「メトロノーム・オールスターズ」

今週は「ジャズBAR〈菊〉」開店。ソウルバーに続いて、番組中に二軒目のお店を出した、景気のいい菊地さんですが、本業のジャズはお手のものということで、あらゆる角度から我々リスナーの耳を喜ばせるナンバーを放り込んできて、いつもにも増してムーディーな至福の2時間でした。
この回を聴いて、さらにこの番組のファン層が幅広い年代の方にまで広がったことは間違いないと思います。
「オレにもひとこと言わせろ」的なうるさがたのオヤジが、ハガキをじゃんじゃん送ってきて、さらに番組の熱を上昇させていくことでしょう。
とはいえ、自分のようなジャズのジの字も齧りかけのような、トーク・マスターとしての菊地さんへの興味から入ってきているリスナーには、今回のジャズ特集は非常に情報量も多く、勉強になる回でもありました。
番組の中でオンエアされた曲から聴き始めて、少しでもジャズの世界の深みを感じたいものです。
itunesの導入以降、すべての音楽は、現在流行している曲と過去にヒットした曲が同列に聴かれるようになり、時代の文脈とか関係なく、いい曲はいいと判断されるようになりました。いわゆる、佐々木俊尚氏のいうところの「アンビエント」が進んでいるわけですが、そうなると、その時だけワッと流行って、あっという間に風化していく音楽よりも、時の洗練を受けて今も残っている名作の方が質が高いことがわかってきて、どうせ聴くならそういうものを聴きたいと思っている人は多いのではないでしょうか。そういう人達が、菊地さんのガイドを通じて、ジャズに流れてくるというのは至極真っ当なことだと思います。
今回は、「メトロノーム・オールスターズ」の曲紹介の部分を文字起こししてみました。

The Metronome All-Star Bands

The Metronome All-Star Bands

(先週の「肉まんスチーマー」の話についてのメールを読んで)
…とにかく、ヤマザキの(笑)…肉まん蒸しがすげえビルディングぐらいデカくなっているっていうところに、まあ、肝があるんですけどもね。はい。
では、いきなりですが「メトロノーム・オールスターズ」いきましょうかね。まずはこれいかないとダメでしょ、景気付けに。
まあ…そうですね、蒸し器…すごいんですよ、とにかく蒸し器(笑)。…蒸し器の…フェティッシュの餌投げると、ガーッと食いついてくる、なんか生け簀みたいになってますけどね(笑)。あの…いかにね、現代人がフェティッシュってことですけども。
え〜、なんならもう、この音楽聴きながらですね、頭ん中で蒸し器のこと思い浮かべてもいい、蒸気がブンブンね、あの…ムンムン蒸気が沸いてるような演奏ではあります。
えー、「メトロノーム・オールスターズ(The Metronome All-Stars)」。今回あえてこう…ジャズ喫茶のオヤジの、こう…ね、なんて言ったらいいんですか、蘊蓄は避けてバンバン音を聴いちゃおうかと思うんですけど、やっぱりメンバーは言わないとダメでしょうね、これ。
これはまあオールスターズっていうくらいで、メトロノームは、まあ、有名なジャズの雑誌ですね。そこの人気投票で上位になった人達をオールスターズ・バンドに組ませたと、いうことです。録音は49年ですけれども。
えー、トランペットが、まだ「頑張れ若手の」マイルス・デイビス(tp)。そして大御所ディジー・ガレスピー(tp)、ファッツ・ナヴァロ(tp)、天才!。…えー、J.J.ジョンソン(tb)、天才!。…カイ・ウィンディング(tb)、秀才!。…バディ・デフランコ(cl)、いい人。…チャーリー・パーカー(as)、…もう、ど、どうしようもない、天才!。…え〜、アーニー・キャサレス(bs)、意外と無名だけど、この人…いいです。ビリー・バウアー(g)、これも天才、白人。え〜、エディ・サフランスキー(b)、ベース。シェリー・マン(ds)、ドラム。こいつ相当悪い奴、シェリー・マン、…西海岸ですね。…といったようなメンバーを主軸に、繰り広げられております中で、え〜、どの曲にしようかな。16…「VICTORY BALL」いきますかねえ。
…「ヴィクトリー・ボール」…ま、野球…ですよね。ですが楽曲は…、え〜、何っつったらいいんでしょうかね、これね、まあ、「トリスターノ調」ですね。レニー・トリスターノ(p)、チャーリー・パーカー、ビリー・バウアーの共作オリジナルで、アレンジが
レニー・トリスターノです。
レニー・トリスターノがどういう人か…なーんて話をしてると、あっという間に1時間経っちゃいますんで、説明は省略しますが、えー、盲目の…方でですね。チャーリー・パーカーが亡くなった時の、出棺の時の、えーとね、右前方…かな?…を担いだのが、レニー・トリスターノなんですけど(笑)。盲目なんで、途中でコケまして、えー、棺桶がガクンとこう…揺れたんですね。そいでパクッとこう…棺桶が開いてしまった瞬間に、鳥が鳴いたんですよ、キーッと。それで、有名な「Bird Alive」…「バードは生きている」っていう伝説が生まれた、きっかけを作った人ですけどね。えー、大変な奇人です。
え〜、ビーバップというよりも、トリスターノ・ミュージックというべき、非常に変わった幾何学的な音楽を作る方ですけれども、こういったオールスター物のような、派手な催しにも参加するような、結構万能感のある方ですね。
では、トリスターノ/パーカー/ビリー・バウアー…ビリー・バウアーはトリスターノ・スクーラーですけども。そして編曲が
レニー・トリスターノで、「VICTORY BALL」を聴いて下さい。

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