「『シャーマン狩り』制作秘話。」

TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」第132回放送は、先週の生放送の最後にもちょっとゲスト出演された小田朋美さんの特集回。
12/4にリリースされたデビューアルバム「シャーマン狩り」を特集し、後見人(?)のおなじみベーアー氏と共に、アルバム制作秘話や、菊地先生との初めての出会いの時の話など、貴重なエピソードがたくさん聞けた回になりました。
個人的には、もうすっかり小田さんのトリコになっている自分ですが、この日のオンエアで初めて小田朋美さんの事を知った方でも、その音楽的才能はもちろん、キャラクターの魅力に心奪われる人が続出したのではないかと思われます。
番組中のトークの一部を文字起こししてみました。

シャーマン狩り

シャーマン狩り


菊地 はいどうも、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。今週はゲストに小田朋美さんをお迎えして、小田さんのデビューアルバム「シャーマン狩り」を特集します。というわけですけれども…喉が痛いよ!
ベーアー すいません(笑)。
菊地 ベーアーの真似のやり過ぎで(笑)。
ベーアー すいませんっていうか…。
菊地 ま、オレが決めたんだけどね。
ベーアー ええ…何とも言いようがない。
小田 うん。
菊地 はい。じゃあ、あらためまして、ま…ゲスト三人じゃなくて二人ですからね。まずは、言うまでもありませんが、小田朋美さんです。
小田 はい、こんばんは。小田朋美です。
菊地 小田さん、今日は収録…こないだは生放送でしたけどね。
小田 はい。
菊地 若干緊張されて…オリンピック・ルックに身を包みながらも。
小田 はい。
菊地 若干の緊張が初々しいとリスナー達に大評判。
小田 あ、はい。ありがとうございます(笑)。
菊地 今日はあの…夜中の収録ですけど、いかがですか?今日の緊張ぶりは。
小田 あ、今日はさらにオリンピックを決めて来たという感じなんで…。
菊地 そうですね。極めてきましたね。
小田 はい。
菊地 中に…インナーが赤いっていう…。
小田 そうですね(笑)。
菊地 オリンピックっつっても、昔のオリンピックですね。
小田 あ、そうですか。最近はちょっとユニフォーム違うんですか?
菊地 そうですね、この…紺ブレにインナーが赤ってのは…やっぱ東京オリンピックを思い出させますよね。
小田 あ、東京オリンピックね。
菊地 あ、違う。東京オリンピックは赤ブレザーか。
小田 ふーん。
菊地 ま、いいか。今日はやっぱり隣にね、小田さんの…小田さんだけじゃなくて、小田さんのナイトがいますからね。
ベーアー あ…。ありがとうございます。
菊地 何?今の。「あ…。」っての(笑)。
小田 (笑)。
ベーアー ナイトとか言われ慣れてないんで…すいません。ほんとに。
菊地 ああ、そうですか。
ベーアー あの…ね、キャバクラではナイト…。
小田 はい。
菊地 (笑)。
ベーアー 一般のね、小田さんたちにとっては…ツッコミやすい…使いっ走りみたいなね。
菊地 まあ…リスナーの中で、「ベーアーってのは何者なんだ?」って声がまだ(笑)。
小田 そうですね(笑)。
ベーアー そりゃそうですよね。
菊地 うん。ま、説明してんだけどね。
ベーアー ああ〜。
菊地 ま、今回の小田さんのアルバムが出る「エアプレーン・レーベル」の、11月までA&Rのトップにいた人ですよね。
ベーアー はい。ま、トップっていうか…僕しかいなかったんですけどね(笑)。
菊地 (笑)。
小田 ひとり勝ち(笑)。
菊地 もう辞めた、と。
ベーアー 辞めました。
菊地 辞めたと。でも、まあ…小田さんの作品が…実際のところ、さっきの前口上はババッと作っちゃったんですけど、実際のところ一番最後の…。
ベーアー はい、そうなんですね。
菊地 なるほど。で、今これは発売されてますね。
