「赤い影」

赤い影 [DVD]

赤い影 [DVD]

久々に更新された「町山智浩アメリカ映画特電」で、なぜか1973年のこの作品が今このタイミングで紹介されていて、不思議に思っていた。
http://www.enterjam.com/?eid=2527#sequel
ネタバレを含む解説のため、まだ観ていない人のための前編と、すでに観た人のための後編に分けて配信されていたので、まず前編を聴いてからDVDを借りてきて観て、その後後編を聴いた。
もともと町山氏のおすすめの映画を、後追いで観て答え合わせをするような楽しみ方をしているので、こういう方式は面白い。前編を聴いた後では無性にその映画が観たくなるし、映画を観終わった後では、自分の感想や疑問が的外れでないのかを、後編を聴いてすぐにでも確かめたくなるのだ。
この作品は今となって観ると、そこまで難解に感じなかったのだが、いろいろ意味深な映像が散りばめられ、時系列が前後して話が進んで行くので、当時としては斬新な作品だったのだろう。
ホラー的な要素もあれば、謎解きの要素もある。夫婦の葛藤を描くヒューマンドキュメンタリー的な要素もあって、ひとくちに説明するのは確かに難しい。
全編にわたって美しい映像の映画だが、特に取り立てて派手な展開があるわけでもないので、事前に町山氏の解説を聴いて興味を惹かれていなかったら、多少観ていて退屈したかもしれない。
ラストにどんでん返しが用意されているが、それでもそのオチ一発で持って行くような作品ではなく、いろんな意味を混めたカットを丁寧に繋いで構築することによって、観る側の不安を掻き立てたり、謎に頭を悩ませたりするように作られているから、いろんな意味を見いだせる深みがあるのだなあ。(ちょっと「シックス・センス」に似てるな〜とやはり思ってしまったが、それは逆で、シャマランがこの作品をパクっとるわけだ。)
のちにいろんな作品に影響を与える重要な一本だったことは納得がいく。