「番組継続決定と、抱腹絶倒のパリ珍道中。」
2週続けて放送がお休みだったTBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」。ちょっと久しぶりの第96回は、4月以降の番組継続決定の発表もあった、嬉しい回となりました。
その放送がなかった間に、菊地先生がパリでDJをしてきたという報告がありましたが、その時のパリでの話が爆笑モノだったので、その部分を文字起こししてみました。
まさに抱腹絶倒のパリ珍道中ぶりに、文字起こししながら何度も爆笑しました(笑)。
これからも面白い話と最高の音楽が聞けるこの番組が、ずっと続くことを願っております。
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…え〜…ま、このままAMラジオのパーソナリティーとして認知されていくということが、50代を超えてからですね(笑)…すいません、吹いちゃいましたね(笑)。声裏返っちゃいましたけど。
まあ、そろそろ50を迎えるジャズ・ミュージシャンにとって、人生にとって、どの程度有益なのか?…リスク計算…してですね。まあ、欧州進出も果たしましたし、パリでね、演奏して帰って来て、そのまま「交通情報です。時刻は7時を回りました。ポペペポペペ〜♫」とか言ってて(笑)いいのだろうか…ということも…。
まあこれでだいたいバレたと思いますけども、4月以降、ドゥルルルル〜…ジャン! 番組が継続します! はい。「ワーッ〜!(大歓声)」って書いてありますけどね。そんなに歓声上がってないと思いますけどね(笑)。「…あっ、そう。」って感じだと思いますけどね。はい、皆様のおかげです、ありがとうございます。とうとうシーズン5に突入!ということですね。
はい、そしてですね。5に突入するんですが、ここから大事なお知らせです。ここから刮目してください。…放送時間が変わります!
「菊地成孔の粋な夜電波」は、4月から毎週日曜日の夜7時〜8時25分までの放送になります。
…微妙にずれた(笑)。30分下に下がった。…ここらへんがね。いっそのこと木曜の深夜2時になれば、誰も間違えないんですよ。同じ日曜の7時〜8時25分にずれた。パーソナリティーのオレ自身がちょっと戸惑う、この感じね。
ですから、楽しく一杯やりながら聞いてる方におかれましては、「えっ、何?…30分ずれたの?」という事故が起こりやすいと想像されますので、お間違えなきよう、よろしくお願いします。
なお、地方ネット局におきましては、夜7時〜7時57分までになります。…懐かしいですねえ、シーズン2。途中から「さようなら」って言わなきゃいけない、なんだかわからない(笑)…「なんでこの子達は早く帰るの? 住む場所が遠いの?」っていう感じのですね、あの気分。これもまた、シーズン5では毎週味わうことになりました。え〜…「なんとかならないのか?」と投げてみましたところ、どうしようもないのだ!という…(笑)お返事でしたので、どうしようもないことなのだな…と、受け入れまして、ワタクシ毎週毎週7時57分になったら、「さようなら」と。「TBS以外でお聞きの方は、ここで終わりです。」という、ね。サヨナラを2度するシーズン5ですね。
「ダブルサヨナラのシーズン5」、そして7時〜8時25分までと覚えておいていただければと思います。はい、というわけでですね。シーズン5もめでたく決定いたしまして、パリからもめでたく帰って来たんですけどね。あの…さっき番組の最初の方で言いましたけども、企画自体がちゃんとしたコンサバティブかつハイクオリティな、もうどこに出しても恥ずかしくない方が出てね、それでトリには毛色の違ったの出そうってことになったんでしょうね。日仏会館もね。
