「WBOホストとの遭遇。」

第57回の今週は、WBO話の大作が繰り広げられた、トーク絶好調の「粋な夜電波」でした。
お茶の間のテレビでは「サザエさん」が流れているのに、その裏で、新宿歌舞伎町のヤバ面白いエピソードを嬉々として話す菊地先生。…話ももちろん面白いですが、こんな話を楽しそうにしてる菊地先生の様子自体が、面白過ぎます。
今週のポッドキャストは収録分数が長くなりそうですねえ。いちおう、18時台の方でされていた「ホリケン似のホストとの遭遇」話を文字起こししてみました。

B級映画のように2

B級映画のように2

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの菊地成孔がお送りしております。
えーとですね…もう57回目ですか、ずいぶんやりましたね。
えー、先週はですね、ちょっとあの…番組内でも申し上げた通り、先々週の放送から三日ぐらいしか経ってなかったんで、しかもその間に仕事がめちゃくちゃ混んでましたんで、まあ正直…不作というか不漁というかね。…ま、何が、何をもって不作とか不漁と言ってるかっていうと、WBO話なんですけども。
WBOってね、「悪くてバカで面白い」話を、ワタクシが住まうております、新宿歌舞伎町の辺りからこう…採集して、番組で放送してるわけなんですけども。…とれ高ゼロっていうね、その代わり、今回は逆に10日以上ありましたんで、もう獲れすぎちゃって。もう余っちゃって。
今日番組の最後で紹介できるかどうかギリギリですけど、こんなでっかい外道まで釣れちゃってね。まぐろ獲りに行ったら、こんなでっかいエイが釣れちゃったみたいな…なんだかよくわかんないすけども。
ま、いずれにせよ…話題がもう一次産業みたいになってますけどね(笑)。あの…不漁だとかね、大漁だとかね、不作なんてやって…。ま、でもどんな仕事もあの…ある意味一次産業の側面があるっていうね。こういう仕事にも一次産業、二次産業、三次産業の側面がやっぱあるんだと、いうことだと思いますが。
メッセージの宛先を…番組の方でメッセージ募集しております。メッセージの宛先ですが、「異常気象 スカイツリーで 金環日食」と…あ、これ間違えました、一首詠んでしまいましたけどね(笑)。…これは一首詠んどけば、だいたい時事ネタが今押さえられたんじゃないかっていうことを発明してですね、やったこれすごい発明だと思って、これでだいぶ端折れたな…っていうことで、嬉しくてやっちゃいましたけども(笑)。正しいメッセージの宛先は、Eメールの方はdenpa@tbs.co.jp、Pメール…お葉書、封書の方は、今週はですね、番組始まって以来の大物の封書が届いておりますが、これは後ほど紹介させていただくとしまして、〒107-8066 TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」係まで、よろしくお願いします。番組の感想など、些細な事でも結構ですので、お寄せください。
はい。というわけでですね、ま、獲れちゃった…んですよね、でっかいのがね。あの…まあまあ、これはあの…中規模ですけどね。鰆(サワラ)獲りに行って鰆が獲れたな…っていう(笑)、季節的にもちょうどいいなっていう大きさだと思うんですけど。
ま、最初はね、これね、番組のコアリスナーの方にはお馴染みのロイホ…ではないんですけども、まあ…ちょっとしたバーなんですけどね、まあ、歌舞伎町は歌舞伎町で。
え〜…こう…ホストさん…にね、「太客(ふときゃく)」っていう業界用語がありますけど、太い客ね、お金をいっぱい使ってくれるお客様を太客っていうんですが。太客さんですよね。その方の体型が太いという意味じゃないですよ。どんなに痩せてても、シャンパン何十本も入れれば太客なんですけども。