ベーアー はい。12月4日から店頭、Amazonなどでも販売しております
菊地 はい。これはもう…ドミュニスターズと違って、近所のお店に行けばある
ベーアー そうですね(笑)。ドミュニスターズは、あの…練馬のね、アパートの一室から発送されてますけど。
菊地 (笑)。まあまあ…これはどこでも手に入る。
ベーアー そうですね。
菊地 まあ今、情報もそこら中に出てますから、「小田朋美/シャーマン狩り」…ま、「小田朋美」だけで多分ガーンと出てきますよね。
ベーアー はい、出ますね。
菊地 ネット空間の中にもありますし、リアルフィールド…街ナカにもいっぱいあると、いうことですけども。
ベーアー はい。
菊地 まずメールが来てますので…。
(「『TK』ならぬ『N/K』として女性シンガーをプロデュースしている菊地さんにとって、小田さんはどのような存在ですか? 同じ『朋美』だけに…」というメールを読んで)
小田 (笑)。
菊地 ま、この方は番組の常連リスナーの方ですので、頓知の利いたメールが来てますけども。
小田 ありがとうございます。
ベーアー なるほどなるほど。
菊地 まあ…時間も今日ね、番組もうシーズン6、1時間ですから、時間がありませんから、遠巻きな表現をしている場合じゃないんで。
ベーアー ええ。
菊地 このメールの質問の意図をパパッと要約して…
小田 うん。
菊地 ま、小田さんがヤンデレかどうか?ってことだと思うんですよね(笑)。
小田 なるほど(笑)。
ベーアー ヤンデレです(笑)。
菊地 小田さんが…MENがHELLなのかどうか?ってことですよね。
ベーアー ああ〜。
菊地 それについて、ズバリ阿部君の方から説明していただきたいと思います。
小田 そうですね。
ベーアー はい。ヤンデレです。
菊地 (笑)。
ベーアー ヤンデレです!
小田 (笑)。
ベーアー 僕、デレられてないですよ。
菊地 あ、デレられてないですよね。
ベーアー ほんとにもう…「ヤン」だけなんですけど。
小田 「ヤン」はそんな私…ないですよ。「ツン」は聞いたことありますけどね。
ベーアー 「ツン」だらけじゃないですか、もう〜。
小田 そうですね。
菊地 小田さん的にはどうですか、この指摘に関して。「華原朋美」説に関して…。
小田 なんとも…言えないところですかね。うーん…「ヤンデレ」…言われてみればそんな気も…しま…せんでもないっていう感じですね。
菊地 自覚ありと。
小田 うーん。
菊地 なるほど。もうすでになんかこう…一曲聞いただけでもバレてるんだ、っていう(笑)。
小田 そうですね。やっぱなんか「朋美」っていう名前に対するというか何か…。
菊地 業がありますよね。
ベーアー それは違うんじゃない?(笑)。
小田 (笑)。
菊地 あ、先日は…TKと共演した?…ああ、ほんとですか。
ベーアー はいはいはい。そうだ、テレビで…。
小田 そうなんですね。
菊地 なるほどね。まあ、ワタシはTKと全然違う(笑)。N/Kの方は何にもやってないですからね。
ベーアー そうだね。
菊地 もう一曲聞いていただきましょうか。とにかく今日は曲を聞いていただきたいとこですよね。
ベーアー はい。
菊地 先ほどの「Love The World」…小田さんのこの「シャーマン狩り」、英題で「GO GUNNING FOR SHAMAN」になってますが。大雑把に…そもそもさっきのオープニングの曲のドラム叩いてたのは、この番組のリスナー的に言うと、「韓流最高会議」のあの「田中ちゃん」ですからね。
小田 そうですね。
菊地 そうそうそう。「あ、『田中ちゃん』ってドラム叩く人だったんだ〜。」っていう。ただの「少女時代」を面白く語る人っていうイメージかもしれませんが、あの人ドラマーでして。で、しかも芸大の先輩ですね、小田さんの。
小田 そうですね、うん。
菊地 小田さんは芸大・作曲科。
小田 はい。
菊地 田中ちゃんは先端芸術…?
