- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
今年最初の「シネマハスラー」で、「人生万歳!」を扱った時に、近年は同じような作風の小品をコンスタントに作り続けているウディ・アレンだが、この作品だけはちょっとウディ・アレンらしくなくて、意外性があって面白い…というような評を宇多丸氏が述べていたのを覚えていたので、いずれ観てみようと思っていた。
元プロテニス選手のクリス(ジョナサン・リース=マイヤーズ)が、上流階級のトム(マシュー・グッド)と親しくなり、彼の妹クロエ(エミリー・モーティマー)と交際するようになり、金持ちの仲間入りを果たしていく…という話。しかしここで、トムのフィアンセで女優志望の魔性の女、ノーラというのがクリスの目の前に現れる。このノーラを演じるのが、アバズレを演じさせたら右に出る者はいない、真性ビッチのスカーレット・ヨハンソン!
…クロエと結婚し、義父に仕事も世話してもらい、実業界で成功しかけているのに、ノーラとの不倫に溺れるクリス…。ああ、家庭が崩壊する気配がプンプンする。やがて、いよいよ追い詰められたクリスは、ノーラの殺害まで計画するようになるのだ。
昼メロのような愛憎入り乱れる不倫劇といってしまえば、よくある話なのだが、ウディ・アレンらしい皮肉たっぷりの小粋なジョーク的演出がふんだんに盛り込まれ、最終的にどうなるのか緊張感を保ったままラストまで観ることができた。
冒頭に出て来たテニスの例え、ネットに当たったボールが自陣に落ちるか、相手コートに落ちるかで勝敗が決まる…というシーンを、もう一度ラスト間際で持ってくるあたりは、やっぱ気が利いていて思わずニヤリとしてしまう。
ところどころ、間延びしたシーンがあって、決してテンポはよくないが、気軽に楽しめる作品だったと思う。