですけど…
江藤 また〜。
菊地 テレビ稼働でお忙しくなって、いなくなってから…番組もだいぶ変わったんですよ。
江藤 はい。
菊地 そいで…ヒップホップのコーナーとか、K-POP…韓流の特番が増えたりして。
江藤 うん。
菊地 そういう企画が戻ってくるんで。
江藤 ああ〜。
菊地 あとは…ここ最近、アフター江藤さんで…番組を彩ってくださった女子アナの皆さんもいらっしゃるんですけど…
江藤 もちろん、知ってますよ!…「いいなぁ〜。」って。「ああ…フラれたなぁ〜。」って思ってたんですから。
菊地 いや、フラれたってフったじゃないですか(笑)。
江藤 ああ。テレビ行っちゃったから。
菊地 そうそうそう(笑)。テレビのほうが彼氏としていいでしょう、やっぱり。
江藤 (笑)。
菊地 どう考えたって。いい彼氏でしょう。テレビのほうが。
江藤 いや…ラジオは寄り添ってくれますから。
菊地 (笑)。
江藤 四六時中いてくれますから。大好き!
菊地 江藤さん…大人になったねえ、なんか(笑)。
江藤 えーっ、本当?
菊地 ええ。ものすごい大人になってね、ルックスも言うことも…なんか全体のオーラが大人ですよ。
江藤 変わりましたかねえ。
菊地 変わりました、変わりました。
江藤 いい意味で?
菊地 もちろん、もちろん。
江藤 ああ、嬉しい〜。
菊地 あの…こんな事言うとリスナーが…ま、別に終わるんだから何言われようといいですけど…
江藤 うんうん。
菊地 お綺麗になって、すごく。大人になった…と思います。はい。
江藤 ありがとうございます。やっぱり…テレビっていう彼氏に鍛えられたからかなぁ。
菊地 でしょうね。
江藤 なんてな。
菊地 やっぱテレビっていう彼氏、厳しいでしょう。やっぱり(笑)。
江藤 厳しい(笑)。
菊地 アイツは厳しいですよね、ダメ出しとかがね。
江藤 そう。ラジオはね、甘やかしてくれるんですけどね。
菊地 甘やかしてくれるのね。そうそうそう(笑)。
江藤 そうなんですよ〜。
菊地 ラジオと一緒にいても、あんまり自分が磨かれないんですよね。
江藤 あら?…(笑)。
菊地 (笑)。
江藤 居心地はね、すごくいいのね。
菊地 居心地いいんですけどね。すごく。わかりますよ。
江藤 うーん。
菊地 テレビはキツイですよねえ。
江藤 まーね…その分やり甲斐もありますけどね。「頑張るぞ〜!」って。
菊地 僕、たまにテレビ出ると…なんか1日寝込みますからね。
江藤 はっ!…ドッと疲れますよね。
菊地 ドッと疲れる。テレビは。うん。
江藤 違うんですよねえ。
菊地 いやあ、ほんとに。で…なんで、このラストランの9回の中で、女子アナさんがいらっしゃってコントやるのは、江藤さんだけです。
江藤 はぁ〜…もうほんとに嬉しいです。
菊地 ほんとですか。
江藤 はい。
菊地 僕も嬉しいです。来ていただけて。
江藤 ど…どうでした、大丈夫でした?…コント。
菊地 全然全然…うん。もう、なんか懐かしいですよね。
江藤 ねえ。楽しかった。
菊地 楽しかった。楽しかったですよ、すごく。うん。これで味しめちゃったんですよね。
江藤 そう。そうなんですよ。
菊地 うん。江藤さんと毎週コントやってるので味しめて…
江藤 はい。
菊地 「どんどんいろんな人に来てくれ!」みたいになっちゃったんですよね、なんか(笑)。
江藤 (笑)…だって、交通情報の方とかもやってましたよね。
菊地 やってた。
江藤 ね?
菊地 うん。
江藤 やっぱ菊地さんのそのセンスって面白いなあって思って。
菊地 いやいやいや(笑)。