小田 いや、えーとね…違いますね。音楽環境創造科ですね。
菊地 あ、そうだ、環境創造だ…ね。え〜…科は違いますけども、先輩・後輩ということで…小田さん幾つでしたっけ?、今年。
小田 私、27ですね…になりましたね。
菊地 そうか。じゃ、田中ちゃんの3つ下とかそんくらい?
小田 そうですね。3、4つ下?
菊地 はいはい。で、この芸大コンビのビアノとドラムスのデュエット曲が、ほんとは一曲だけだったんだよね、最初は。
小田 そうですね。その案だったんですね。
菊地 それで、ワタシは「共同プロデューサー」ってことになってんですけど
小田 うん。
菊地 まあ、何やったかというと…「田中ちゃんとの曲を増やしたほうがいいよ。」って言っただけなんで(笑)、内容的には。それで、まあ…増えたっていうのがありますよね。
小田 ふんふん。
菊地 それでアルバムは全9曲ですけども、半分ぐらいのボリュームを田中ちゃんと小田さんのビアノ&ドラムのデュオ。で、今ライブ活動も盛んに二人で…。
小田 そうですね。二人ではわりと…最近演ってますね。
ベーアー はい。
菊地 というのと、小田さんが芸大・作曲科卒という、その筆力ね。筆力ってのは、対位法から何からみんな書ける、ちゃんと弦楽が書けるという…アレンジもしちゃうというね。それで、弦楽これ…四人編成ですよね。
小田 はい、四重奏(カルテット)。
菊地 カルテットですよね。
小田 はい、弦カル
菊地 いわゆる「弦カル」が入っている作品と、二つにこう…バイカラーになってるんですけども。
小田 うん。
菊地 弦楽の方を聞いてみましょうかね。はい、じゃあ二曲目いってみましょう。小田さんの方から曲紹介よろしいでしょうか。
小田 はい。詩が宮沢賢治で、曲が小田朋美の「〔風が吹き風が吹き〕」。

(曲)


菊地 はい、小田朋美「シャーマン狩り」より、これトラック2になりますね。「〔風が吹き風が吹き〕」と。
小田 はい。
菊地 まあ、もう何て言うか…聞いててヒヤヒヤするほどの才能
ベーアー はい。
菊地 はい。「危なっかしいな、この人は…。」というほどの(笑)…才能の横溢を感じますけどね。
ベーアー はい。
菊地 ま、さっきのメールはリスナーの常連の方のジョークですけども。そんな一括りにしちゃったら、一連にしちゃったら失礼ですけどね、一応レーベルメイトってことで、今年はものんくる
ベーアー はい。
菊地 「けもの」、小田さん…と、やらせていただいて。
ベーアー はい。
菊地 一番ヘルシーなのが「サラ太郎(吉田沙良)」だよね
ベーアー そうですね。
菊地 サラ太郎が一番病いが少ないですよね。
ベーアー ええ、もうほんとに…
菊地 のびのび…
ベーアー のびのびして。
菊地 のびのびサラ太郎でしょ。
小田 (笑)。
ベーアー 若く…ね。元気一杯みたいなね。
小田 うん。
菊地 こないだ「『SIMI LAB』のキャップかぶってください。」って、「わ〜。」ってかぶって「か〜わい〜。」って言ってる人なんで。
小田 (笑)。
菊地 で、まあ…青羊さんはね、ちょっとお姉さんだし。
ベーアー そうですね。
菊地 まあ微妙に…もうちょっといっちゃってるんだけど(笑)。
ベーアー そうですね(笑)。
菊地 いっちゃってる段階で安定してる
ベーアー うんうん。
小田 いっちゃってる段階で…(笑)。
菊地 安定してるから、まあ…大人の風格。
ベーアー そうですね。ま、女王みたいな…女王蜂じゃないですけど…ね。
菊地 うん。相当ヤバい人ですけどね。
