「トゥルー・グリット」


錦糸町楽天で初めて映画を観た。
なんか「ドラえもん」とか「コナン」とかの子ども向けか「武士の家計簿」的な時代劇とかしかやってない印象を勝手に持っていたのだが、お、なにげに今「トゥルー・グリット」上映しとるやん!と気付いたのだった。
おととい「ノー・カントリー」を観て、コーエン兄弟作品のバイオレンスの演出の上手さに感心したとこだったし、ジョシュ・ブローリンという役者のことも初めて知った。
そーいや先日、早稲田松竹で「クレイジー・ハート」を観て、「なんやこのジジイ、めっちゃシブイやんけ〜」と思ってたらそれがジェフ・ブリッジスだった。アカデミー主演男優賞獲ったということもそれまで知らなんだわ。
さらに今週末のシネマ・ハスラー賽の目映画がまさにこの作品に当たっているということで、「トゥルー・グリット」を観るお膳立ては完全に整っていたわけだった。
地方の映画館臭が漂う楽天地シネマはなんだか懐かしく、スクリーン1は意外に広くて「劇場」って感じ。だが平日の昼間なもんで、客はほとんど老人ばっか。本作は「西部劇」ということで特に多かったのかも。
そう、この「True Grit」は1969年の西部劇映画『勇気ある追跡』のリメイク…ということらしいのだが、もちろん自分は元の作品は観ていないし、原作も未読。そもそも西部劇とかガンマン映画というもの自体になじみが無い。子どもの頃にテレビでやってたクリント・イーストウッドのやつを観たことがあるような記憶がぼんやりあるくらい。
だから「コーエン兄弟作品」という印が付いていなかったら観ようとは思わなかっただろう。しかしいくらコーエン兄弟作とはいえ、なぜ今、西部劇なのか?…やや疑問に思いながらも、内容については特に先入観を持たずに観た。
…いや、面白かった。いい。いいよ、これ。気に入りました。
ストーリーは単純な復讐劇で難しいことは何にも考えなくてもいい。父の敵をとろうと決意する健気だが少々意地っ張りの14歳の少女・マティ。その仇討ちを頼まれたアル中で老いぼれの荒くれ保安官・コグバーン。テキサスの田舎者だが腕に自身ありの若きレンジャー・ラビーフ…この3人のキャラが立っててそれぞれ魅力的。その関係性も仲違いは絶えないが実は一目置いているという微妙な間柄で緊張感あるし、その中でのやりとりも面白い。
広大な荒野、失踪する馬、過酷な旅、迫力あるガン・ファイト…アメリ男の大好きなエンターテイメントの要素がすべて詰まっている。
ま、そういうのが西部劇、つまりはハリウッド映画の原点っていうことなんだろうけど、2011年の今、日本で観ても十分面白く感じたということは、そのフォーマットの耐久性だけでなく、やっぱり普遍的なテーマが通底しているからなのだろう。
あと「ノー・カントリー」を観た時も思ったことだが、きっとコーエン兄弟は「アメリカの風刺」が上手いのだと思う。古き良きアメリカに対する郷愁や、それを失った現在の殺伐としたアメリカとの対比、そこから浮かび上がる問題点などを、独特のユーモアを交えて、あまり押しつけがましくなく描いている。なんとなくアメリカがどういう国か、分かったような気になるんだよね。
たぶんこのユーモアのさじ加減に満足するかしないかでコーエン兄弟作品に関する評価が決まってくるんだと思う。そしてきっと自分はこのセンス結構な確率でツボにはまるんだろうな。
「ファーゴ」と「ビックリボウスキ」はずいぶん前に観たけど結構忘れてる。他の作品もひととおり観たいが、以前観た作品ももう一度観直したいな。
http://www.truegritmovie.com/intl/jp/