江藤 好きなんですよ〜。うん。
菊地 ありがとうございます(笑)。
江藤 うーん。
菊地 え〜…というわけでね、ほんとに…名残惜しいんですけどね。
江藤 名残惜しい。
菊地 まあまあ…これからテレビという彼氏に、さらに磨いていただいて(笑)。
江藤 ええ、ええ。追い掛け続けて。
菊地 追い掛け続けて。
江藤 何かあったら…戻って来ていいですか?
菊地 もちろんですね。それ…僕がTBSに言うセリフですけどね。
江藤 (笑)…待ってる、待ってる!
菊地 いやいや(笑)。まあ…ね、すでに10社から…「番組やらないか。」って話は来てますけども。
江藤 ええっ!?
菊地 ええ。
江藤 もう…他局?
菊地 他局から来てますねえ。ええ、すでに。
江藤 そうか、そうか〜。獲られちゃうんだなぁ。
菊地 いや、でも行きませんよ。
江藤 えっ?
菊地 はい。
江藤 行かないんですか?
菊地 行かないです。しばらくラジオやんないです。
江藤 あっ…そうなんですね。
菊地 はい。下手したら一生やんないですね。
江藤 ええっ?
菊地 もういいかな…って。
江藤 もういい?
菊地 ええ。もう、やりたい事…ラジオでもうみんなやったんで。
江藤 ああ〜。やっぱそう思えるって、カッコいい。
菊地 いやいや(笑)。
江藤 うん。
菊地 というわけで、なんかもう…ね、昔話してたら、こんなのって…もう。だって江藤さん、半端じゃないもんね、一緒にやった時期が。
江藤 そうなんです。
菊地 3〜4年やってましたよね。
江藤 そんなにやってました?
菊地 2〜3年か。
江藤 でもやっぱ…濃い…濃かった。すごく濃かったのを憶えてる。
菊地 濃かったですよね。
江藤 なかなかこういう経験ってないし。ほんとに。
菊地 うん。どこまで書いていいのかって、僕…全然わかんないから。
江藤 (笑)。
菊地 放送作家とかじゃないんで。
江藤 はいはい。
菊地 だから…どこまでやっていいんだろう?って、もう…やれるとこまで。「『江藤さん、泣く。』って書いたら泣いてくれるかな〜?」とかさ、いろいろ考えたんですよ。
江藤 ねえ。はい。
菊地 そしたら泣いてくださったりしたんで。「おお〜!」とか思って。まあ…悪い癖がついたとも言えますけどね。
江藤 はい(笑)。味をしめちゃって。楽しくなっちゃって。
菊地 はい。というわけで…大人になった江藤愛さんが(笑)…
江藤 ありがとうございました〜。
菊地 久しぶりに番組に来ていただいて。
江藤 もう楽しかったです。
菊地 はい。楽しかったです。ありがとうございました。
江藤 はい。じゃあ、あとラストラン…向けて!
菊地 はい。あの…ブラウン管のこっちから応援しておりますんで(笑)。
江藤 はっ!…もう今、ブラウン管無いですよ。
菊地 あ、ブラウン管無いんだ。あ、そっかそっか。そうだそうだ。
江藤 そうですよ。まだまさかブラウン管じゃないですよね、もうね。
菊地 うん。そうね…うちのは何だろう、あれ。液晶っての?
江藤 液晶でしょ。
菊地 うん。そうそうそう(笑)。液晶の向こうからね。
江藤 お願いします!
菊地 「あ、江藤さんだ〜。」とか思う時ありますんで、よく。
江藤 ずっと変わらないんで。
菊地 はい。頑張ってください。
江藤 はい。ありがとうございました。
菊地 ありがとうございました。
江藤 ほんとに光栄でした。
菊地 いや、とんでもないです。こちらこそ。ありがとうございました。
江藤 またいつか!
菊地 はい。江藤愛さんでした。
江藤 ありがとうございました。

