「地獄でなぜ悪い」
個人的には今年最も公開を楽しみにしていた作品、園子温監督の「地獄でなぜ悪い」。
ヤクザの親分・武藤組組長を國村隼、その妻・しずえを友近、娘のミツコを二階堂ふみ、対立する池上組の組長を堤真一、巻き込まれる気の弱い男・公次を星野源、夢見る映画バカ・平田を長谷川博己が大熱演。とにかく今作品では端役の一人一人に至るまで、役者陣のそれぞれの魅力がスパークしていて最高!
(とにかく顔芸が多くて、そこをクドいと感じる人も多いかもしれないが、でもよくこんな顔に力のある人たちを揃えたものだなあ。)
ヤクザの抗争をカメラに収めて映画にするという、話としてはバカバカしいストーリーで、もちろんコメディなのだが、そこはやはり園子温監督ならではのエクストリームな表現満載で、P12のレイティングが奇跡的なほどの、血みどろ凄惨娯楽アクション映画になっている。
エピソードの一部が園監督自身の実体験を元にしているというのもスゴイ話だが、このありえない話に役者・スタッフが大マジで乗っかり、心底楽しんで作っている様子が窺えるので、観終わった後の気分は痛快。
個人的には人体破壊描写は苦手なので、単純に楽しめたわけではないのだが、それでもラスト近くの「キル・ビル」トリビュートのシーンなどでは思わず笑ってしまう。悪趣味だがそれをやり切ってしまうところが、園監督のスゴさでもある。
役者全員がこんなに輝いているのに、それでも最終的には「これは俺の映画だ!」という監督の主張が最前面に出てしまう。やっぱり「A SONO SION 'S FILM」の印象が強く残るのだ。
そこが賛否分かれるところだと思うし、個人的には最高だと思っているのに、園子温監督ファン以外の人には薦めにくいのが心苦しいところでもある(笑)。
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あと、長谷川博己という役者さんを今作でほぼ初めて観て、その魅力にやられた。「『セカンドバージン』とか出てた人でしょ?」というイメージを覆す弾けっぷりに感動した。
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