「クインテット・ライブ・ダブ@JZ Brat」

菊地成孔クインテット・ライブ・ダブによる「イズファハン」

菊地成孔クインテット・ライブ・ダブによる「イズファハン」

初めてジャズ・クラブに行ってみた。渋谷の「JZ Brat」。
にわか菊地成孔ファンとしては、まずは氏の演奏をぜひ一度生で聴いてみたかった、その念願ついに叶ったり。
9月末に「第三インターネット」のスケジュールで公演情報を知り、問い合わせフォームより申し込んでみたら、運よく予約を取ることができたのだった。
今までライブを観に行く時は「ぴあ」でチケットを買って…というやり方しかしたことがなかったので、その時に初めて、「あ、あくまでもお店の席のリザーブを取るのであって、チケット代にあたるのはミュージックチャージなんだ…」ということも知ったのだった。そんな感じだからして、「ドレスコードとかあんのかな〜」と妙に緊張し、やや不安を抱えつつ向かった。
渋谷のセルリアンタワー東急ホテルの2FにあるJZ Bratは高級感漂うオシャレな雰囲気。受付で名前を告げると、案内されたテーブルは、ステージのど真ん前の2列目。
周囲には優雅にワインやカクテルのグラスを傾ける、余裕のある大人の方々ですでにほぼ満席。「なんか都会のナイトライフって感じやん…」とやや気後れしつつも、こんな間近で菊地さんを観れることへの嬉しさで舞い上がってしまった。
開演が21時30分からなのに1時間程前から入店可能なのは、みんなただ観にきてるんじゃなくて、その前から食事やお酒を楽しんでいると、そのうちライブが始まるってつもりで臨んでいるのだろう。こっちは「ジャズのライブって、どんなんか観てみたくて、初めて来ましてん。」てな感じで、開演10分前くらいに席についたので、とりあえずワンドリンクオーダーはしたものの、ゆっくりお酒と料理を楽しむつもりで来てないから、そわそわして大人の余裕まったくなし。
音楽評論家の中川ヨウさんプレゼンツということで、最初に女性の方(この方がヨウさん)が挨拶し、バンドを呼びこんでくださると、お店の後方から普通に店内を通って、アルトサックスを持った菊地さんとメンバーの皆さんが登場。スーツでビシッと決めてシブい!
マイクに向かって菊地さんが喋り始めると、ラジオで聴いているのとほぼ同じフランクな感じなので、客席の緊張もほぐれる。
しかしいよいよ演奏が始まると、ぐっと夜っぽいムードにチェンジし、こちらも音に集中していく。
音響の設備がいいのだろう。とにかく音がよいのにびっくり。いつもスタンディングのライブハウスで爆音ばっかり聴いているので、こんなに近くの生音が届く距離にいることもないし、もちろん一流の演奏による各楽器のバランスによって一音一音が耳にしっかり入ってくる経験も初めて。さらにこのクインテット・ライブ・ダブというバンドならではの、ダブエンジニアがいることによる音響効果が素晴らしく、ダイレクトな生演奏の迫力を感じつつも、リバーブやディレイなどのエフェクトによって音像が立体的に感じられて、まさに異空間にいるような気になってくる。
静かな曲は吸い込まれるように聴き入り、アップテンポの曲は脳内をサックスの音色が駆け回っているかのようで、ちょっとしたトリップ感すらある。
自分のようなジャズ初心者には、このダブを加えたエレクトリックなサウンドは入っていきやすくてすごくよかったと思う。連れて行った友人もジャズにはあまり詳しくなく、こういうライブを観るのは初めてだったが、すごく楽しめたと喜んでいた。
アンコールでは、まさかの菊地さんのスウィートなボーカルによる、薬師丸ひろ子「Woman ―Wの悲劇より」と、松田聖子Sweet Memories」。こういう曲を洗練されたアレンジで聴かせるあたりも、音楽に対して柔軟な菊地さんならでは。最高のファンサービスだった。
これから年末にかけて、ライブのスケジュールが目白押しの菊地さんだが、機会があればぜひまた観に行きたい。ブルーノートとかも行ったことがないし、そういう大人の夜の楽しみ方を少しずつ覚えていくというのもいいなと思ってる。自分も40になったんだしね。

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