再度、「アジョシ」を推す。

先日観たウォンビン主演の韓国バイオレンスムービー「アジョシ」。
ライムスター宇多丸のシネマハスラーでも取り上げられたが、その中での宇多丸氏の評論がいちいち深く頷けて、「そうそう!
そうだった。そこよかった!」と改めてこの作品の良さを確認。
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2011/09/924_1.html

さらに、「映画秘宝」の今月号に載った、イ・ボンジョム監督のインタビュー記事が面白くて、当初の構想、製作中の秘話、公開後韓国で昨年のNo.1ヒットになったことを受けての現在の心境などが語られ、読み応えがあった。
「アジョシ(おじさん)」と少女に呼ばれる役柄だから、当初はもっと年配の役者を想定していたらしい。60代、具体的には北野武をイメージしていたというから、それはまた意外。
ウォンビン本人からの熱意ある逆オファーを受けて、今作の形になったらしいが、そこで役者に合わせてキャラクター設定などを柔軟に変えて、「それならそれで」とまた別のアプローチからのテーマの掘り下げを出来るあたり、監督の確かな力量を感じる。
宇多丸氏も言っていた通り、今回はウォンビン演じる主役のテシクはもちろん、天才子役キム・セロン演じるヒロインの少女ソミ、超極悪のマンソク兄弟や、毎度おなじみ「間抜け」に描かれる韓国警察の面々、など、登場人物の誰もがキャラクター立ちまくり。これも無駄を省いた最小限の細かな演出の積み上げによって実在感を吹き込まれているのが素晴らしいのだが。
中でもやっぱり印象深いのが、敵に雇われたラム・ロワンという殺し屋の存在感。演じたのはタナヨン・ウォンタラクというタイ人の役者さんだが、加藤雅也とケミストリーの堂珍を足して2で割ったような、いわゆる濃いい男前だが、日本人から観ても親しみの持てる顔がゆえに、細かい表情から様々な心情が読み取れて、「ああ、こいつ決して悪いヤツじゃないな…」と感情移入してしまう。

そのラムとテシクの絡み。お互いを認めあった上で、でも一歩も譲れない関係性、ここは大きなみどころなので、少女とテシクの心のふれあいも重要だが、このふたりの男同士の魂の交流をもっとフィーチャーした宣伝の仕方をしてもいいのではないかと思う。
…そうすると「アジョシ」を観に行く「フジョシ腐女子)」が激増して、さらに大ヒット!という流れが出来ると思うのだが…。(結局これが言いたかった。ダジャレです、すいません)

ソミ役を演じたキム・セロンは「冬の小鳥」という作品で一躍注目を集めたらしい。
正直、「アジョシ」の中ではその天才子役ぶりというのはいまいちわからなかったのだが、それはなぜなら、話に必要な説明的なセリフをこの少女に言わせる部分がかなりあって、「そういうこと言うかな普通〜」とちょっと懐疑的になってしまったのだった。ま、逆に言うと、この子役の演技力を買って、あえて説明ゼリフを言わせていたともとれる。
近いうちに「冬の小鳥」、ぜひ観てみたい。
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