プライベート・アイズ~トリビュート・トゥ・ホール&オーツ

プライベート・アイズ~トリビュート・トゥ・ホール&オーツ

「ハロー・グッバイ。」

TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」第387回放送。
番組冒頭の前向上で、急遽重大発表。
ついに黒幕もマイクの前に現れた、トークの一部を文字起こししてみました。

いやあ、いきなりお寒うございます。寒暖差激しいですよね。
赤坂だけかしら?…でもなんか、思えば…ですよ。「最近は異常気象ですねえ。自律神経がやられっぱなし。」みたいな話って、ここ20年ぐらい、ずっと言ってるような気がするんですけど。どうでしょうね。
「観測史上、初」とかなんとかね。「ゲリラ豪雨」とかね。もう、どんだけ聞いたかね。
ま、ただ20年経てばね、どんな異常も正常になってくるもの。我々は異物や異常性を飼い慣らして、当たり前の事にすることを繰り返してるだけの生物ですよね。
だから、この20年間ってのはつまり、00年代と10年代ってのは、気象が異常になってゆく事が定着してくる20年間だったような気がしますよね。
気象に対する日本人の遠い記録っていうか、さほど遠くないですけどね、まあまあまあ…ある極地じゃなくて都市部ね、街と言いますかね、CITYが持っていた記録がありますよね。「しとしと雨」「急なお湿り」「打ち水に虹」…なんつってね。打ち水は、まあ…気象じゃないですけど。「汗ばむ程度の夏の日差し」「梅雨時」「天気雨」「寒の戻り」ってのはね、粋でいなせな…そして全体的に軽くてシュッとした感覚をね、もっとエグい、ドラスティックなものにしましたね。この20年間でね。
それは環境と人類の関係なわけだから、下部構造的であって、マルクス的に言うと。「マルクス」なんて、この番組で初めて言いましたけどね。つまりは、事の全域に渡るわけですよね。
気候と…天候と我々の関係が、粋でいなせなものからドラスティックでエグいものに変わってしまったというのは。
ま、要するに、古来東京のシティボーイ達の国是だった「粋でいなせ」なんてことは、もう完全な寝言になっちまって、平成と共に終わるって感じですよね。
で、平成だって、もうさ…残すところあと少しだっていうのに、もう安室ちゃんとさくらももこさんで「平成ロス」してるわけですからね。今、昭和の話なんかしてる年寄りってのは、昭和の時代に明治の話してた剛の者と一緒ですよ(笑)。はい。二つ飛ばしっていうね。


