「リーサル・ウェポン、大谷能生さん登場!」

スペシャルウィークの「粋な夜電波」第120回放送は、もうすぐ電波祭ということもあって、ついにあの方がゲストに満を持して登場。
菊地先生に天才と呼ばれる、著述業の相方でもある大谷能生さん。
数々のコンビ仕事の中で最新のものが、現在制作の真っ最中というジャズドミュニスターズのアルバムになりますが、そこからの曲を次々にオンエア。
まだ完成状態ではないといいながら、世界初で電波にのったトラックは激ヤバ最高でした。オンエアでしか聞けないその場でのミックスも凄かったです。
息ピッタリの二人のトークはもちろん爆笑もの。いやあ…すべてが面白い!
今回は初の2時間スペシャルということだったので、8時半をまたいだ後半のトークの一部を文字起こししてみました。

ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く

ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く

菊地 はい、時刻は8時半を回りました。珍しい〜てか、初めて〜! ジャズミュージシャンの菊地成孔がお送りする「菊地成孔の粋な夜電波」、今週はジャズドミュニスターズのバリトン担当
大谷 バリトン担当の(笑)…マ〜♪大谷能生です。
菊地 大谷能生君と一緒に…
大谷 初めて?…初めて…ん?
菊地 この番組では初めてですね。
大谷 ですね。
菊地 まあ…ね。いつも一緒に仕事してるからね
大谷 (笑)。
菊地 ほとんど一緒に仕事してるんですけど、この番組は初めてね。
大谷 そうですね。まずは…えーと…そうですね、呼ばれないし、来ない!という感じですね。
菊地 (笑)。まあ、そこは微妙なとこですよ。
大谷 はい。
菊地 お互い単独の仕事になるとさあ…。
大谷 そうですね。
菊地 大谷君はジャニーズの研究で…
大谷 ジャニーズ研究もやってるし、コンテンポラリー・ダンスの仕事もやってるし。だから、バラバラですよね。
菊地 そうだね。オレはハイモードやってるからね。
大谷 やってるしね(笑)。
菊地 お互い一人ずつになると、あんまり人のいない世界に…
大谷 そうそうそう。
菊地 ジャニーズはいるか!?
大谷 ジャニーズはいるけど…
菊地 ジャニーズ研究がいないんだ。
大谷 ジャニーズ研究はいない。
菊地 あんまいないよね。
大谷 「ジャニ研!」って本を出したんですよね。
菊地 あれは…名著ですよ。
大谷 俺、だから…去年から今年にかけて4冊ぐらい本出したんだよ。
菊地 出したよね〜。
大谷 「ジャズと自由は手をとって(地獄に)行く」って本を出しましたから。
菊地 (笑)…あれもスゴイよね。
大谷 (笑)。
菊地 あれはまあ…長いスパンのエッセイ集ですけどね。
大谷 ま、そうですね。
菊地 まあ…著述家であり、いろんな…大変な才人なんで中心がわかんないっていう、ほんとにボリス・ヴィアンみたいな人なんですけど
大谷 (笑)。
菊地 オレが7、8年前からずーっと思ってたのは…
大谷 はい。
菊地 「ラッパー」にすれば、はっきりするんじゃないか!(笑)。
大谷 なるほど(笑)。
菊地 散らばって…散乱していた才能がひとつにこう…まとまってくるんじゃないか?
大谷 …その結果?
菊地 その結果こう…(ジャズドミュニスターズに)なってしまった…ということですね。
大谷 これもまたね…アッパーとダウナーじゃないけど…あ、そうだな…アッパーとダウナーって感じじゃないですもんね。何て言えばいいんだろ?
菊地 そうね。だけど、これはあの…ポエトリーリーディング復権させるアルバムでもありますね
大谷 あ、そうですね。それは完全に思ってますね。
