『J・エドガー』


仕事が終わった後、レイトショーで「J・エドガー」を観た。
今年に入ってから「宇宙人ポール」「哀しき獣」「ヒミズ」と、ライムスター宇多丸の「シネマハスラー」の賽の目映画に、自分のちょうど観たかった作品が当たるので非常に都合が良い。その週のうちに観に行って、週末の放送でどう評論されるか聴くのを楽しみにしている。
しかしあのコーナーは、観たくもない映画を強制的に観に行かされて、ひどい作品は徹底的にこき下ろすところが面白いはずだから、こうも「いいに決まってる」作品が続くのは、番組スタッフ的には不本意なのに違いない。
グラン・トリノ」を観て、遅ればせながらクリント・イーストウッド監督作品への高い評価と次回作への期待を持つに至ったのだが、今回はFBIの長官として君臨し、絶対的な権力を持ったフーバー長官という、実在の人物を描いた作品とあって、当時の時代背景などの知識がほとんどないので、理解出来るかやや不安もあった。
しかも、映画が始まる直前に、なにげなしに目をこすったらコンタクトレンズが外れてしまうというアクシデントがあり、ぼやけた画面で観るはめになった(笑)。幸い字幕の文字が大きかったので、なんとか観通すことはできたが…。
観終わって、「うん。なかなかいい映画だった。」とは思った。特に大げさな演出があるわけでもないし、実在の人物の半生記を一歩引いた視点も入れて、淡々と描いているので、「超感動!」というような作品ではない。
しかし、かなりアクの強い個性的な人物・エドガーを、ディカプリオは熱演し、晩年の姿と若かりし頃の姿のギャップで驚かせてくれる。このキャラクターだけで、ストーリーに十分起伏が生じていたと思う。
ソーシャル・ネットワーク」でザッカーバーグと対立するエリート学生を演じていたアーミー・ハマーが、エドガー長官の右腕となり、同性愛的な関係になるクライド副長官を演じていたが、これも素晴らしい演技。本人はまだ若いのに、特殊メイクで晩年の老いたヨレヨレ姿を違和感なく演じきっていた。
役者の名演があって、イーストウッド監督が丁寧な仕事ぶりでまとめあげているのだから、感情の揺さぶられ具合に少々物足りなさを感じたとしても、文句の付けようがあるわけもない。
特に自分の興味が湧く題材じゃなかったけれど、少なくとも退屈はしなかったし、観て良かったと思ってるよ。

FBIフーバー長官の呪い (文春文庫)

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