「自己紹介の長さもフリースタイル。」
第90回放送の「粋な夜電波」はフリースタイル。
どれぐらいフリーかというと、オノ・ヨーコやプリンス一派から、交響組曲の一楽章、刑務所内でのライブの熱狂までがオンエアされ、AMラジオの日曜夜のプログラムとしては破綻してるのでは?…と聴く側が不安になるほどのフリーなプレイリストと、CM明けの自己紹介がちょっとした小咄よりも長くなってしまうほどのフリーダムさ。
常識と非常識の境界線を、音楽への愛を以て容易く飛び越えてしまう、菊地先生にしかできないDJスタイルは、ますます快調。
そのCM明けの一席の部分を文字起こししてみました。
はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズ・ミュージシャン…そしてですね、FIGAROが…「フィガロジャポン」が大好き、そして特に「フィガロジャポン」が年の頭に必ずやる「流行予報」ってのがあるんですけど、この一番新しい号、「2013年トレンド・キャッチ」っていうのをですね、毎年毎年買ってるんで今年も買いました、と。
音楽で何が流行ってるって言われてんのかな?…オレが流行るって言われる年はないかな?と思いながら、一回も無かったわけなんですけれども(笑)。そんな感じでピラピラピラピラめくっていたらですね、あれ?…MUSIC、MUSIC、どこかしら〜って、これね、ただ単にマネージャーに聞いてなかったって話なんですけど。
…あ、出てきました〜、95ページにですね、MUSICがあって、それでまず目に留まったのがですね、活字で「勢いを増す、女性ジャズプレイヤー達」って書いてあって、どっかで聞いたような感じだな?…ってパッて上見たらですね、3枚写真があって、真ん中の写真にですね、どっかで見たチンケなツラが!…と思ったら、ワタシのバンドの…(笑)。
…ダブセプテットのアー写がボーンって真ん中にあってですね、駒野逸美さん、この番組にも出演いただきましたね、…が写ってて、ま、当たり前ですけど。ワタシのバンドのダブセプテットのアー写が真ん中にボコン。
左がですね、狭間さんですよね。この方もワタシ存じ上げてますけど、狭間美帆さん…今もう「今年はマリア・シュナイダーより狭間美帆だ!」って言われるぐらい。…今ちょっとジャズ村向きの話になっちゃってますけどね、大変な作曲家で、しかも何せ、あしながおじさんをやってるのが我らが山下洋輔だっていう(笑)…大変な才媛ですけどね。
それで右側に寺久保エレナちゃん。寺久保さんも一回だけですけど、ご挨拶させていただいて、ちょうど寺久保さんの最初のアルバムが出たばっかりの頃で、寺久保さん実際会うとおチビちゃんで、北海道からとれたてのおいもさん…みたいな感じでね、素朴な方だったんですけど、ファーストアルバムのジャケット見たら、ものすごいレザーのジャケットに頭アフロになってたんで(笑)、「寺久保さん、あのアフロはカツラですか?」って、最初にお会いした時に…(笑)。「ちなみにワタシのこの頭、カツラなんですけどね。」っていう、なんとも言えないエグいジョークでね、入ってったら、寺久保さんが顔曇らせまして「…え、ジャケット見たんですか?」っていうふうにおっしゃってから、バークリーに渡ってしまわれたのでね、何か…やっぱりアフロが…どうだったのかな?っていうことを考えながらね。ま、最近帰って来たみたいですけどもね。非常に上手な…ワタシの100倍ぐらいサックス上手いですけどね、寺久保さんが。
…て、まあ、それはいいですよ。確かにきますよ、これね。で、まあ…きますよってんで、本文を見ましてね。
「…上原ひろみの大ブレイク以降、日本の女子ジャズプレイヤーが続々登場している。彼女達に共通しているのは、作曲家、ホーン奏者など、これまで男子のテリトリーだったジャンルで才能を発揮していること。女子ジャズといえばシンガー、またはピアニストだったが、現在は痛快にサックスやトランペットを演奏するのは珍しくない。斬新なセンスで知られるジャズ音楽家・菊地成孔は『最近の日本ジャズ界の腕利きは断然女子!』と言うから、その実力は立証済み。彼女達の活躍はシーンに新風を巻き起こしそうだ。」
…350円ぐらい寄越せよ!ってね…気分ですよね(笑)。…0円、ゼロ円仕事をしてしまいました(笑)。
…というかこれ、番組から抜いてるよね。TBSに2000円ぐらい払ってもいいと思いますけどね、「フィガロジャポン」ね。これね、完全に「女子ジャズサミット」だと思うんですよね、これね。
ただね、この「最近の日本ジャズ界の腕利きは断然女子!」…こんなね、女性誌向けの…ここがね、鍵括弧で括ってあるんで、ワタシの発言になってるんですけど、「断然女子!」なんてね、女子会みたいなこと言ってませんので…。とか言うのはもう野暮ったいですね、雑誌に抜かれんのはね。はい。
…そんなことのある、菊地成孔がお送りしております(笑)。
…長かった! 長い道のりだった。…はい、メールいきましょうね、どんどんと…(笑)。
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