ベーアー ヤバいっすよ、あの人は。
菊地 うん。でもまあ、一番その中で現代っ子ぽくて、しかも「もう…だいじょぶかな?」って…
ベーアー はい。
菊地 それが小田さんですよね。
小田 そうですかね(笑)。
ベーアー そうですね。最初会った時はまったく分かんなかったんですけど。
菊地 ああ。
ベーアー 音楽的な才能は伝わってきて、「しっかりした子なんだな…」と。
菊地 ベーアーは女の子の「『ヤン』ディフェンス」があるからね(笑)。
小田 (笑)。
ベーアー そうですね。
菊地 女の子の「病みディフェンス」があって。女の子が病んでることに気が付くまでに、すごい時間がかかる男ですからね。
小田 (笑)。
ベーアー そうですね。
小田 見抜けない。
ベーアー 見切れない。すごいまともだと思ってて…。
小田 まともですけどね(笑)。
菊地 オレ、最初に小田さんに会った時から「ヤッバいなあ…。」と(笑)。
小田 ウソ!?(笑)。
菊地 でも、最初に会った時になんでヤバいなと思ったかというと、スキンヘッドだったからなんだよね(笑)。
小田 (笑)。
ベーアー それは何年も前ですよね。
小田 相当前ですね。
ベーアー 学生時代。
菊地 あれは相当前ですね。ワタシが最初に芸大行った時ぐらい…?
小田 最初でしたかね。田中ちゃんと、もう一人…女子の方がいた時なんで、二回目だと思うんですね、多分。
菊地 二回目の芸大だ。今、ワタシ三回目の芸大なんですけど。二回目の時に…あれ、小田さん聴講されてたんですか。
小田 あれ、一応は授業取ってたんですよね。
菊地 ほんとですか。
小田 単位…申請はしていて、ただその…五・六月に若干…ちょっと病んでしまったために…(笑)。
菊地 (笑)
小田 あの…ちょっとその…菊地さんの講義ならずとも、大学自体に行かなくなってる時期に…。
菊地 行かなくなってたからね、うん。
小田 …ちょうど一年間、菊地さんが来てらして。
菊地 そうですね。
小田 うん。
菊地 あの〜…まあ…一発で分かりますよね。やっぱ「病みレーザー光線」っていうか。
小田 ほんと?(笑)。
菊地 教室の隅ていうか、教壇まで真っ直ぐ届いてくる。
小田 そんなに?(笑)。
菊地 はい、レーザー光線届いてきて、まあもう…目線はキョロキョロしてるわ(笑)。
小田 そんなにヤバ…くないと思うんですけど。
菊地 下向いて表情筋はおかしいわ、頭が坊主だわって女の子がいて、「あ…この人ヤバいな…。」って思ったら。そん時はまだ全然ね、生徒であること自体もよく知らなかったんで。
小田 そうですね。
ベーアー うん。
菊地 そんであれだよね。それこそこれトリビアっていうか…すでにお宝みたいになっちゃうけど、爆笑問題の番組が芸大に来て…(「爆笑問題のニッポンの教養スペシャル」)
小田 そうですね。NHKのね。
菊地 そう。そんで公開収録があったんですね。
小田 うんうん。
菊地 そんで公開収録1〜2時間やって…あれには小田さん映ってないのか、あれDVDになってるんですけど。
小田 あ、なるほど。えっとね、あ、いや…映ってると思いますね。あの…討論してましたよね、なんか…芸大生と。
菊地 してた。太田さんが熱くなってね。
小田 そうですね。
菊地 太田さんは「表現」って言葉聞くと熱くなっちゃうからね。
小田 (笑)。
菊地 だから「若い」と「表現」に弱いんで、芸大来たらものすごくなっちゃって。あの日暑くて、オレもう熱中症で倒れっかな〜って感じで。
小田 暑かったんですよね、うん。