はい。と、ここで突然ですが、番組から…これはね、おそらくね…番組史上最大だと思うんですよね。重要な告知がございます。
え〜…みなさん、落ち着いて聞いてください。落ち着いてお聞きください。
特にこの番組に依存形質ができつつあった皆さんね、ショックを受けやすい方とか、気が弱くてすぐに怒り出す方とか、鬱病質で全身の力が抜けやすい方とか、パニックで過換気を起こしやすい方とかね、お気をつけてください。お気をつけてください。
今から心臓にちょっと悪い事を言うからね。はい。「救心」持って。「救心」(笑)。
「救心」が歌舞伎町とかにあるマツモトキヨシで、箱買いされて…爆買いされて、何箱も何箱も…大陸からの観光客の方が「救心」を買ってたって話も懐かしいですけどね。シーズン6ぐらいにしましたけれども。
はい。「救心」持って、水持ってね。アタシは薬は水無しで飲みますけども。はい。
当番組「菊地成孔の粋な夜電波」は、この12月いっぱい…年末をもって終了します。
はい。長い間ありがとうございました。
今シーズンではなくて、今年いっぱい…年内いっぱいということは、これはまあ…実質上のですけど、打ち切りですね。
いやあ…8年間ね、やりたい放題やりまして(笑)。「いつクビになってもいいや。」とは思ってましたけどね。ええ。
ワタシは…なんての?…預貯金も無いですし、宵越しの金も持たないタイプで、「明日の我が身もどうなるものや。」といったような…ま、それほど格好良くないですけどね。どっちかっていうと、そういうタイプですけども。
だから番組のほうも、「こんだけ好き放題やってるんだから、いつ肩叩かれても仕方ねえな。」と思いながらやってきたんですけど。
何て言うか…因果ですなあ。
アタシ、1年しか続かなかったJ-WAVEも、1年半しか続かなかったTFMも、打ち切りでクビ刎ねられてるんで(笑)。
ま、正直…こっちが「打ち切り上等」過ぎたんですけどね。どっちもね。
多分ね、1回目で同じ事言ってると思うの。「今日から始まるけど、やがてクビ切られると思います。」っていうのを、1回目の口上で言ってる気がしますね。同録の記録見てみないとわかんないですけどね。
まあ…先ほども申し上げましたJ-WAVEもTFMも、内容が「打ち切り上等」過ぎたんですよ、とにかく(笑)。
だから、まあ…腹の底ではきっと、好きなんでしょうなあ…打ち切られるのが。
ともあれ、最近アタシがずっと…これはシャレですけど、「数字を下げたい。」とかね、番組の中で。あるいは「自由に甘えて、例えばニッポン放送で『粋な夜電波』やって、気楽に戻ってきたい。」とかね。ま…シャレにしてもっていうかね、半分以上シャレじゃないんですけど(笑)。
マイク前で面白おかしく言ってきたんで、純朴な方なんかはね、「そんな事言ってて、菊地が怒られたんじゃないか。」とか、あるいは「菊地が本当は内心もう辞めたくて、降りたいに違いない。」とか思われると、第一に事実とは全然違うんで。
ま、あとほかにもね…「体調を崩したじゃないか。」とかね(笑)。この年になると言われたりしますけどね。
とにかく、いろんな憶測が飛びまくっちゃっているんですけども、あの〜…普通に終わるんですよ(笑)。
なので…まあ、アタシが何言ったところで、憶測する方は憶測するんでね。ええ。
というわけでですね、もうこんな時しかこんな事は出来ない…という、ラジオの常識をね、破りたい(笑)。AMラジオの…今はバイウェーブですけど…AMラジオの常識を破り続けた番組、横紙破りの反逆児としましてですね。ここは当然、黒幕ことプロデューサーの長谷川さんにマイク前に来ていただくということに相成りました。
長谷川さんよろしくお願いします。

長谷川P よろしくお願いします。
菊地 はい(笑)。
長谷川P こんな事でプロデューサーとして初登場するのは…大変忸怩たる思いがありますけれども。
菊地 とんでもございません(笑)。すごい面白いです。長谷川さんが喋ってるって事自体が。
長谷川P はい。あの〜…まったくそういう…何か特段の事っていうことではなくて、ましてや菊地さんが何か…
菊地 はい。
長谷川P 暴れた…とか。
菊地 問題を起こしたとかね。はいはい。
長谷川P そういうことでは…まったく、全く無くてですね。あくまでも、まあ…通常の編成上の判断です、と。
菊地 はいはい。
長谷川P …ということになります。
菊地 まあ、あの…よく言うところの「上の判断」っていう(笑)。
長谷川P まあ…。
菊地 なので、あの…ほんとに、何て言うんですかね、こういう時ってのは陰性になる方はね、文句言う方とか、特に番組ずっと聞きたいっていう人…それはいるでしょうから。ま、いらっしゃるでしょうけど、ま…ワタシは、忸怩たる思いは…あんま無いっていうか、いい子ぶるわけじゃないですけど、8年間好きなだけ好きな事やらしていただいたんで(笑)…まあまあまあ、もう十分だとも言えますし。ま、そういった話はのちのちゆっくりということで。いずれにせよですね、黒幕が事情の説明に出て来るっていうのは(笑)…どんな世界でも無いんで。
長谷川P はい。
菊地 黒幕ってのは、外に出て来ない人が黒幕なんで。これは番組史上初めてなのはもちろんですけど、下手するとTBS史上初めてかもしれないですね。出たことあります?
長谷川P あ、実はね、けっこうTBSラジオはスタッフが出がちだったりするんで(笑)。
菊地 (笑)。あ、そうか。ヤシマ君がコントやってるんだもんね。
長谷川P そうですね。ま、この番組では僕は出た事が無かったんで。今まで他の番組では時々出たりはしてたんですが。まあ、少なくとも特にこんな事情で…
菊地 はい。
長谷川P プロデューサーとして出るのは…ま、史上初ですね。
菊地 観測史上初って感じですね。
長谷川P はい。
菊地 では初めて尽くしにダルマの目が入る瞬間と言いましょうかね。事情を説明しに来たプロデューサーに、今夜の1曲目の曲紹介をお願いしたいと思います(笑)。
長谷川P …この曲ですか。
菊地 はい。
長谷川P え〜…The Beatlesで、アルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」より、「Hello, Goodbye」。

