「ソウル・サーファー」


最近観たい映画がなかなか「シネマハスラー」の賽の目で当たらなくて、新作を観そびれていたのだが…。
今週は「ソウル・サーファー」が当たった。
サーフィン関連の新作が大規模でロードショーされることなんて、なかなかないだろうから、いずれにせよこの作品は観に行くつもりでいた。
とはいえ、本物のライディングを見せる、いわゆるサーフ・ムービーとは別物だろうとも想像していた。たまたま主人公がサーファーの、「困難克服ドキュメントもの」というか…。
でもサーフィンのシーンは多く出てくるだろうし、大きなスクリーンで美しい海と迫力ある波を見れるだけでも楽しめるはずだ…、多少なりともサーフィンをやっている今なら、と思って観に行った。
13歳の時に巨大ザメに片腕を食いちぎられても、プロサーファーになったド根性少女の話で、実話を基に映画化されている。
主人公のベサニー・ハミルトンを演じるのは、アナソフィア・ロブ。失った片腕はCG処理で消しているらしいと後で知ったが、観ている間はこれどうやって撮ったんだろうと驚くほどのリアルさ。演技も素晴らしかったが、彼女が「チャーリーとチョコレート工場」のあの生意気な少女役だったことも後で知ってビックリ。(…大きくなったなあ。)
ストーリーとしては特に複雑なところもない。確かに大きな災難によって絶望のどん底に落ちた少女が、勇気を出して困難に立ち向かう感動的な内容ではあるが、元々プロサーファーまであと一歩だった天才少女で、経済的にも恵まれ、全員サーファーの家族の愛に支えられ、励ましてくれる良き友人がいて…という状況での成功物語なので、ドラマとしては深みを持たせづらいところもある。
しかしなにしろこれは実話なのだから、それだけで物語には十分な強度がある。変に泣かそうと過剰な演出を加えてしまっては、むしろ台無しだろう。
説明過多にならない程よい演出で、主人公と家族、友人の感情がわかるようになっていたし、話運びもテンポ良く、それぞれのエピソードのバランスもいい。
後半はスポ根もののような熱い展開にもなり、ダイナミックなライディングシーンがちゃんとクライマックスにくるように出来ていて、素直に楽しめた。
サーフィンに特に興味がないという人でも、この映画の作りに大きな不満はないのではなかろうか。強いて言えば、宗教的なメッセージがやや強いところもあり、そのためにタイの洪水の被災地でボランティアの経験をして勇気をもらうといったエピソードがやや取って付けた感があるところか。…いや、それもまた事実なのだから。
きっと自分がもっと若くて、ティーンの頃にこれを観たとしたら、かなりアガったに違いないと思う。
今の日和りきった自分では「おお、サメ怖え〜」とビビる方が大きいというのが、ちょっと悲しい。
…しかし観終わった後には、「やっぱもうちょっとサーフィンがんばろう!」と思えたので、かなり元気をもらったいい映画だったことは確か。
宇多丸氏がどういう評価をするかはわからないけど、個人的には…おすすめです!

ソウル・サーファー―サメに片腕を奪われた13歳 (ヴィレッジブックス)

ソウル・サーファー―サメに片腕を奪われた13歳 (ヴィレッジブックス)

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