ワタシがDJやって(笑)…日仏会館ってね、言ったら…例えば江東区かなんかに日本とウズベキスタンの文化の交流を目指した、モットーにした、目的な?…会館があって、それで毎月あるいは毎週末に、ウズベキスタンの民族音楽の方、ポップスの方、詩の朗読の方とかが来て、近所の方が観に行って、なんか「いいもの観たな」みたいな…あんなもんですよ、大体。そんなくらいの感じだと思うんですよね。日仏(会館)はね。もう今や日仏はツーツーですからね。
ほんで、行ったら、会館にこけしと朱塗りのお椀がいっぱい置いてあって、「ああ、そういうことか…」と思いましたけどね。下を通されてね、控え室に今までの出演者の顔がパーン、バーンって貼ってあるんですよ。で、結構、舞踏系っていうか、白塗りのふんどしの方がこう…くんずほぐれつしてる写真とかですね、沖縄民謡の方とかね。あとなんかこう…ワッショイ!ワッショイ!って御神輿担いでる写真とかがあって(笑)。その隣に、ベースを弾いてね、…あれはジャズですね、ウッドベースを弾いていて、感極まって上を向いている日本人プレイヤーの勇姿があったんですよ。…「あれ?もうジャズなんかも進出してんだな。」…ま、当たり前ですけどね。「どっかで見たな、この人?」って思ったら、鳥越君で(笑)。鳥越君ってワタシのバンドのメンバーなんですけど。ペペ・トルメント・アスカラールのベースの人ですね。その鳥越君の写真がバーンって貼ってあって、鳥越君がやってるSalle Gaveauっていうチームが、もう何年か前に来てるんですよね。だからこれはもうPIT INN出るのと同じだろう…って感じで、一気に弁当食っちゃったりなんかしてね。OMSが弁当食い過ぎて吐きそうになっちゃったりしてね(笑)。いろいろ楽しいことがあったんですけど。
あの…日本の文化を愛してる、しかも最近パリにはもう掃いて捨てるほどいる、ジャパン・クールっていうか、きゃりーぱみゅぱみゅさん…カフェ行ったら、「ボナペティ、きゃりーぱみゅぱみゅ!」って言われましたからね(笑)。結構…おしゃれカフェとかじゃないですよ、観光地にある定食屋みたいな、もうダッサいガルソン…が言ってたわけ。「日本人だろ?」みたいな感じで。で、こう…いろいろ「はい、オムレツだ、カフェオレだ。…ボナペティ、きゃりーぱみゅぱみゅ〜。」って言ってましたから(笑)。相当なことだと…まあまあ、そういうことじゃなく…「対戦型ゲームのキャラクターでボクは初めて…初恋したんだ〜」とか言いたがるフランスの若い人いるんですけど、ああいうんじゃなくて、小津安二郎とか御神輿とかお椀が好きな人たちが…(笑)会館員で、フランス人でね、しかも照明やってる方がそういう方なんですよ。素朴な方々っていうか、フランソワっていう人だったんですけど(笑)。
「照明に関してはこのフランソワがやります。」って言われて「はい、わかりました。」っつって、握手してね。「…どう? これで!」みたいな感じで、すごい真剣な顔で、照明をパーッと当てて下さったんですよね。そしたらね、照明が「夕焼けにいわし雲」だったんですよ(笑)。…ほんで、これはまずいな(笑)っていう。…「おかあさーん!」っていうね、ハナマルキみたいな感じの(笑)。これがフランソワの考える日本情緒なんでしょうね。…ほんで、リハの時に、とにかくCDJ3つ並べて、日本から作ってきたトラックでね、サウンドチェック…もう爆音ですよ。目にもの見せてやろう!と思って爆音で再生してて、パッて振り返ると後ろが「夕焼けにうろこ雲」になってるんで(笑)。…これ、どうしようかな?…「うろこ雲はやめてくれ」って言おうかどうしようか、すごい迷った結果、「このままいってくれ。ビアン!」っつってね。「どうだ?」って行ってきたんで、もう「トレビアン!」。「感激しました」みたいな表情で、抱きつかんばかりの感じでOKにして。…で、しかも、DJブースがステージの中央にドーンって置いてあって、その脇に…あれはね、おそらくね…屏風ですね(笑)。