菊地 暑かった。でもそれ以上に熱かったのが太田さんだったんだよね(笑)。
小田 そうですね(笑)。一番太田さんが熱くて。
菊地 熱くてね。オレと田中さんはヒーヒーなってたんだよね。そしたら全部終わって、もう撮影撤収で帰ろうかなって時に、「あ、今まで目線に入ってた、あの坊主の女の子が寄ってくる!」って思ったら、小田さんだったんですよ。
小田 そうですね。話しかけた覚えがあります。
菊地 話しましたよね、確か。内容は忘れちゃったけど。
小田 ふんふん。
菊地 あれが…相当前ですよね。
小田 そうですね…何年前だろう。多分四年ぐらいは前だと思いますね。
菊地 はい。ま…病み上がりって感じが露骨に分かる…(笑)。
小田 病み上がり…そうですね(笑)。議論をぶった切っちゃった覚えがあります。
菊地 (笑)。
小田 太田さんに確か私…「不毛だと思います!」って言っちゃったと思うんですよね(笑)。
菊地 言ってた言ってた(笑)。
小田 「今話してることは不毛だと思います。」って言って。
菊地 「ヤバいなあ。パンクな人が出て来ちゃったよ、芸大の。」と思って、ワタシも微笑ましく見てたんですけどね。
小田 はいはい。
菊地 あそこ多分カットされたんじゃないかな。
小田 いや…生きてるんですね。
菊地 生きてるんだ。だったら、小田さんが一番パンキッシュな頃が観れますね。
小田 そうですね。
菊地 あれから比べたら、小田さん急速に大人になったね。
小田 そうですね。あの時は…
菊地 あの時すごかったですね。
小田 うーん。
菊地 とはいえ、まだ27ですけどね。
小田 はい。
菊地 で、それでその後…オレはそのパンクな女生徒が小田朋美さんだとは全然思ってないから…
ベーアー うん。
菊地 その後小田さんのことは忘れて楽しく暮らしてたわけよ、歌舞伎町で。
小田 (笑)。
菊地 そしたらベーアーが…
ベーアー そうですね。人伝にちょっと発見…噂を聞いてライブ観に行ったら、ほんと素晴らしくて。
菊地 うん。
ベーアー 素晴らしく…しかも受け答えもしっかりしたお嬢さんだと思ってですね。
小田 (笑)。
菊地 うんうん。
ベーアー それでその後何本かライブもブッキングしたりだとか。ライブの音源、録れれば菊地さんに渡しに行ったりして。
菊地 そうね。
ベーアー 菊地さんに売り込んでましたね、僕が。
菊地 ただものんくる」「けもの」ってのは、出目がジャズなんで、ワタシがプロデュースするっちゅうことがスムースに行って
小田 うん。
菊地 で、まあ…やることも決まってたし。
ベーアー うん。
菊地 でも小田さんは最初ベーアーがやるって言ってたんだよね。
ベーアー う…うーん?…まあまあ…
菊地 「菊地さん、小田朋美だけは菊地さんじゃなくて僕だと思います!」って(笑)。
ベーアー 言ったっけ?
小田 そうだったんですか?
菊地 「ボクダトオモイマス!」って言ってたよね。
ベーアー ええ〜!?…あんまりそれは記憶にないなあ。
菊地 「オダハジブンガヤルンデ!」
ベーアー いやいや…僕が出来るわけないじゃないですか、もう〜。
小田 (笑)。
菊地 で、まあ…やってたんだよね。そしたらベーアーからSOSめいた…「もう現場がオーバーしました。」っていう…(笑)。
ベーアー う、うーん(笑)。
菊地 「自分のキャパをオーバーしました。」っていうSOSがあって。
小田 そうだったんだ。知らなかったな…。
菊地 そんで行ったんだよね、確か。
ベーアー うーん…ま、なんか…そんな感じでしたよね。
菊地 その前にデモテープ聞いたんだっけ?
