「失恋にも効く〈Music Unlimited〉」

Sonyの定額制音楽サービス〈 Music Unlimited 〉とコラボレーションしている、TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」第108回。
選曲家の中村ムネユキさんをゲストに迎えて、このサービスの楽しみ方について語られたコーナーの部分を文字起こししてみました。
お二人の仲の良さと、音楽偏愛ぶりの窺える楽しいお話でした。

Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus

Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus

菊地 え〜、というわけで、ここからは「Few Minutes Unlimited」になりますけどもね。今週はですね、…ま、ゲストっていうか、当番組のクリエイティブの方のスタッフっていうか、選曲補佐ってなってますけど、まあ…音源全部集めてくれたり、お薦め出してくれたりしている、選曲家のね、「レコード探偵・ボブ」こと、中村ムネユキさんがゲストに来ております、と。どう…ですかね?…最近は(笑)。
中村 いや〜…どうも、お久しぶりです。
菊地 そうですね。
中村 はい。
菊地 まあ、中村君はもうずーっと…言っちゃこの番組のずーっと遥かに前からね、一緒に仕事してますけど…。
中村 はい。もう8年になりますね。
菊地 そうね。…もう、そんなになりますか!
中村 なりますね。
菊地 なりますか〜。選曲補佐でありつつ、レコード探偵でありつつ、選曲の仕入れ屋さんでありつつ、ワイン友達っていうね。
中村 はい。
菊地 まあ…おかげさまで、中村君の尽力もありまして…。
中村 いや、とんでもないです。
菊地 局長賞いただきましたよ。
中村 おめでとうございます。
菊地 (笑)…いや、おめでとうございますって、そんな…。
中村 敵がいっぱいいますけど(笑)。
菊地 (笑)…とんでもないですよ。いませんよ、そんな…ね。平和の象徴ですよ。ハト派ですよ、ハト派ハト派
中村 (笑)。
菊地 いやあ、ほんとにね。なんか、おめでとうございますというトーンも沈みがち…。そして、ずいぶん痩せてしまったような気がするんですけど、気のせいですか?
中村 え?…なんか、分かります?
菊地 ええ、やっぱりねえ…。いつも会ってるからね。
中村 はい。
菊地 なんか分かりますよ。
中村 いやあ…公共の電波で言うのも…あれなんですけど。
菊地 うん。
中村 …ま、失恋しまして…。
菊地 (笑)。
中村 それがちょっと最近のことなんで…。
菊地 (笑)…はい。まあ、あの〜…なんていうか…こう…ね?…全部知ってますけどね!
中村 (笑)。
菊地 (笑)…そうですか。
中村 はい。ちょっとリハビリな感じですけど。
菊地 ああ、今リハビリ中ですか…なるほどね。そういう時はどうですか、音楽を聴いても心が晴れなかったりする?
中村 いや、音楽を聴いて晴れますよ
菊地 それはね……
中村 はい。
菊地 ダメ!
中村 (笑)。
菊地 (笑)…それはね、オレと一緒だから。
中村 (笑)。
菊地 あのね、音楽聴いても、美味いもん食っても、味が味気ないし、音楽で盛り上がんないってなる人が、やっぱね、女の人と幸せになる人!
中村 ああ〜、なるほど〜。
菊地 (笑)…もうね、「もうダメだ!もうホントにヤバい!」って思っても、音楽聴いたら「ウワァ〜」って良くなっちゃうのは…(笑)。
中村 (笑)。
菊地 美味いもん食ったら、「まあ、もう…何でもいいや!」ってなっちゃう人はねえ…そっち行っちゃうんでね。
中村 はい。
菊地 もう、これはしょうがないですよ。
中村 はい。
菊地 ええ。そういうもんだと諦めて、まあ、一生音楽にね…奉仕して生きていきましょう
中村 はい。がんばります!
菊地 (笑)…とはいえ、彼女募集中ってことでいいんですか?
中村 えっ!…いいんですか?…そんな事言っちゃって…。
菊地 いいんじゃないですか、いいんじゃないですか?
中村 うわぁ〜。
菊地 こんなにワインに詳しい、音楽に詳しい、しかもガタイもいい、頼りがいのある男性が、なぜフラレたのか?っていう事を…。
中村 はい。
菊地 その目で確かめ、そして…アタシだったら…(笑)、アタシだったら「ねぇ、なんかいい音楽ない?」でね。
中村 はい。
菊地 「中村君に甘えまくりますよ〜」っていう人募集ですよ。
中村 そーんな人いるんですかねえ?
菊地 これがねえ…いると思います。いるけど…別れると思うんですね。
中村 (笑)…またッスか?
菊地 何故かというと…やっぱりね…「アタシが一番!」って感じはさせないからねえ、中村君は(笑)。
中村 …そうですねぇ。
菊地 あんなにいろんなもんが好きじゃダメよ。
中村 はい。
菊地 うん。なんで、オレと中村君が、オフではやったこともない恋愛相談みたいなことを…(笑)。
中村 (笑)。
菊地 番組でわざわざやってるのか、全然わかんないけどね。
中村 (笑)。
菊地 …まあまあ、「Few Minutes Unlimited」ですよ。
中村 あ、すいませんでした。
菊地 どうですか?…使ってみて。
中村 いや、それこそあの…ほんとに…。
菊地 うん。
中村 楽曲がハンパない…。
菊地 ハンパないよねぇ。
中村 その…1,300万曲…ですか。
菊地 ほんとですよ。1,300万年生きてみろ!って話ですよね。
中村 (笑)…そうですね。
菊地 (笑)…無理だよ!
中村 とにかくもう…宝の山をボーンって出されて…。
菊地 ホントだねえ。