菊地 ヒップホップはもういまや、ポピュラーって感じ…オーバーグラウンドのポピュラーですけど。ほんとはアジテーションから上がってきた側面もあるので。
大谷 そうですね。そういう流れとも繋げたいな〜ってのはある。
菊地 繋げてる。
大谷 我々だと、ほら…やっぱりチャールズ・ミンガスとも繋げたいわけだし。
菊地 そうですね。あとシュールレアリスムね。
大谷 シュールレアリスムね。フランスとね。
菊地 繋げていくっていう。
大谷 そういった方向ではあるんだが、またこんな話しても誰も聞いてくれないんですよね〜
菊地 (笑)。
大谷 本当に(笑)。
菊地 どうですか、「これは理解されないだろうな〜」と思いながら楽しく作業するっていうことに疲れる疲れない?…(笑)。
大谷 まったくありませんね。
菊地 まったく無いですよね。
大谷 ものすごい元気が出ますね。
菊地 いやあ…あの時間ほど楽しいもんないよね。
大谷 ないですね。
菊地 これ分かんねえだろうな〜。…でもさ、恐ろしいことに、それで興奮する人がいるんだよね。
大谷 ああ、そうなんですかね。
菊地 うん。
大谷 分かんない感じがいい!っていう…
菊地 いいんだよ!
大谷 それはオレもそれで興奮するタイプだから。
菊地 そうそうそう。オレもそうだもん。
大谷 何だかほんとによく分からないんだけれども、何だろう?ってのが…
菊地 一番興奮するのが「知らない言語」だからね。
大谷 あ、ほんとほんと!…うん、そうなんですよ。
菊地 外国で映画行くのすごい楽しい。
大谷 すごい楽しい、うん。
菊地 ね。…ここら辺がね、好みがね。
大谷 そうですね。
菊地 好みですよ、ほんとに。センスとかじゃなくて、好みの問題として「分かんないの嫌な人」と「分かんないの好きな人」がいるもんね。
大谷 えっと…古い雑誌を読むの、すごい好きなわけ。
菊地 はいはい。
大谷 もう、誰も知っている人がいない雑誌が…
菊地 (笑)。
大谷 …読んでるのが一番くつろぐっていうね。
菊地 ああ、そうね。「暮らしの手帖」ですね。
大谷 そうそうそう、「暮らしの手帖」の70年代60年代読むのが今の…
菊地 「銀座百店」ですね(笑)。
大谷 (笑)…今の唯一のホッとする時間。
菊地 癒しでしょ?
大谷 あ、そう。癒しってやつ。
菊地 大谷君にも癒しがやってきた!っていう。
大谷 そうそう、びっくりしましたよ。これが初老なのかと思いましたね。
菊地 41でしょ、まだ(笑)。
大谷 いやいやいや(笑)。「暮らしの手帖」読んで、お茶飲んでたら初老っぽいじゃないですか。
菊地 あ〜、そうね。
大谷 すごい、いいですよ。あの「ちょっとしたヒント」とかさ。
菊地 やばいね。
大谷 楽しい楽しい。
菊地 買おうか、杖!
大谷 杖ね(笑)。
菊地 そう、みうらじゅんさんみたいに(笑)。
大谷 あの、下が三つ又に分かれてるやつにしようよ。
菊地 (笑)。
大谷 あれ本気ですごいよね。
菊地 まあ…どんどん昭和に戻ってるっていうね。
大谷 うん。
菊地 すごい速度で、過去と未来と同じ速度で…ビッグバンみたいだよね
大谷 (笑)…ドーン!って、過去と未来にね。
菊地 過去と未来にドーン!って、高速で…
大谷 戻ってますね。
菊地 だから「とどまる」「しがみつく」っていう運動に対するアンチテーゼですよね
大谷 ですね。
菊地 過去と未来、そして過去未来軸と別の軸に…(笑)。
大谷 だって俺、今一番詳しいの1920年だもん
菊地 (笑)。今、AMラジオでさ、ゲストで来てさ、「俺、今一番詳しいの1920年代だ」って言った人いないよね。
大谷 ベーブ・ルースの打率とか覚えてるよ
菊地 (笑)。

ジャニ研!: ジャニーズ文化論

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