「韓流女性アイドルグループのブームは終焉に向かっているのか?」
「粋な夜電波」第89回放送は、すっかり恒例になった「韓流最高会議」。
ただ流行りのK-POPをオンエアするのではなく、楽曲の分析や作り手側が模索している次の方向性、それを日本のリスナーはどう受け止めていくのか、といったところにまで突っ込んだ話を繰り広げる、大変興味深い座談会です。
冒頭の「韓流女性アイドルグループのブームは終焉に向かっているのか?」という問いに、率直な意見を交わされている部分を文字起こししてみました。
GIRLS' GENERATION II ~Girls & Peace~(初回限定盤)(CD+DVD)
- アーティスト: 少女時代
- 出版社/メーカー: NAYUTAWAVE RECORDS
- 発売日: 2012/11/28
- メディア: CD
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菊地 はい。「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの菊地成孔がお送りしております。今週はですね、少女時代にリリースがあった時には必ず行われる、この番組の恒例となっております「韓流最高会議」第四回ということですね。番組自体は「菊地成孔の粋な夜電波」第89回…結構やりましたけども(笑)。そのうちもう4回やってるっていうね。
はい。というわけで、初めて聴く方もいらっしゃるでしょうから、もうこの夜電波の韓流最高会議はメンバー決まってるんですけども、え〜…一応名義上、夜電波・韓流最高会議顧問…最高顧問、最高会議の最高顧問…ですね。日本映画大学准教授であり、社会学者の韓東賢(ハン・トンヒョン)さんです。どうも、よろしくお願いします。
韓 こんばんは、よろしくお願いします。
菊地 どうも、どうも。
韓 明けましておめでとうございます(笑)。
菊地 明けましておめでとうございます。…今までのスパンからすると短いですよね。
韓 短いです。びっくりしました。
菊地 もう、すぐ韓さんに会ったっていう…。
韓 (笑)。
菊地 ね。…そしてワタシのバンド、DCPRGのドラム…というよりかは、もう市井のK-POP愛好家(笑)、ストリートのK-POP顧問ということでよろしいでしょうか。田中教順くんを迎えて…。どうも、明けましておめでとうございます。
田中 あ、おめでとうございます。よろしくお願いします、今年も。
菊地 (笑)。…えーと…スパン的に短いとはいえですね、実はもう少女時代の日本盤を、「GIRL'S GENERATION II(2)」を見送っているっていう…ことですよね。
韓・田中 そうですね。
菊地 で、もうすでに「I GOT A BOY」が出て。…はい、というわけで、オッサンにはプロダクツがあっちゃこっちゃでわかんなくなってる少女時代ですけども。ま、「GIRL'S GENERATION II」…これが日本盤として昨年出ました、と。…ね、一方ですね、この問題の…韓国盤最新…韓国御弁当箱ですね…プロダクツとしてもガッツリ…。
韓 イラスト満載、ポップな感じ。
田中 うーん。
菊地 はいはい。今まで少女時代に全くなかったテイスト。
田中 うん、うん。
菊地 今まで少女時代の「お嬢様感」「モード感」「ゴージャス感」…。
韓 クールでセクシーな感じ。
菊地 クールでセクシー…ではなくなり、もう…言っちゃ、ここまで言っちゃ言い過ぎかってアレですけど、きゃりーぱみゅぱみゅに標準を合わせた…ないし、もう「2NE1(トゥエニーワン)」と言ってもいいような感じの。原宿系とも言えるし、パンキッシュとも言えるし、ヒップホップとも言えるし、まあ…ストリートですよね。
韓 そうですね。
菊地 …なルックスで、まあ…ファンが大騒ぎ、という。
韓 ジャージを着てるって…。
菊地 イメージチェンジっていうね。メイクもガラッと変わった、という「I GOT A BOY」っていう、これが最新アイテムで。
韓 年明けて出たやつですね。
田中 元日…ですね、確か、リリースが。
菊地 元日リリース、あ、なるほど。
韓 だから、年末の音楽番組出なかったんですよ。あの出し惜しみ…じゃないけど。
田中 へえ〜。
韓 司会とかはやったけど、一切歌わなくて。で、元日か2日の夜に特番をやって、披露するっていう…。
菊地 ま、かなり力の入った…。
韓 力入った、お金かけたと思いますよ。
菊地 なるほど。…はい、盤がありますね。今日はこれについて考えていこうという感じですね。
韓 (笑)。
菊地 それでもまあ…すでに、今までの食い付きね…出たらすぐやる!っていうのに比べると、ちょっと遅い。この遅さがですね…すでにK-POPファンからのメールに反映されてますので、まずはそれを読んでみたいと思いますね。
(「韓流女性アイドルグループのブームは終焉に向かっているのか?」というメールを読んで)
菊地 …ズバリ、どうでしょうか。ブームはどうなっていくのか。韓さん的にはどうですか。
韓 え〜…なんか、私は音楽の事はあんま詳しくないんですけど、でもなんとなく行き詰まり感は感じます。
菊地 はい。とはいえ、韓さんは年末に10時間にわたる…さっきあの…カフが下がってる時に聞いたんですけど、10時間にわたるカラオケ大会を繰り広げたと。
韓 はい、カラオケ忘年会をやりました。
菊地 これはK-POP限定の?
韓 K-POP限定の。
菊地 なるほど。韓さんはそこで何を歌われたんですか。
韓 えっと…2NE1と…何歌ったっけ? …あらゆる知ってる曲を歌いまくるという。
菊地 10時間かかるということは…。
韓 10時間は大げさかな。まあ、朝まで。
菊地 朝まで。何人ぐらい来るんですか。
韓 その日は…6、7人?