中村 どう…使って遊んでやろうかな?っていう感じですね。
菊地 うん。選曲家…みたいな人が渡されたら、なおさらでしょ。
中村 もうそれこそ、さっきのアフリカもそうですし、ありとあらゆるジャンルが…。
菊地 フジがあんなにいっぱいあったの、ビックリしたね。
中村 ホントですよ。
菊地 フジなんて好事家のおもちゃだよ、だって。
中村 (笑)。ユッスーだって、全部…じゃないすかね、
菊地 ほぼ全部あるでしょ。
中村 それこそそういったものを使って、自分で選曲するのも楽しいと思いますし。
菊地 はい。
中村 ま、それこそ個人的には最近失恋したんで…
菊地 はい(笑)。
中村 「LOVE」と検索して…。
菊地 「LOVE」で引くんだ(笑)。
中村 いろんな年代の「LOVE」を検索して…パワーをもらうっていう…。
菊地 (笑)。
中村 …だからダメなんスよね。
菊地 うん。だからダメだと思う。
中村 (笑)。
菊地 そんな面白いこと考えついちゃうからね。…他にやる事があり過ぎんだよ、とにかく。
中村 (笑)。
菊地 …なるほどね。「LOVE」で検索した結果、どうでしたか。
中村 やっぱね、JB…JBが多いんですよ。それこそ番組で言ってたと思うんですけど。
菊地 うん。
中村 JBの「LOVE」がねえ…
菊地 沁みるよねえ。
中村 沁みるんですよ、もうホント。
菊地 JBの「LOVE」は、ホント「LOVE」だよね。しびれますよ。…ああ〜…なるほどね。ま、そんなほら…要するにクオリティもさることながら、クオンティティが充実してるアーティストっていっぱいいるじゃないですか。
中村 はい、はい、はい。
菊地 まあ…ジャズだったらマイルスはまずクオンティティあるしね。
中村 はい。
菊地 あの…ミンガスも。
中村 ミンガス。
菊地 ミンガスなんて、ちゃんと集めようと思ったら、とてつもないよね。
中村 とてつもない。ミンガスなんて、ほんとに…とてつもないですよね。しかも、「Music Unlimited」ではライブ盤も数多くあるので…。
菊地 はいはいはい。
中村 結構後追いで「あ、こんなのもあったんだ!」ってのが楽しめますね。
菊地 なるほどね。番組ではほら…まあ、贅沢なやり方よね…一般的にはまあ、そうなのかな…
中村 はい。
菊地 要するにマグロを一匹バーンッて入れてきて、「こんないいマグロが上がった」とか言ってさ。
中村 はい。
菊地 日本刀で解体してね。
中村 (笑)。
菊地 いつも一緒に見てるあの「すしざんまい」の(笑)…解体ショーね。
中村 はい(笑)。
菊地 あの社長、自衛隊だったんだよ(笑)。
中村 (笑)。
菊地 航空自衛隊だったんだけどね、目の怪我でね、自衛隊を断念、「すしざんまい」の社長に転身ですよ。
中村 素晴らしいですね。
菊地 素晴らしいですよね。そのトロを一緒に食いながらね、見ててね。
中村 はい。
菊地 そのトロを一切れだけ食って、あと捨てるっていうか…。
中村 はい。
菊地 一曲しか使わないっての、いっぱいあるじゃない。
中村 はい。
菊地 「このアルバム、全曲いいんだけど、何曲も使うってもんじゃないから、涙で一曲…」ってことが、もう毎週繰り広げられてるわけですよね。
中村 はい、そうっすね。
菊地 ま、そこからフックして「Music Unlimited」入れば、隣にある超いい曲…。
中村 はい。
菊地 オンエアはされなかったけども、オンエア擦ったっていう曲も、だいぶ聴けますよね。
中村 はい。
菊地 うん。それもあるし、縦線でもいける、と。
中村 特に縦線でぜひ楽しんでいただきたいですよね。
菊地 なるほど。
中村 つまり、1アーティストに対して、どれぐらいのアルバムがあるのか、と。
菊地 はいはいはい。
中村 で、検索していただいて、そのアルバムを丸ごとごっそり楽しんでいただいて。
菊地 要するに、レジェンドをコンプリートできるという…。
中村 もう、簡単にできますよ。
菊地 (笑)…ほんとだよね。
中村 数秒で(笑)。
菊地 昔はレジェンドをコンプリートするのって、最大の難関っていうか…。
中村 はい。
菊地 山だったじゃないですか。
中村 山ですよね。
菊地 それが数秒で可能になる…。
中村 はい。
菊地 幸せなんでしょうか?(笑)。
中村 (笑)。
菊地 失恋なんでしょうか?(笑)。
中村 (笑)。
菊地 (笑)…なるほどね。なんか、ちらっと例えばこんなの…みたいな、持ってきてもらったの聴いてみましょうか。
中村 例えばですね、それこそお話に出たミンガス…。
菊地 ミンガスね。
中村 ミンガスの輸入盤にしか入ってなかったというトラックで「Freedom」という曲が。
菊地 これもねえ…だいぶ探してもらってね、結局番組でプレイしてないですよね。
中村 (笑)。ま、その盤が…楽曲が、「Impulse!」のファイブ・ミンガスですか、「Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus」に入ってるので、ちょっとこれを聴いていただきたい。
菊地 ちらっと聴いてみようか。これ、だけどあれでしょ…CDとして探すのも大変だったんじゃないですか。
中村 そうですね、なかなか日本で簡単に買うのはちょっと難しかったですけど。ま、とりあえず、なんとか見つけてきまして。
菊地 まあ、CD…言っちゃあさ、家で聴く分には、別にCD探す手間も全部省けるわけだもんね。
中村 言いたくないけど…省けちゃいますね。
菊地 探偵要らずですよね。「Music Unlimited」ね。
中村 …職が無いですね、はい。
菊地 (笑)。じゃあ、早速聴いてみましょう。
(曲)

