「『サウダーヂ』を再び。爆音で。」
吉祥寺バウスシアターに初めて行ってみた。
ナント三大陸映画祭でグランプリを受賞し、再度評価が急上昇している「サウダーヂ」。
バウスシアターでの上映は今週までで、さらに「爆音上映」は月・木のみということだったので。ちょうど休みだったから、これは行かねば!ということで。
(爆音上映とは、通常の映画用の音響セッティングではなく、 音楽ライヴ用の音響セッティングをフルに使い、ボリュームも限界まで上げ大音響の中で映画を見・聴く試み。吉祥寺バウスシアターとboidが定期的に行う上映イベント。)
一度観た作品を、あまり間を空けずに二回目を観に行くということは、ほぼ初めて。どうせ観るなら、また違った映画体験になるといいと思い、爆音上映を楽しみにしていた。
結論からいうと、「サウダーヂ」は爆音上映にすごく向いている作品だと思った。
ややセリフは聞き取りにくくなるけども、もともと甲府の方言でリアルに喋っているセリフだから、細かい言い回しの部分が不明瞭でもあまり気にならなかった。
アーミービレッジのライヴのシーンはもちろん、ほんとのライブ会場にいるような音圧で迫力があったし、それ以外の音楽も低音がズンズンくるので、サントラを大音量で聴けるだけでも楽しい。
爆音で聴くのを最も楽しみにしていたのが、クライマックスの商店街闊歩シーンでかかる例の曲。あれが大音量で鳴ったらアガるだろうな〜と期待していたのだが、意外なことに、暴走族のバイクのマフラーを吹かす音がもの凄くデカくて、曲がほとんど聴こえないくらいだった。…いや、これが逆にすごく良かった。ヤンキー文化真っ盛りの時代って個人的にはすごく相容れないのだが、さびれゆく地方都市にとっては、あの下世話なエネルギーですら切実に取り戻したいもののひとつなのだろうと思ったら、ちょっと泣けてきた。
最初に観た時は、長い映画だということを意識し過ぎて、「そのうち退屈するんじゃないか?」という不安感がどこか引っかかりながらの観賞になってしまったのだが、二回目は強い印象を残した名場面が出てくると、「おっ出た出た!このシーンやっぱり面白い!」という余裕があって、さらに楽しめた。
気に入った映画をDVDで観なおすというだけでなく、もう一度劇場に行くという楽しみ方を知っただけでも、貴重な体験になった。