ベーアー いや、もうライブの音源とか聞いてもらってて…
菊地 そうそう。そいで、観たの。そしたら髪が生えてたんで(笑)。
小田 生えてましたね(笑)。
菊地 生えてたって別に…刈ってただけなんだけど、オレと違って。まあ、髪も伸びてたし…「あれ?どっかで見たな、この人。…あ!あの日話しかけてきた子だ。」って思ったら…
ベーアー うんうん。
菊地 ま、ビックリ…さすがあの時パンクだったり病み上がりだったりするだけの…とてつもない才能…ということで。
ベーアー はい。
菊地 まあ、ちょっとじゃあ…様子…現状どうなってる?って言って行ったんだよね。
ベーアー ええ。
菊地 そしたら、曲がまず足りないって言ってて。このままだとミニアルバムになっちゃうんで。
ベーアー そうですね。
菊地 曲書いてくれみたいな話に…最初はなってたんだよね。
ベーアー 最初ね、そうですね。
菊地 で、現場行ったら…もう、これはオレの…最初「プロデュースするわ。」ってことで請け負って、現場に行ったんですよ。
ベーアー ええ。
菊地 そしたらもう…完全なクラシック…当たり前ですけどね、芸大・作曲科ですから。
ベーアー うん。
菊地 まあ、ここの…お茶の間的に言うと、これワタシが書いた解説ですけど、作品解説の文章に坂本龍一渋谷慶一郎に続く、東京芸大・作曲科卒の非クラシック・アーティスト。しかも女性。」ってね。
ベーアー はい。
菊地 初めての例ですよね。前例ないでしょ?…小田さん。
小田 え、なんですか?
菊地 非クラシックで、作曲科は…一線はいる?
小田 えー…でも多分いらっしゃるんでしょうけどね。
ベーアー 探せばいるんですかね。
小田 でもほんとにポップな感じの歌手の方では、あまりいないですよね。
菊地 いないですよね。ピアノ弾いて自分もバンバン歌って前に出るって人はいないですよね。
小田 うーん。
菊地 だから、という方なんですけど。なので、もう現場は…弦の人は芸大だしね。
ベーアー はい。
菊地 曲聞いたらみんな…小組曲みたいになってるし(笑)。ノリも芸大ノリ、ベースメントになってるのもクラシックなんで。
ベーアー うーん。
菊地 「これオレじゃないわ。」っつって。「オレちょっと無理だわ。ジャズの出る幕じゃないわ。」ってなって、一回引いたんだよね。
ベーアー うん。
菊地 そう。それでもまだ曲が足りないからどうしましょ…みたいな話になって、このままだとミニアルバム…今9曲だけど、6か7だったんだよね。
ベーアー そうです。はい、もうちょっと足りなかったんです。
菊地 で、パッと聞いたら「Love The World」だけが入ってて…田中ちゃんとのデュオが。
ベーアー はい。
菊地 Love The World」だけだったんで。「いや、ポップスをこうやって演るのはすごくいいので、これでもうちょっと何曲かやりませんか?」って、小田さんにメールして。
小田 うんうん。
菊地 そいで…10曲ぐらいでしたっけ?渡したんだよね。
小田 そうですね。リストを…日本の曲に限らず…いただきまして。
菊地 それで小田さんが選んできたのが2曲あって、これが先週もオンエアしましたけど、今週も…ま、途中までにしようか。売野さん、作曲・YMOっていう、まあ…いわゆるYMOレジェンダリーな人…YMOをレジェンドとする人にとっては、レジェンドな曲ですけど(笑)。これ「鏡の中の十月」はなぜ選んだんですか?
小田 これは…2曲最後に迷ったんですよね。「鏡の中の十月」と「Angelic」で、どちらか1曲足そうみたいな話だったから、私としては「Angelic」押しだったんですけど。
菊地 はいはいはい。
小田 菊地さんが「鏡の中の十月」押しだったような気がしますね。
菊地 そうね(笑)。そこはちょっと…小プロデューサーとしての…あれをちょっと使ってしまって、「どうしてもこれを歌ってください。」みたいになったんですけど。ま、先週も言いましたけど、歌ってもらってよかったなっていうね。

爆笑問題のニッポンの教養 DVD-BOX (Vol.1~5)

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※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。