太客さんに対して、二人のホストが、これは野球の用語ですか、元々…「挟殺する」っていうね。両脇からこうやって囲んで、閉じ込めてしまうというような…スタイルがあるんです。が、ま、そういう一種のトライアングルですよね、こう…夜になるといっぱいいろんなトライアングルを見るわけですけども。だからまあ、トライアングル自体は珍しくも何ともないんですけどね。
ですからレーダーをこう…ピピピピッと「成(なる)レーダー」をこう…ピピピピピッと働かせながら、トライアングルの周りをウーロウロウーロウロしてるんですけども。
ま、最初はね、だから魚群探知機にね(笑)、引っ掛かるかどうかみたいな。最初は小物だと思ってたんですよ。
まあ…「スギちゃんを、まだオードリーの春日だと思ってる客が2人いる」っつって(笑)、2人いるんで、「その2人の客をなるべく店でかち合わせろ。」とかね(笑)。いやもっとすごいのいるっつって、「相田みつをさんを、あだち充さんと間違ってる人がいて、『すごいよね、あの人。あんなマンガ描いて、あんな書まで書いちゃって…』って言ってる客がいるから、3人かち合わせろ。」とかいう話をまあ、楽しくしてる人達がいて。…まあこれはWBOのランキングからいうと、そんなに高くない…ので、まあ…どうしようかな?…獲ろうかなどうかな?っていうね、漁師さんとしては。いちおう魚群探知機には引っ掛かった、で、まあ、隣に座ろうかな…と、いちおう座って。
まあ…もう年配ですよね、その太客さんが。いろいろ太客っていっても、さっきみたいに体型関係ないですから。体型だけじゃないですよ、容姿も年齢も関係ないですから。「もう…20代じゃないの?」っていう太客さんから、…もいらっしゃるし、「ひょっとしたら70代では?」っていう方もいらっしゃるんですよね。で、その後者に近い感じで。もう、なんつったらいいんですかねえ…亡くなる直前の松尾和子さんとかね。松尾和子さんは60代だったと思いますけど、それはともかく。そういう方と、クール系のホストさんが、こう…ライトウイングを固めて、きちっとした姿勢で座ってるんですよ。でね、そいでもう一人が、クール系じゃないっていうか…なんつったらいいんでしょうね、こんななっちゃって、グニャグニャした…、タレントさんでいうとこう…わかりやすく…ホリケンみたいなね。ホリケンさんみたいな、こんななって…ま、ちょっとクレイジーな感じの方が、レフトウイングを固めて、こう…騒いでんですよね。
そいで、そのクール系の方はクールですから、あんまり喋んないんですけど、ホリケン系の人が「ネェネェ、日本のテレビドラマって、つまんないよね!」なんつって。「元売れっ子のロックミュージシャンがさあ、アタシの子だっていう女と一緒に家庭を作るっての、観たい?」って言ったんですよ(笑)。…で、これはヤバイなと思って(笑)。これは獲らなきゃ…と思って。これ獲ってくぞって思って、もう…グッと耳を…びよーんとでっかくして。
「…観たい?」とか言って。「あれ、オダジョーかっこいいだけっしょ。あれさ…ねえ、先輩どう思います?」…先輩って…なんか「タツオさん」とか言ってたと思うんですけど。「タツオさん、どう思います? あれオダジョーが、実は本物のオダジョーだっていう設定にすれば、打ち切られずに済んだのにね!」って言ったんですよ(笑)。…ヤバイな、こいつ(笑)と思って。
で、ワッとそんな感じで、そいつが騒ぎ、クールな方の先輩・タツオさんが、制するという呼吸でこう…進んでて。で、なんだかんだ言ってね、「オダジョーが本物の…」とか言ってると、「オマエ、お薬飲めよ。」って言って、先輩が(笑)。あ、タツオさんがね。
ほんでもう…ぜんぜん…ホリケンさんですから、なんせ。こんななってるわけ、テーブルの上で。こう…グダーッとなっちゃって、顔がもう斜め左上に向いちゃって、寝てんだかなんだか…テーブルの面に張り付いてネバついちゃってるみたいになっちゃって。