(曲)

はい。ワタシ…縁起でもねえんすけど、番組が始まった時から…第一回目から、「もしこの番組が何年後に打ち切りになるんだったら、この曲最後にかけよう。」と決めてました(笑)。
それでは、東京は港区赤坂、力道山刺されたる街よりお届けしております。TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」シーズン16、387回。番組終了まであと10回。今日からカウントダウン・ラジオということで…面白え〜(笑)。
「ちゃんと真面目にやってればよかった」かって?…「まっさかー!」って感じですよね。
はい。自由にいきましょう。それがいかに難しくてもね。
「ちゃんと(C)まじめに(M)」…CMです!

Extra Texture

Extra Texture

「いい意味で悪い奴。」

「粋な夜電波」第384回放送はフリースタイル。
最先端の音楽を紹介しながら、とりとめもない四方山話。
番組前半のゆるいトークの一部を文字起こししてみました。

SINK [12 inch Analog]

SINK [12 inch Analog]

あの〜…老力士(ロレックス)的に言うと、貴乃花さんは…日々、天龍源一郎さんに近づいてきてるんで(笑)。やがて天龍さんになると思いますけどね。入れ替わるかどうかは別として。
とはいえ、ワタシ自身は…ま、貴闘力ですよね。とにかく。
今テレビでガン見するっていうかね、キンプリももちろん観てますけどね。もう安定的なコンテンツになりましたから。
もう今のホットコンテンツは貴闘力ですよね。一人称「俺」っていうね(笑)。
あの…芝田山広報がね、元大乃国さんですよね。甘いもんがお好きで、スイーツの本まで出した方がね、スイーツがビターになっちゃって(笑)。代わりに貴闘力さんのね…
あの方こそ「維新力(いしんりき)」だと思いませんか?…声といい喋り方といい、顔つき…喋ってる時の顎(あご)の置き方といい、長州力さんそっくりですよね。貴闘力さんね。うん。
貴闘力貴闘力…って言ってますけど、維新力ですよね。維新力さんは別人ですけどね(笑)。だんだん、こう…貴闘力維新力になっていくっていうね。
あれこそWBOですよ。WBOなんて、この番組で言うこと自体が懐かしいですけど。
「W(悪くて)B(バカで)O(面白い)」というね。ま…バカって、貴闘力さんをバカ扱いしちゃいけませんけど(笑)。
その…悪くて面白いってことですね。あれはね、相当の上玉ですよね。「あれは…」っちゃあ、失礼ですけどね。一発テッポウ食らったら、こっちは死んじまいますけども。
なんての?…ヤバい話とかも、ちょっとするじゃないですか。
で…アタシなんかもそうなんですけど、皆さんもちょっとシミュレーションしていただきたいんですけど。
ヤバい話する時って、それまで顎上げて、ちょっとこう…基本的に貴闘力さんと同じ感じで顎上げて喋っていただきたいんですよ。みなさん、ちょっとね。
で、「俺はなんとかかんとかで…。なんとかじゃないすか。」って、顎上げて喋ってて、で…「ここだけの話、これちょっと言いづらいんですけど…。」って言う時は、さすがにちょっと顔下げて…。
なんて言うんですかね、耳元でひそひそするような感じっていうんですかね。そこまでしなくても、それに類似するムーブとして、ちょっとこう…下げた感じで。やっぱ顎がちょっと下がると思うんですよ。
「でも、あの件はやっぱり協会が…。」って、こう下がるわけでしょ。
でも、あの人下げないままですよね。
「細かいとこ観てんな、オマエは!」って感じなんですけど。昔から客商売でね、家が飲み屋だったら、そんなことばっか細かいとこ見るガキが育つんですけど。
顔を上げて顎上げたまま、目線と…眉間に皺寄せて、表情と声だけで「ヤバいんですよ、この話は…。」ってのを、顎上げたままできる人ってのは、本当に悪い奴(笑)。
悪いって…いい意味でですよ。いい意味で悪いって、なんか無茶苦茶な…エッセンシャルな話になってますけどね(笑)。
貴闘力さんが何かなさったというわけではなくて(笑)…「いい意味で悪い奴」って感じなんですけど。
要するに…凡人はね、下向いてひそひそすんのね。だけど、不良のほんとにコクのある脂っこい人ってのは、上を見た…顎上げたまま…。
やってみてください、みなさんも。顎上げたまま、眉間に皺寄せて「いやぁ、あの話はヤバいっすよね。」って、顎上げたまま出来た時には、ワンランク上だってことがね…わかると思いますけど(笑)。
そして、知らない間にどんどんどんどん長州力さんに似てるという意味で、ここにやっぱり…貴乃花さんが天龍源一郎に、で…兄弟子の貴闘力さんが長州力に似てく…というね、一つの相撲界とプロレス界という、オリジンから分かち難く…。
やっとプロレス界と相撲界ってのは、袂を完全に分けたのかな?…と思ったところにやって来た、コクのある昭和を思い出す老力士2大…って感じですけどね。


