「サード・パーソン」



仕事帰りにTOHOシネマズへ。1日は映画の日ということで、気になっていた「サード・パーソン」を観る。
「クラッシュ」すら観ていないのだが、アカデミー賞受賞監督のポール・ハギス監督の新作ということで注目度も高いようですな。
予告編を観て、3組のカップルの物語が同時進行する群像劇だが、最後にあっと驚く仕掛けが…みたいな感じで、「ネタバレ注意!」みたいな煽られ方もしているみたいなので、これは面白そうだと。キャストもなかなかシブイ人選だし。

※以下、ネタバレ含みます。
リーアム・ニーソンが演じる作家はパリのホテルで執筆中。そこに不倫相手のアンナ(オリビア・ワイルド)が訪ねてくる…これがひと組目。
一方ローマのバーで、エイドリアン・ブロディ演じる企業スパイの男が、エキゾチックな美女(モラン・アティアス)に一目惚れ。誘拐された娘の救出に協力することになる。これがもうひと組の話。
さらにニューヨークで、我が子を虐待したと疑いを持たれて親権を失ったジュリア(ミラ・クニス)と、絵描きの元夫(ジェームズ・フランコ)との間の話。
この3組の話が同時進行する。
結構頻繁に3組の話が切り替わるので、ほぼ同時に起こっているように錯覚させるが、これは意図的にミスリードするためなのだろう。
場所も離れたこの3組がどこでどう交差するのか?…という興味で引っ張りたいのだと思うが、思わせぶりなシーンが多くて、その割にはそれぞれの話があまり面白くなくて…とにかく観ていて苛々した。
おい、これちゃんと最後は繋がって、ドーンとカタルシスあるんだろうな?
主人公が作家で新作を執筆中…てところが、いかにも怪しいけど、まさか作品の中の話ですって、夢オチみたいなことにならないだろうな?…と思っていたが、不安的中。
しかも、最後まで謎が残る…みたいな、終始思わせぶりなだけ。
観終わった後、確かにいろんなところに疑問が残ってそれが気になるが、「え?ひょっとして、オレ大事なとこ見落としてる?」っていう不安に駆られて、帰宅してからすぐに「ネタバレ」で検索して、いろんな人の感想、解説を読んでみてしまった。
結局、監督本人も「この作品に明確な結論はなく、観た人がそれぞれ感じ取って欲しい」的な、煙に巻くようなことを言っているぐらいで、なんだかな〜という感じ。
登場人物それぞれが「きっと過去に悲しいことがあったのね。」的な表情で、求め合ったり傷つけ合ったりして、「現実だろうが空想だろうが、人生って虚しさとの戦いだよね。」的なテーマなのだろうか。それをスランプの作家の妄想の中で語らせてもなあ。あまり重みがない。
群像劇ならそれぞれ徹底的にリアルな出来事として描かないと、それぞれが一瞬交差した時の感動は生じないのではないかな。
脚本の構成とかは凝りに凝っているのかもしれないけど、ちょっと監督の独り善がりのようなこの作品、乗れなかったです。

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