「泥の家族」

泥の家族 (幻冬舎よしもと文庫)

泥の家族 (幻冬舎よしもと文庫)

三省堂書店に詰め将棋の本を探しに行ったら、「幻冬舎よしもと文庫創刊!」のポスターとともに、平積みされている数種類の文庫本が目に留まった。
松本人志島田紳介の「哲学」や品川ヒロシの「ドロップ」など、少し前の話題作が文庫化されていたわけだが、その中に「泥の家族」というタイトルの本が気になって手に取ってみると、東野幸治の著作だった。
へーこんな本出してたんだー。
初めて知ったのだが、出だしの数行をちょっと読んでみたら、いきなり面白そうだったので買ってみた。
「3割真実で7割作り話」ということだが、これが自伝的なエッセイか何かだったら、自分の生い立ちや家族の面白エピソードに過ぎず、特に新鮮味もなかっただろうが、いきなり「かつて父親だった男が何者かに殺された」という知らせを受けて、久しぶりに家族が一同に会するというフィクションっぽいシチュエーションから物語が始まるなど、構成的にも工夫が凝らされている。
文体も淡々としていながらも、大阪弁が効果的だし、東野幸治の意外な文才にちょっとびっくり。
かなり面白く読めた一冊だった。
もっと本書けばいいのに。