「ビュロー菊地の活動資金捻出法?」

今週の「夜電波」は選曲も最高で、ロイホ話も飛び出し、菊地先生の最新情報も満載で充実の内容でした。
先週の「交通ウグイスの実態スペシャル」はAMラジオ的に大いに盛り上がったようなのですが、やはり「ミュージシャン・菊地成孔」のファンとしては、今回のような放送こそ、まさに「神回」だったりします。
菊地先生の個人事務所「ビュロー菊地」の活動資金の捻出方法の裏側が明かされた?…その部分を文字起こししてみました。

ペプシネックス 500ml×24本

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時刻は夜9時をまわりました。あらためましてこんばんは、ジャズミュージシャンの菊地成孔です。
菊地成孔の粋な夜電波」第46回。え、ソウルバー〈菊〉開店しました。…ね、第三回をお送りしております。
(ハガキを1枚読み、80's ブルーアイド・ソウルについての話。)
えーとですね…、そうですね…、何の話からすればいいのやら。
えーと…まずはですね、キラースメルズですね。キラースメルズは、御好評…じゃない、おかげさまで好評につきですね、大変な数の(笑)予想を超える予約が入っておりまして…。ま、先週も言いましたけど、最初の1100枚にはオリジナルジャケットを封入するという特典を付けさせていただき、1101枚目から…2100だっけ…2100枚目まで…は通常の盤として…、まあ、特典が付かないというかたちで売らせていただきますが、ライブの会場でも売ります。
え、ちょうど今、オリジナルじゃない、新しいですね、製品用の菱田さんが書き下ろしたマンガのジャケットが…、なんていうんだ?…購入用サイトにアップされたばかりですので、そちらもILL(イル)ですから、ご覧下さい。かなりポップでイルになっております。ワタシも解説書いちゃったりなんかして。
はい。まあ、いずれにせよですね、何と言いますかねえ…。おかげさまで好評につき…とかなんとか言ってますけど。
…ま、もう一回言いますけど、このシーズンになってから聴いたリスナーの方とかは、キラースメルズって、こういう流れで聴いてると、「ああ、なんか菊地さんがプロデュースした新人バンドなんだな。」…とか、なんとかかんとか、勘違いされてしまう方が多いと思うんですけど、キラースメルスはそういうバンドではなくてですね、あの〜…ま、とにかく全貌を現してはないんですけどね。ワタシも末端構成員の一人であります。
そして発売する作品は、ワタシが講師を務めます学校の卒業制作の提出品をそのまま売るっていうだけですので(笑)、まあなんと言いますか、え〜…バジェット0(ゼロ)ということなんですよね。そうすっと売り上げが…純利…純利益が、文字通り純利になりますので、これをワタクシの事務所、私とマネージャーの長沼が二人でやっております(笑)、野郎二人でやっております、「ビュロー菊地」の活動資金にさせていただくと…いう形で、菱田さんには一銭も入りませんので……嘘ですよ(笑)。あの〜、ちょっとは入るんですけどね。…ええ、おでんとワンカップくらいのお金は入るんですけども(笑)。あと入りませんので。
え〜、活動資金ね。おお〜もう…ね、活動資金を貯めたいんですよ、やはり。組織としてはですね、はい。
…あのね、今ね、一番……どうしようかな。あっ!…って、ここまでね。人間怖いもんですよね。金に目が眩むとですね。え〜、人間…何て言うんですか…手を汚しても構うものか!という(笑)…悪魔がこう…囁いてくるんですよね。
ワタシあの〜、宇多田ヒカルさん…。現在人間活動中の宇多田ヒカルさん…がですね、まだ音楽家として活動されていた時の最後に出たテレビコマーシャル、これが「ペプシネックス」っていうコーラのコマーシャルだったんですけども。これのコマーシャルソングのプロデュース、ていうかコラボレーションをやってまして。
あの〜、シャンソンの、有名な曲ね、「愛の讃歌」。♪あなた〜の燃える手で〜♪…ってあの曲と、ジャズの名曲、チック・コリアの「Spain」って曲をマッシュアップしたトラックを、宇多田さんと二人で作って、…てまあ、プロデューサーとして仕事させていただいたんですが。
その時にね、宇多田さんって結構、オープンな方で、もう、そんなこと絶対ないと思ってたんですけど、…あの…ふざけんなイタズラだろ(笑)って思ってたんですけど、「宇多田ヒカル」って着信履歴で直接電話がかかってきたりすることは言うまでもなくですね、どんどんデモテープが送られてくるんですね、自分で作った。で、そのデモテープって言っても、あの…歌だけなんですよ。…ちょっと今軽くダジャレみたいになったんですけど(笑)、ダジャレじゃないですよ…、歌だけ送られてくる…ヴォーカルトラックだけ、送られてくんの。で、ヴォーカルトラックが送られてくるから、まあ…ワタシがアレンジャーで、それにこう…バックトラック付けて、戻して、で、「これが気に入った、これが気に入んない」というようなやり取りをしたんですね。1、2往復したんですけど。
で、まあ…歌だけとはいえですね、宇多田ヒカルさんはですね…(笑)すいません、なんかラップみたいになっちゃいましたけど。歌だけとはいえ、歌だけの宇多田ヒカルさんはですね(笑)、まあ…大変な才能で、もうヤバイ…ですよね。
…で、それにこう…自分でピアノ弾いたり、トラック付けてくってのは大変な喜びでですね、「わっ!コレもカッコいい、これもカッコいい!」って4つか5つ作って、「いや、もう全部スゴい完成度だな。」なーんつて、出来上がったもの聴いて、ちょっと軽く泣いたりしてですね(笑)感動して。…その結果、全却下になったりしてですね(笑)。もうね、ゼロから宇多田さんが新しいアイディア出してきて、そっちになったりして。…なーんていう、まあ、楽しい思い出もあったりするんですけども。
…アレ、売っちゃおうかな…と思ってですね(笑)。高く売れんじゃないかなっていう。クオリティはね、ハンパじゃないすよ。宇多田さんがヴォーカルでワタシがアレンジして、もう…入魂のアレンジですからね、しかもね、1曲や2曲じゃない…5、6曲あって全部アレンジ違うって、JAZZアレンジ、AORアレンジ、スティーリー・ダン風、アフロ・ファンク風かなんかで、いっぱいあるわけ。
で、これ聴きながら、たまに聴いて「超カッコいいな。」とか言って。「コレ売れねえかな。…殺されるわ!」っていう(笑)。…あの…もうどうしても活動資金が欲しい!ってなった時に、あれを手に取って夜中にぶるぶる震えたりして(笑)。あの〜、「売っちゃおうか、売っちゃおうか!」ていうね。キラースメルスで悪い癖付いちゃったんで、「売っちゃおうか、売っちゃおうか!」って感じになってますけどもね。ま、これをマネージャーに止めてもらうっていうね。ただ、マネージャーが「いきましょう!」ってなった時には止める人間がいないっていう(笑)…二人しかいないんだっていう…。この…やっぱり外部にストッパーっていうかね、検閲の団体がないと何しでかすかわかんないすからね、小さい組織ってのはね。はい。
ま、そのことに震えながら暮らしている(笑)という感じですけども。


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