はい。もう一曲いきましょうか(笑)。
今年もね、16年…が凄かったですけどね。やっぱあるんですよね、ワインと同じでグレイトヴィンテージが。16年は相当いい年でしたけどね。今年もヤバいですね。18年デビュー組は相当な才能の人が…まあ、塁に溜まってた人が…出塁してた人が一気に得点したって感じで。
クレア・レネイっていう人なんですけど。今から「Yes You Are」という曲を聴きますが。まあ、この人もアルバム…どれでもいいです。「Let Me Glo」っていうアルバムを出しました。
この人はシンガーでソングライターで、しかもダンサーなのね。相当…単なるソウルとかR&Bのダンスじゃなくて、コンテンポラリーとかもやっている方なんですけども。アルバム、相当素晴らしいですね。
はい。1曲聴いていただきましょう。Yes You Are」という曲ですね。


Let Me Glo

Let Me Glo

(曲)


はい。クレア・レネイで、アルバム「Let Me Glo」から「Yes You Are」という曲ですね。え〜…まあまあまあ、素晴らしいですよね。普通に。いい気分って感じですよね。
で…これがね、最近のね…何っつったらいいかな〜…ハイクオリティ・ミュージックと、非常に雑に言ってしまえば…ですけども、ハイクオリティ・ミュージックのアルバムに共通する事なんだけど、もう4分以上の曲がほとんど無いですね。2分ぐらいで勝負ついちゃうっていう曲が多くて。
この番組、1時間で4曲って決めてるんですけど、「ジャズ・アティテュード」の時なんかはね、ジャズの人たちしつこいからね(笑)…20分とかあるんですよ。しつこくない方でも普通に8分とかある…6分とかある世界なのね。
逆に3分なんかあったら、ジャズって「何も言ってねーよ。」ってまま終わっちゃいますからね。
なんだけど…もうR&B、しかもオルタナ、フューチャリスティック…ってなってくると、もう2分あれば、そのビートで言いたい事言えちゃう…言い切れちゃうんで。いっぱい曲があるんだけど、聴き心地としては、もの凄く軽いっていうね。
だから今日よっぽどね、1枚のアルバムから2曲ずつかけようかなと思うぐらいです。1分ちょっとの曲もあるのね。


Night Visions

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ヘコメサール RECOMEÇAR

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