「じゃあさ、これはどうすか、これはどうすか。…主人公は焼肉屋で、演じてるのが石ちゃんなんすよ。」とか言って。「でも、その設定上、石ちゃん演じるその焼肉屋の主人公は、肉が嫌いなの。…理由は、なんでかっていうと、わかる?…なんでかっていうと、それは特殊メイクで、実は石ちゃんじゃなくてがやってるんで…」っつったら、先輩が「オマエ、お薬をサンチュに包んでたっぷり飲め!」って言ったんですよね。…これはヤバイなと思って(笑)。
で、まあまあ…よし!って思って、こっちにカリカリカリって…「夜電波ノート」に「お薬…サンチュをお薬にいっぱい巻いて飲め。」
ってことを書いてたんですよ。そしたら、「いや〜、こないだ〜…」あの…これ実名出せないけど、「某ラブホテルで…」…ね。ラブホテル街があるんですよ。アタシの家から出て、ダッシュで行けば、もう15秒でワッって…着替えと石鹸なんか持ってバーッて行けば15秒でチェックインできる位置に、ラブホテル街があるんですけども。
で…そこの…何の話するかわかるって、わかっちゃうワタシもワタシなんですけど(笑)…ラブホテル街でね、ま、一番きれいな…なんつったらいいんですかね、え〜…いろいろなホテルがあるじゃないすか、その中でも人気の、きれいなホテル…みたいなね。ワタシよく、部屋が汚い時に、散らかっちゃった時に、もう片付けんの面倒くせえなっていう時に、あれ…男性だと一人で入れるんですよ。そいでこう…よく行くんですけど。
あの…ラブホテルが、Wiiってあるじゃないですか、任天堂の、ゲームの。あれを貸してくれるんですよね。で、暇潰しにピッタリ。…んで、ワタシ普段ゲームやらないんですけど、あの…そこでだけ、Wiiをやるんですよ(笑)。そんで、いろいろスタジアムで…サッカーでね、ゴールしたっつって、こう…サッカーの選手の真似して、ベッドの上でこう…ブワーッと滑り込んだりして、脇痛めたりとかいろいろやったりしてたんですけど(笑)。
あの…Wiiって、似顔絵なんちゃら…似顔絵広場みたいなのがあって、部品をこう…自分で選んで組み立てると、意外とね…あの…似顔絵が上手く出来るっていう…。なんつったらいいんすかね…その似顔絵を保存できて、誰が作ったかって名前が入れられるシステムがあって、しかもね、それが共有されてて、消去しない限り、生きてるの、そいつらが。…そいで、まあ、ラブホテルにそれ置いてあるってことはですよ、恋人同士で行って、友達の似顔絵作って「似てる〜」とか言って笑って、で、製作者の名前入れちゃって、何にも考えずに帰っちゃうじゃないですか。ただ、そのキャラクター…生きてるんで、次違う人と来た時に、ヘタしてそこ開いちゃった時に、まあ…なんでしょうね…「ヤスオ」とか書いてあって、「製作・ヨシエ&ともりん」とか書いてあって、「え?これ、何?」とか言われる可能性が、すごい高いんですよ(笑)。…と思うんですよ。
で、ワタシは行った時に、まあ…傑作みたいなのをいくつか作ってるんで、意外と器用なんでそういうのすぐ作っちゃうんで。まあ…マイケル・ジャクソンね。あとUAさん、それからまだ首相時代だった鳩山さんを作って、これ誰が見たって間違いないっていうのを作って、写真に撮ってね、ブログにアップしたりして喜んでたんですけど。
…んで「Wiiでこないだ作ってたら、かち合っちゃって…」…その人、ホリケンに似てるなって思ってたら、要するに、そいつが「ホリケン」って呼ばれてることがわかって(笑)、「『ホリケン by よしこ』ってのが出ちゃって〜」…って言った瞬間に、ちょっとプッて吹いたんですよ、ワタシが。
で、まあシーツとしては隣合わせでね、こう…ね。あ、失礼…背中合わせでね。こっちのシーツの背中にそっちの3人がいて、で…ブッて吹いたの。
で、まさか聞こえなかったよな?って思ったんだけど、意外とホリケン…耳が良くてですね、「ああっ!」っつって。…こんなことめったにないんですけど、いきなりバレて。「あ、菊地さんだ!」って言われて。「この人、ハンパねえ! ハンパねえ! ハンパねえ、おもしれえ!」って言われて、ヤッバー…これもうヤバイ…と思って。これは逃げれない。
