「パーマネント野ばら」


急に冷え込んできたせいか、風邪をひいてしばった。…まあ、しょっちゅうひいているのだが。
微熱が続いて咳がよく出るので何もする気になれず、仕事を休んで一日寝ていたわけだが、さすがにただ寝ているのも退屈。
なのでレンタルしてたDVDをMacで再生して、Airplayで飛ばして手元のiPadで観るとゆーことをやってみた。
寝ながら観るんで、字幕を目で追うのもつらいし、邦画であんまり重くない話がよかろうということで、チョイスしたのが「パーマネント野ばら」。

パーマネント野ばら [DVD]

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桐島、部活やめるってよ」が本年度ベスト級の傑作だったので、吉田大八監督の過去作はいずれ全部観ようと思っていたところだった。
この原作は読んでいないが、西原理恵子は好きでいろいろ…といっても「画力対決」とかそんなんばっかりだが読んでいるし、「ぼくんち」で泣いたくちでもあるので、サイバラの感動路線も多分好みだろうから、外すことはなかろう。
しかも出演する女優が、菅野美穂小池栄子池脇千鶴と、好きな方たちばかり。
どんな話かはまったく知らずに観はじめたのだが、これがかなり面白かった。
土佐の漁師町のガラが悪いし、ダメな男たちに翻弄されつつもたくましい女性たちの姿がコミカルに描かれ、きれいごとをゆるさないサイバラ的豪快さも、ちゃんとリアリティを保って表現されている。夏木マリもきれい過ぎず、ちゃんとおばはんに徹していたし、さらに脇役のおばちゃん達の表情が皆よい。
ああ、「ぼくんち」みたいな愛すべきダメ人間達を描いて、ちょっと切なくもホロリとするようなホームドラマなのかな…と思って観ていたら、後半意外な展開になって驚いた。
ネタバレしてしまえばどうってことないのだが、ほんとに何も知らなかったので、それまでのいろんな伏線、時折漂ってた不穏な感じや不可解さが、ラストで一気に集約された時にはちょっとゾッとした。
うーん、吉田大八監督の手腕はやっぱり確かだね。
「腑抜けども〜」と「クヒオ大佐」も後追いで観るつもりではいるが、作品を重ねるごとにどんどん良くなっているという評判らしいし、これを踏まえて「桐島〜」に至っているのだと思うと、とにかく次回作に期待せざるをえないよねえ。
パーマネント野ばら (新潮文庫)

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