「ハイキュー!!」

ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)

ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE」がマリンフォード頂上戦争に入ったあたりから、もう続きが気になって仕方なく、そこからジャンプを毎週買うようになった。
その間、大々的に新連載としてスタートして、あっという間に打ち切りになった作品を何本見てきたか…。週刊少年ジャンプで生き残るのはほんとに難しそうだ。
そんな中、今後に大きく期待できそうな作品もある。そのひとつが、バレーボール漫画の「ハイキュー!!」。
読み切りで掲載された時に、「これは連載いけるんじゃないか?」と予想していたが、連載開始後もなかなか好調で、打ち切りの心配におびえる時期をなんとか乗り切ったっぽい。まだ単行本も2巻までしか出ていないが、結構売れ行き好調なようだ。我が家でも、意外にもうちの相方が気に入って、コミックスを買うまでに。
主人公は身長が162cmしかないが、「小さなエース」に憧れる元気いっぱいの少年・日向翔陽。真っ直ぐで前向きな、いかにも少年誌向けの主人公を中心に据え過ぎてしまうと、退屈しがちな展開になりそうなところだが、この作品の面白いところは第一話の段階ですでにライバルの天才セッター・影山飛雄を登場させ、そしてさらには同じチームメイトになるというところからスタートする。
影山の方もいろんな複雑な背景を持った魅力的なキャラクターで、作者は最初からW主人公のような形を意識していたのかもしれない。キャラは違うが、「スラムダンク」における流川楓のような存在か。
実際、バレーボール版「スラムダンク」を目指せる要素もたくさんある。
まず、仲違いしている日向と影山を中心に、烏野高校バレーボール部の同じチーム内にあるトラブルについての話が続き、その中でキャプテンの澤村や、同じ一年生だが長身で毒舌の月島、優しい性格の正セッター・菅原、オラオラ系で坊主頭だが実は人のいい田中先輩など、ユニークなキャラの紹介も同時に進行する。最初の10話を乗り切ったのは、田中先輩のキャラが好評だったことによるところも大きい。
そして日向よりもっと背の低いリベロの「ノヤっさん」こと西谷夕、一度挫折してバレー部を離れた、エースアタッカーの東峰旭など、さらに個性の際立った先輩も登場し、烏野高校に縁の深い、烏養コーチも就任して、ついに「チーム烏野」のメンバーが揃った。
宿命のライバルを早々と登場させたが、キャラの魅力が足りなくて、早々に「巻き」の展開を強要されて打ち切りになっていく作品が多い中、まだ内輪の話だけで25話を乗り切り、その間にキャラをしっかり浸透させることができたのは大きい。
最近では直接ストーリーに関係のない、ちょっとしたエピソード(合宿所でのやりとり等)も挿み込んでこれるくらいの余裕もでてきている。
やっぱりまずはキャラが受け入れられないと、どんなに凝った展開とかを用意していても、それを披露することすらできなかった作品も多いのだと思う。
ONE PIECE」がゾロやウソップ登場の段階で人気が上がらずに打ち切りになっていたら…と想像すると、ゾッとする。それぐらい最初でキャラを認知させることは重要だ。
最初に内輪の話だけで人気を確保したというと、ますます「スラムダンク」と比較したくなるが、ここにきて本誌連載でいよいよライバルとなる、音駒(ネコマ)高校バレーボール部が登場し、初対決を迎えるという展開に突入。
この相手チームのメンバーの登場のさせ方もうまかったし、やっぱりそれぞれのキャラの個性の持たせ方が見事だと思った。
しかもこの対決、まだ練習試合なのだ。
キャラの認知の段階をクリアし、軌道に乗ったところで、今後の展望を想像すると、これから大会が始まり、県予選、全国大会と続いていけるわけで、ひとつの試合を丁寧に描いていけば、長期連載も可能だと思う。
まずはこの「カラスvsネコ〜ゴミ捨て場の決戦」で、それぞれのキャラが持つ才能の片鱗を紹介し、「次は必ず全国の舞台で決着をつける!」という展開に持って行く…そこまでに今の人気をキープすることが大事。
必殺技や特殊能力に頼らない正統派スポーツ漫画として、それこそ「スラムダンク」以来のヒット作になるのではと、大いに期待しています!
ハイキュー!! 2 (ジャンプコミックス)

ハイキュー!! 2 (ジャンプコミックス)