「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

本谷有希子WEEK。
読みやすいのですぐ読めちゃう。
映画の方を先に観ようかとも思ったけど、予告編を観たのでそのイメージを踏まえつつ先に原作を読んだ。
原作といっても先に舞台があって、その脚本のノベライズなんだっけ。
読んでみて、「江利子と絶対」の時の初期短編より、明らかに地の文の書き方がうまくなっていると思った。
単なる台詞のやりとりだけに終わらず、ちゃんと小説っぽい。
逆に上手くなってしまったがゆえに、途中やや説明っぽくなり過ぎているところもあった。
ほんとはそんな説明すっ飛ばして、はやく登場人物を暴れさせたいのだろう。
そんな作者の衝動がストーリーとうまくシンクロしていて、スピード感があって面白かった。
トラウマ見本市のようなキャラ設定もその相関性がより多面的になってきて、もっと深いところまで描けるようになっていきそうだ。
とりあえず文庫になっているものから読み始めているが、近年はどういうものを書いているのか気になるなあ。