「昇れる太陽」

昇れる太陽

昇れる太陽

なかなか中古に出回っていないようなので、見つけたときが買いだなと思っていたら、今頃になってようやく買うことになったエレカシの新作。
かなり売れているらしいし、いろんな雑誌で軒並み絶賛されているので、逆に不安でもあった。
ポップ度が増して聴きやすくなったからって一概にいいともいえないのがエレカシの複雑なところ。
しかし、聴いてみたら、おお、これは素晴らしい。
何よりも宮本の歌が力強いこと半端ない。
ポップな曲ばかりかと思ったら、エレカシらしさ全開の激しいナンバーもあり、混沌としつつもひとつひとつの音はクリアになっており、まさに最新型にブラッシュアップされたという印象。これを聴くと前作「STARTING OVER」が、「新型エレカシをほんのさわりだけご紹介」というものだったかのようにすら思えてしまう。
もともと宮本が目指していたのはこういう音だったのに、今まではバンドの不器用さと届けるべきターゲットがぼやけていたために、混乱と葛藤を繰り返し、なかなか辿り着けなかったレベルに、この新作ではとうとうこれた。
それは、ヒット請負人のプロデューサーを立てたからとかの理由だけではない。以前小林武史を立てたこともあったけど、肝心の曲に勢いが感じられなかったもの。
それに比べてなんなんだ今回のこの勢いは。今のバンドを取り囲む状況が非常に良いのだろう。
宮本自身も雑誌のインタビューで「愛されてる環境の中で一番力を発揮出来るタイプ」だということをようやく自覚した発言をしていたし。……そこに気付くまでに何年かかってるんだ(笑)。
個人的には今のこの充実した布陣で、ぜひともセルフカバーアルバムを作ってもらいたい。エピック時代の曲の版権がどうなっているのかわからないが、過去の曲はいいのに音が聴きづらいがために日の目を見なかった曲たちを復刻させてもらいたいなあ。