「GETZ/GILBERTO +50」

ゲッツ/ジルベルト+50

ゲッツ/ジルベルト+50

日曜は在日ファンクのライブを観る前に、「BOSSA AOYAMA 2013」というイベントの中で行なわれた、菊地成孔先生と伊藤ゴローさんのスペシャトークショーにも行きました。
「calendula」でnaomi & goroと共同でアルバムを制作したこともある、旧知の仲の菊地先生とゴローさんですが、このBOSSA AOYAMAでのトークショーも今年で4回目だそうです。
ボサノヴァ好きの方が集まっていると思われるこういう場で、リテラシーどれくらいかわからず喋ってますが…」と言いながら、ボサノヴァとジャズの関係にまつわる蘊蓄を挿みながらの、菊地先生ならではの軽妙なトーク
ボサノヴァの世界的なブームの火付け役となった決定盤「ゲッツ/ジルベルト」の制作エピソードから、スタン・ゲッツがいかに極悪人だったかという話になると、会場も大爆笑。
そしてその「ゲッツ/ジルベルト」のトリビュート盤を、伊藤ゴローさんがプロデュースした時の話になり、温和に見えるゴローさんが現場ではすごく厳しいのだと暴露。

その中で、元々この「ゲッツ/ジルベルト」というアルバムが制作された当時の状況なども踏まえると、様々な対立や闘争の要因が畳み込まれているこのアルバムを、ただただ心地よい癒しの音楽として捉え、仲良しメンバーで集まって楽しくプレイしただけでは全く意味が無いのだ、という話は目からウロコでした。
そしてそれをよく分かっているゴローさんが、あえて同世代のライバル?というか、互いを意識しあう関係のミュージシャン…例えばピアノに山下洋輔氏と坂本龍一氏と坪口昌恭氏、サックスには菊地先生の他に清水靖晃氏、ベースは鈴木正人氏と秋田ゴールドマン氏…などを起用して、絶妙な緊張関係の元でレコーディングを進めたのはさすがだと言及。
…正直自分も、ボサノヴァのトリビュート盤なんてたくさんあるし、どれも似たようなものなのかな?という偏見を持っていて、菊地先生参加仕事にも関わらず、買うのを後回しにしていたのでした。
ちょうどこのトークショーの後、会場で購入するとサイン会に参加できるとあったので、そこで購入。
そして帰宅してから聞いてみたら…。
いや、舐めててすいませんでした!と謝りたくなるような、クオリティの高さ。
「日本人がカバーしたボサノヴァアルバム」という括りに一緒にできないほどのレベルではないかと思いました。
音もいいし、演奏も完璧だし、アレンジも見事だし、フィーチャーされているヴォーカリストの人選も絶妙。日本人だということを特別意識することなく耳に入ってきて、普通に歌モノのジャズアルバムとして名盤なのではないか。
これは事あるごとに頻繁に聞く、これから長く愛聴する盤になりそうです。