「先輩…タツオさん、この人、ハンパねえおもしれえ!ハンパねえおもしれえんすよ〜」とか言って。タツオさんと太客のマダムは、シーン…としてんですよ。で、ホリケンだけ騒いでる。「ハンパねえ!ハンパねえ!」って。
「ねえ、菊地さん!『シークレット・ガーデン』ハマってんすよね、今!」っつって。あの…人のブログ読んでんすよ、ホリケンが。…ホリケンがって…その…あだ名ですけど(笑)。ヤベエなこれ…っつって。
「あれ、超面白いっすよね。どうぞどうぞ…こっちどうぞ!」って言われて。…いや〜、どうしようかな〜。おっかねえな〜…と思ったんですけど、まあ、あの…「失礼しまーす。」っつって、行って。…もうどうしようどうしよう…先輩の目がちょっと怖いんですよ。タツオさんの目が怖いし…、まあ、当然ですよね。そんなホリケンが…タツオさんから見たら、ホリケンが友達呼んできただけだと思いますから。タツオさん目線では、先輩呼んできただけだと思うんですよね。「この人超おもしれえ、おもしれえ…」っつって。
いや〜…どうしよう。こういう時オレ、面白いこと言えないしな…って思って(笑)。「面白くないじゃないか!」って、いろんな多角的に…あの…ヤバくなっちゃって。…どうしよ、どうしよ…って思ってて。
…んで…こう…なんての…さっきの…「テレビ最近面白くないすか?」ってさっきの話に戻してんですよね、ホリケンが。「シークレット・ガーデン」繋がりでね。「シークレット・ガーデン」は韓流ドラマですけど、ワタシが今ハマってる。
んで、「こんな面白いこと考えたんすよ〜」っつって、「薬で、子どもにされた名探偵が、木でできたパターでゴルフのチャンピオンになる、『名探偵・猿』!」って言ってて…。ヤバイなあ、この人(笑)…やっぱこういう感じなんだ…って思ってて。これヤバイ、この人ヤバイな…って思って…いたんで。で、その間も先輩、とうとう「薬飲め!」も言わなくなっちゃって、シーン…としだしたの。で、太客さんも、シーン…として、「何この人?」みたいな感じになったんで。
え〜…どうしようかな、これ…オレがなんか面白いこと言わないと帰れない…って思って。…そうですか…っつって。
「じゃあ、菊地さん、どうすか。『140文字で1つぶやきで、どのぐらいテレビ局に投資してもらえるか』ゲーム!」とか言い出して、…うわ、ヤバイなこのノリ…もうホストクラブのノリだよ…と思って。「企画書、企画書!設定だけで…設定だけでいくら貰えるか、考えてくださいよ〜。」とか言って。「もう、すぐ出てくるでしょ。山ほど出てくるでしょ!…WBOでしょ!」とか言ってるわけ。
「…そう〜ですね、いや〜どう…でしょ、こんなの。…歌舞伎で…『歌舞伎界に天才女形登場。しかし、この人は実際、女性。』なので(笑)…『実は彼女は舞台上でほんとのジェンダーで、舞台を去ると入れ替わってる』」とか言って。「『それを見つけるのが宝塚出身の刑事!』」っつったら、シーン…ってしてしまって(笑)。これはヤバい…地雷踏んだと思って。
「じゃあ、これは?これは?…」っつって、急いで。「えっと『ディズニーランドで、これはもう東京じゃなくていい、世界中どっかのディズニーランドに、テロリストが入って来て、細菌テロでもって客を人質にとってテロをしようと仕掛けんだけど、キャラクターや従業員が力を合わせてやっつける』っつって。で、サスペンスの極点は『ミッキーが2人出ちゃいけないって決まりがあんのに、出るか出ないか?ってところでドキドキするけど、最後の…結局大丈夫なんだけど、これを全部ミュージカルでやる!』」っつったら、タツオさんが、ちょっと涙を拭きながら「…1億!」って言ったっていうね…(笑)。


…さすがに長かったけど、切れ目がないんですもん。オンエア自体、時間の都合で最後のオチで巻かないといけなくなって、残念そうでしたね(笑)。

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