「スラムドッグ$ミリオネア」

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]

先日観たダニー・ボイルの「127時間」は結構面白かった。
そういえば、ダニー・ボイルといえば、ブリット・ポップブームど真ん中のワタシとしてはモロに「トレインスポッティング」にハマった世代でもありまして。
その後に第一作の「シャロウ・グレイヴ」を観て、これが「トレインスポッティング」よりさらに面白いじゃん!ということで、一時期はかなり盛り上がってたこともあったな。
それで次もサントラ先行で「普通じゃない」を観て、アレックス・ガーランドの原作を読んでから「ザ・ビーチ」を観て…と続いて行くのですが、ことごとく「あれ?」…「いまいち…」と期待外れだった印象が残ってしまったので、その後の作品はすっかり観なくなってしまっていたのだった。
…あ、「28日後」は観たか…でも、あれもなんだかなあ…って感じだった。
なので、「グラミー賞を獲った!」と聞かされても、「え〜…ダニー・ボイルがグラミー監督賞?…そんな巨匠かねえ…」という冷めた反応。
「スラムドッグ$ミリオネア」は、あらすじを知れば、そこそこ面白そうだとは思ったけども、いずれDVDで気が向いた時に観ればいいか、てな具合だった。
で、ようやく観たんだが…、うん、決してつまらなくはなかった。面白かったよ。
これは宇多丸氏が過去にシネマハスラーで批評していたのをすでに聴いてしまっていたからなのかもしれないが、やっぱり随所にダニー・ボイル的あざとさは目についたよね。
貧困に苦しむインドのスラム街を撮影していながら、簡単には解決できない社会の歪みをテーマに置きながら…どうにも誠実さに欠けるというか。
やっぱり「これからはインドっしょ!。次インドくるっしょ!」という軽いノリで飛びついて、「ま、そう難しいことは後回しにして、とりあえずこのインドのマンパワー、迫力あるっしょ!」「歌って踊って、これぞエンターテインメントでしょ!」っつう、ギョーカイ人のノリ的なものが前面に出てる気がしてならない。
ま、そんなノリと勢いで作ったわりにはクオリティ高いけどね。…それがダニー・ボイルの凄いところか(笑)。