「マシュー・マコノヒー特集。」



仕事が早く終わったので、久しぶりに飯田橋ギンレイホールへ。
ペーパーボーイ 真夏の引力」と「マジック・マイク」の2本立て。
昨年観ようかと思って観逃した作品を、安く、まとめて観られるから名画座はありがたい。
しかも、なぜこの2本かというと…これって「マシュー・マコノヒー特集」だよね。
ちょうど「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で、強烈な存在感が放たれていたのを観たばかりだったので、「今ハリウッドで最も旬」と言われている(?)、マシュー・マコノヒー出演作を2本続けて観れるのはいい機会だと思って、以前から楽しみにしていた。
おそらく来週中に観るであろう「ダラス・バイヤーズクラブ」の予習としても絶好の機会。
ま、正直「マジック・マイク」はどうでもよくて、でも「ペーパーボーイ」は予告編を観て気になっていたし、ニコール・キッドマンジョン・キューザックが強烈な役で出演しているらしいので、これは外れないだろうと思っていた。
しかし…。
ウルフ・オブ・ウォールストリート」、「アメリカン・ハッスル」と続けざまに傑作を観て、「今年は映画の当たり年だな〜」と浮かれていたからかもしれないが、特に、背もたれも低く、前の座席との間隔も狭い、ギンレイホールの快適とは言えない環境で2本観るという苦痛もあって、この2本観た後との猛烈な気持ちの落差に戸惑った。
いや、久しぶりにダメだったわ〜。
マジック・マイク」はまだいい。ま、しょうがない。いくらソダーバーグといえども、こんな大してドラマもない話は盛り上げようがない。男ストリッパーとして刹那的な生活をしてて、女にも金にも不自由しないけど、ほんとはオレ真面目なんだぜ…とか言われても、はいそーですかという感じ。
それでもこの中で、ストリップクラブのオーナー役として登場した、マコノヒーはやっぱりひと際異彩を放っていたけど。
いや、「ペーパーボーイ」ですよ。なんだ?この映画?
サイコスリラーとしても、真実は藪の中ミステリーとしても、少年が大人になるひと夏の経験ものとしても、黒人差別があった時代のセミドキュメントとしても、どれにしたってものすごく中途半端で、観終わった後の憤懣やるかたない感じには参った。
いろいろ思わせぶりに伏線を張るけど、何も回収してくれないじゃん。
主要人物たちの家政婦として、ひととおり状況を見ていた黒人女性に、当時起きた殺人事件について記憶を呼び起こしてもらうインタビューという設定で始まり、その女性のナレーションで回想中の物語が進んでいくのだが、最終的には「何であんなことになったのか分からない。」、主人公の少年のその後についても「その後作家になったそうよ。」と曖昧に語る。
そもそもこの黒人女性にインタビューしている人物は誰か?というのが伏線になってるのかと思ったら、何にもなってない。
ニコール・キッドマン演じる謎の女の不可解な言動も、何かしらそれには理由があるのかと思ったら、何も明かされない。
その謎の女に恋する童貞君(ザック・エフロン)も、この時起こった不思議な出来事を経て、何か成長したのかというと、そういうわけでもない。
いや、それぞれの人物の背景を、想像はできるよ。有名な小説を原作にしているそうだから、原作にはもっと細かくそれぞれの人物が抱えている闇について描かれているのかもしれない。
だとしたら特に、こんなどこにも焦点の定まっていないまとめ方はダメでしょ。監督の力量を疑われても仕方ないのではないか。
登場人物全員が、最初からいろんなことを諦めきっていて、結局何のカタルシスも生まれない。それこそがこの当時の社会の空気であって、それがテーマなのだというのかもしれないが、少なくとも観ていて面白いものではなかった。
し〜か〜し〜…そんな作品の中でも、マシュー・マコノヒーからは目が離せなかった。
なんなんだろうな、彼の魅力。声の良さは大きく影響してるとは思うけど。
映画自体は個人的にはハズレだったけど、これを踏まえて「ダラス・バイヤーズクラブ」を観たら、さらにマシュー・マコノヒーの凄さに驚くのかもしれないから…ま、いいか。
しかし、「アメリカン・ハッスル」の役作りで激太りしたクリスチャン・ベールもいれば、「ダラス・バイヤーズクラブ」でエイズ患者を演じるために激痩せしたマコノヒーもいて、アカデミー主演男優賞はディカプリオにあげたらいいのにと思っていたが、こりゃあ、なかなか難しいぞ〜。

ペーパーボーイ 真夏の引力 [DVD]

ペーパーボーイ 真夏の引力 [DVD]

マジック・マイク DVD

マジック・マイク DVD