屏風と障子ですね。障子だと思いますよ。障子と屏風をこう…合わせたような、としかいいようがないオブジェが二枚、バーンとワタシの周りに立てかけられて(笑)、「これは何?」つったら「これも照明のひとつだ。」ってフランソワが言うんで、「あー、なるほどね。」っつって。どんなんなんのかな?と思って「ちょっと見せてシルブプレ。」という感じでですね、サウンドチェックしてたら、フランソワが真剣な感じで…カチャ!カチャ!ってスイッチ入れると、その屏風に影絵とかですね(笑)…手で作った犬とかですね、「毬と里の子」みたいなのが、カシャ!カシャ!って入れ替わるんですよ、こう…スライドみたいなので。「出た〜!」と思って「日仏!」と思ってですね(笑)。…やったあ〜と思って、「これか!」と思ってね。…で、「どうする? これ置くか置かないか?」って言われたんで、もう「oui(ウィ)だ!」って(笑)。「oui,ici !」…「ici(イッシ)」ってのは「ここに」ってことなんですけど(笑)。もう「ここに置いてくれ。」って指さしちゃってね。自分の両脇に記者会見みたいに、こう…立てかけさせまして。
ほいでもうDJ中ですね、それがカシャ!カシャ!って入れ替わるっていうね。もう…日仏文化交流ですよ。最後は…さっきも言ったんですけど、最後の30分は脇からワタシがフランス後でOMSと…SIMI LABっていうヒップホップ・クルーのOMSB'Eatsっていう天才ですけど…OMSB'Eatsっていうラッパーと、大谷能生くんっていう…ま、これも天才ですけどね、天才ふたりを呼び出すと、二人が駆け込んで入ってくるんですけど、その時にOMSと大谷君がその屏風をバーン!って蹴散らして入って来てくんないかな?って、ちょっと期待したんですけど、二人ともいい子で、そんな悪役プロレスラーみたいなことはせずに、ちゃんとスーッとその脇を通って入って来たんですけども(笑)。
まあまあ…その後は、OMSがもう、あの調子でフリースタイルばんばん決めて、超カッコいいわけ。こっちでトラック後ろで当てたりしてるんですけど、そのOMSのフリースタイルのラップの調子が、日本語だから何言ってるかわからないわけじゃないですか、そのラップの調子が変わるに合わせてね、影絵!(笑)、蹴鞠と女の子!…パシャパシャパシャって変わるんですよ(笑)。…もう、ヤバいとこ来ちゃったな〜と思って。
エッフェル塔のすぐ近くだったんですけど。「エッフェル塔〜!」ってね、もうなんかTIMノリで。もうヤバかったですね。あれは…音、今から軽くやってみせますけどね。音よりもはるかに絵がヤバいですよね。
まあ、こうした…またもやね、ステマどころか堂々たるマーケットで申し訳ないですけども、この抱腹絶倒のパリ。ワタシ…もう大当たりっていうか、「引きの強さもいい加減にしろよ、キクチ!」って自分で思ったんですけども。行きの飛行機の中から腹こわしてまして、パリ行ってる間中…ま、日本に帰ってから医者行ったら、ウィルス性の胃腸炎だって言われたんですけど。まあ、人生最大に腹痛くなりまして、「フランス行ったらあれ飲むぞ、これ飲むぞ。」って、一滴も飲めなかったというね。ボルヴィック飲んでは、指突っ込んでゲーゲー吐いてましたから。この抱腹絶倒のパリ珍道中、ほんとの珍道中ですよ。特に、一番珍道中だったのはステージですけどね、とにかくね(笑)。その影絵と夕焼けといわし雲に乗っかったジャパニーズ・ヒップホップっていう、ものすごい世界ですよね。この世界に関しては、ビュロー菊地がやっております、メールマガジン「ビュロ菊だより」の「菊地成孔の一週間」、今回は特別編で十日間の前編・後編になってますけどね。こちらを見ていただくと、手に取るようにわかるようになっております。
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