菊地 6、7人でそんないくわけ。じゃあ、相当歌いますね。
韓 相当歌いますね(笑)。
菊地 じゃ、韓さんの周りの6、7人では、(ブームが)全然終わってないですね。
韓 終わってないですね。そこは(笑)。
菊地 (笑)。なるほど。ただこう…上から見ると、どうかな?ってとこですかね。
韓 そう。だから後で少女時代の新譜もかけると思うんですけど、なんか…行き詰まってる感は…。この事務所の問題なのかどうなのかわかんないですけど、なんかそんな気がします。
菊地 はい。この件に関して、田中先生はいかがですか。
田中 …えーっと…まず最初に個人的なところを申し上げると…。個人的にブームは終わりかけてるっていうのがあります。
菊地・韓 (笑)。
韓 田中ちゃん的なマイブームは…。
菊地 マイブームとして。…そうですね、パブリックブームとマイブームは分けていきましょう。
田中 はい。
菊地 まず、パブリックブーム的な話は後回しにして、マイブームに切った場合ね、田中ちゃんのマイブーム的にはどうなったんですか。
田中 ちょっと…やっぱ「Gee」「GENIE」の頃の、うおー!という感じが、なんていうか、ちょっとずつ…はい。今回も出たと同時に食いついて、うおー!という感じではなかったので。
菊地 まあ、自分の胸に聞いてみろっていった場合に。
田中 燃え滾ってますとは言えない感じですけども。
菊地 はい。声のトーンがね。それこそ如実に表してますけど。
韓 (笑)。
菊地 もしパブリック的な視点があったとしたら。…まあまあまあ、マイブームが終わったら、パブリックもへったくれもないよといったようなところが、現代っ子ってところかもしれませんけど。もしパブリック的な視点があった場合、どう回答しますか。
田中 えーと、そうですね。…アルバム作るというのは上手くなった気がするんですよね。アルバムを作るということは。
菊地 はいはい。ま、アルバムをちゃんと作るっていうカルチャーが、そもそもあんまり無かったですもんね。
田中 はい。それが作られるようになるというのは、一つの成果だと思うんですけど。というわけで、アルバムのトータルコーディネートとか、作るのは上手くなったんですが、なんか1曲、うおー!みたいな…そんな…。
菊地 ま、沈み切ってるねえ(笑)。
韓 (笑)。
菊地 声が沈み切ってるね、もうね。なるほどね、よくわかりました。
田中 (笑)。
菊地 ま、どんどん聴いていきましょうか。それこそ、この番組…「THE BOYS」の時、少女時代特集をやるっていうんで、リスナーが、普段少女時代を聴かない音楽マニアが聞いてて、「ま、菊地が少女時代特集やるっつーんだったら、バンバン少女時代がかかると思っていた」が、DJの方は「少女時代なんか街でバンバン流れてるんだから、この番組でわざわざ聞くことねーだろ」的な感じで、テディー・ライリーの曲をいっぱいかけたところ、Twitterのタイムラインに抗議が集中(笑)…という現象が起きてから早…。
韓 あとあれですよね。ナム・ジュン・パイクとかかけてたんですよね。元祖・韓流…(笑)。
菊地 元祖・韓流、ナム・ジュン・パイクとかかけてて…怒られて当然です(笑)。テディー・ライリーとテリー・ライリーの違いを説明するために、テリー・ライリーまでプレイしてしまったんで、ま、怒られるのは当然なんですけど。
田中 (笑)。
菊地 つまり何が言いたいのかというと、今日はちゃんと少女時代がかかるんですよ。…ということはつまり、「かけないと聴かないだろ?」っていう構えに、DJがもう変わってるんですよね。
韓・田中 うんうんうん。
菊地 これだけで時代が変わっちゃってることは確かで。ワタシもマイブーム的に言うとですね、まあ…一言、未だに全員のメンバーの名前が言えません。
韓・田中 (笑)。
菊地 そして、自分は少女時代のファン、韓流のファンというよりは、「Gee」「GENIE」のファン。そして「Gee」「GENIE」が巻き起こした、ひとつのカルチャーのファンだったのだ、ということにためらいはないのだけども。K-POP全体…ま、聴いてますけどね、これ自費で買ってますから、今日かけるKARAだのね、T-ARAだの、買ってますけども。…というような感じではあるんですよ。で、まあ、楽曲作りがどうなったかとかいう話は後に回すとして、まずは韓さんが年末歌った「I LOVE YOU」(笑)。
韓 (笑)。
菊地 ま、これね、興が乗れば…中途半端な時間の収録じゃなくて、興が乗ってれば、まあ…百歳酒の一杯も入ってれば、韓さんのボーカルで聴けたわけなんですけど。
韓 (笑)。
菊地 まあ、これはさすがにちょっとないということで。ま、2NE1、ひと言で言うと、ファッションはアグレッシブですけど、リアルですよね。歌的にはね。
韓 うんうん。
菊地 めちゃめちゃリアルで、絵空事じゃないんだ、っていうとこですよね。そういうグループです。
韓 はい。…これ日本盤ですか。
菊地 日本語盤です。…日本語盤は特にねえ…日本語のこなれ方が、やっぱ少女時代が一番すごいですね。
田中 ああ〜。
菊地 これはね、なんか昔の欧陽菲菲さんとか、カタコト感が露骨に残ってるんですよ。
韓 うーん。
菊地 とりあえず2NE1聴いてみましょう。韓さんはこの曲を韓国語で歌ったわけですね。
韓 カラオケですか?…そうです(笑)。
- アーティスト: 2NE1
- 出版社/メーカー: YGEX
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