菊地 うん、これね。ま、元々あれだよね、最初に「ミンガス」って映画があって。
中村 はい。
菊地 その中でちょっとだけ流れてんのがあって、オレが盤から探し出せなかったんで、中村君に…ま、「レコード探偵」に「これを探してくれ」みたいなかたちで言ったら、タウンホール・コンサートのライブ盤がきて…。
中村 はい、オリジナル。
菊地 そっちがオリジナルね。
中村 はい。
菊地 それが映画で使われてたんだよね。
中村 そうですね。
菊地 うん。なんだけど、「ちょっと違うかもしんない…」とかなんとかって言いながら、DVD中村君に渡したり、いろいろやってたんだけど、「やっぱりそれだ。」ってなって。
中村 はい。
菊地 そしたら後から調べたら、やっぱりライブ盤でやってるってことは、オリジナルがあるはずだっつーんで、これがオリジナルってこと?
中村 そうですね、うん。
菊地 まあ、これはオリジナルなんだけども、一般のユーザー的には「探偵要らず」という…(笑)。
中村 (笑)。
菊地 すぐ出てきちゃうっていうね。
中村 そうですね。…まあ、ボーナストラックなんで…。
菊地 これもねえ、そこまでして探して調べて、資料もいっぱい作って、結局番組で使ったかっていうと、使ってないよね、たしか。
中村 (笑)。使ってないですね。
菊地 使ってないよね、たしかね。オレが家で楽しんだだけだったよね(笑)。
中村 ま、そうした埋もれた楽曲が…。
菊地 埋もれた楽曲ね。
中村 たくさんありますから。
菊地 あの〜…のるかそるかで、逸れた楽曲もいっぱいあるもんね。
中村 はい。
菊地 そういうものも、だいぶ入ってますよ、ということで。
中村 はい。
菊地 いや〜、まあ…そんな中、クオリティとクオンティティを両立した男といえば、彼しかいないという…。
中村 ザッパ。
菊地 フランク・ザッパ(笑)。…今、何曲目? 900?
中村 あ、番組で選曲した?…とりあえずトラックとして上がってるのは947曲です。
菊地 すごいね、中村君、それ…勘定したんだ。
中村 勘定しました(笑)。
菊地 まあ、それじゃフラれるよ(笑)。
中村 (笑)。
菊地 いいんだよ、「大体800曲ぐらいで…」って言っときゃさぁ、別にそんな。
中村 そういうとこですかねえ。
菊地 まあ、そういうとこじゃないのかねえ。
中村 なるほど。
菊地 今日は何言っても、最後は哀しいところに、こう…落ちてくんだね(笑)。
中村 (笑)。


You Are What You Is

You Are What You Is