面白いぞ「1Q84」。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

とりあえず上巻だけ買って来て、まだ読んでる途中なのだけどね。
いや、今回面白いよ「1Q84」。
今回また新境地を切り開かれたような気がする。
海辺のカフカ」は作品のまとまり具合がちょうど良く、村上春樹のベスト盤のような作品だと思っていて、個人的にも好きなのだが、新しいチャレンジがなされているかというとどうかな?という疑問もあった。かといって、「アフターダーク」は、おなじみの春樹文体からの脱却という点で新鮮ではあったが、内容的にあまり感情移入できず、正直あまり面白く読めなかった。
そして今回の「1Q84」だが、「アフターダーク」を踏まえた、客観的な視点と簡潔でよりリアル感のある文体を駆使ながらも、おなじみの春樹ワールドもより深く掘り下げた次元で展開されているという印象を受けた。
ふたつの異なるエピソードを交互に展開していくという構成は今までにもあったものだが(新潮社書き下ろし作品らしいともいえる)、過去の作品では今まさに動いているオンタイムなエピソードとの対比で、静かな回想や関連事実の引用が多くて、ストーリーに後々影響してくると分かっていながらも、興味を持てない部分だと、正直読むのが苦痛な箇所も多くあったりした。
しかし今作では両エピソード共に現実感を持って動いており、おそらくパラレルに位置するので、どこでこのふたつの話が繋がって来るのかという興味も惹かれ、かなり続きが気になる感じでぐいぐい話の中に引き込まれていった。
「『何か』が『どうにかなっている』」というハルキ的はぐらかしも今回はあまりなく、単純に主人公がこの後どうするのかというドラマの部分に興味がフォーカスされ、夢中になって読んだ。
まだ途中だけど、これは最高傑作になりそうな予感。
早く続きが読みたい。