「カタギの人々の面白さ。」

「粋な夜電波」第162回放送はフリースタイル。
歌舞伎町から少し離れた生活にいまだ慣れないといいつつも、市井の人々のなにげない行動におかしみを見出す菊地先生。
ちょっとソフトなWBO話(?)@コンビニの部分を文字起こししてみました。

Separate Oceans

Separate Oceans

はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャン、そしてですね…
激おこプンプン丸」っていうのをですね(笑)…オコゼの忍者が主役の海底を舞台にした時代劇のアニメだと本気で思っていた(笑)、菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
(メールを読んで)
最近はもう…歌舞伎町も遠くなりにけり…でして、ロイヤルホスト東新宿店は行ってますけど、メニューの話も番組でしないって決めましたし。
やっぱね、歌舞伎町…職安通りに住んで、そのネットワークの中で行くロイヤルホストと…今はね、どっちかっていうと、ま…新宿なんですけど、区分で言うと新宿御苑前・三丁目・二丁目…二丁目なんか最近よく遊びに行ってるんですけどね、ただね…二丁目のネタはラジオで言えないし(笑)、要らぬ誤解を招く可能性もありますからね。言えないんで…そういった状況で、歌舞伎町も遠くなりにけり…なんですけど。
もう、ほんとね…やっと慣れた。目が覚めて起きて、朝のヴィダーインゼリー買いにコンビニに行くと、昼キャバのキャバ嬢さんと出勤前のホストさんがいて、それが一日中続くという…ね。水商売の人しかいない…鮨屋に行ってもコンビニに行っても、ステーキハウスに行っても…っていう暮らしが終わりまして、堅気の方がいるわけですよね…コンビニ行ってもね。
まあ、それは当たり前のことで、歌舞伎町の十年間ってのが異常だったわけなんですけど。ある意味正常な状態に戻ったわけですね。
セイジョーなコクミン」ね…セイジョー」って薬屋さんと「コクミン」って薬屋さんが向かい合ってた…ってのが懐かしいですね。これも職安通りの話ですけどね(笑)。
それ見るたんびに、この国はヤバイんじゃないかな?(笑)っていう。「セイジョー」「コクミン」って看板に書いてあんだね…って思ってたわけなんですけども。
先日もコンビニエンスストアに並んでまして、前も後ろも堅気の方です。昔は前も後ろも水商売の方だったんですよね。
で、まあ…堅気の方にね…慣れないですねえ、やっぱりねえ。
公共料金?…をコンビニで支払えるんですよね?…で、それをもう束で持ってるわけ。家族連れですよ、ファミリーなんですよ。もう、ファミリーには弱いですからねえ。旦那さんがいて奥様がいて、どっちもキャップかぶってらしてね、グアム島にでも遊びに来たような感じですよ、新宿じゃなくて。奥様はこんな短いショートパンツで。で、お子さんがいてベビーカーがあってね。
小ちゃいお子さんがいて。その小ちゃいお子さんの目をジーッと見たりしてね。
「おじさんみたいになっちゃダメだぞ。」っていう(笑)…テレパシーを送りながらね。その子の将来を考えながら、ジーッと見たりしてね。
「…なるわけねえだろ。」っていう(笑)…ヴァイブスが返ってきてですね。「まあ、そんならいいけど。」っていう、ヴァイブスの交換をしてるんですけど。
とにかくね、公共料金を払い…しかも束でですよ、その上に郵便?…「夏のお中元」っていうの?…それをやっぱりコンビニのカウンターで送れるわけね…で、住所氏名書いてるわけ。
それを…そもそもそんなことする人、歌舞伎町にいませんから…のコンビニに。
だから、さっきも言ったように、それが正常なんでしょうけど、ものすごい時間が掛かるんですよ、とにかく(笑)。
買い物もしてるわけ、それで公共料金も払ってるわけ、そいで荷物の住所も書いてるうえに、「パパ、なんとか〜。」っつって、全部清算が終わった後にね、追加のキャラメルとかをね…買いに行かせてるわけなんですよ(笑)。
ま…そのね、ワタシももう歳です51ですから、コンビニでちょっと並んだっつって苛つくようなあれではないですけども、ただね…そのお父様のTシャツの背中に、おあつらえ向きにですね…「What's Your Problem?」カタカナで言うと「ホワッツ・ユア・プロブレム?」…「オマエの問題は何だ?」って書いてあるんで、そりゃオマエら一家が前にいることだよ!て思ったんですけども(笑)…まあ、届かないですよね、やっぱり。声ならぬ声を上げてね。
で、後ろにいる方はね…お婆さんかなんかで(笑)。ま、ひょっとしたら…カタギの方が面白いんじゃないかな?っていう。うすうすは感じてたんですよ。
なんで、まあ…後ろに並んでるお婆さんが、あの…キシリッシュみたいなやつあるじゃないですか、口臭を取るガムですか?…ワタシ、ガムあまり噛まないんで分かんないんですけど。粒ガムみたいなやつを、もう…ね、「どっちでもいいでしょうよ!」(笑)…「じゃあ、買わない方をアタシが買いますよ!」っていうくらい、すっごい選んでたりするんですよね。
ああいうことってのはね、やっぱ堅気の世界にしかないことなんで。粒ガムをものすごい選んでるお婆さん、とかね、やたらと時間が掛かる親子だとかね。
ま、そういうことにとにかく慣れて行こう…でも、何て言うんですかね…血が騒がないんですよねえ。
やっぱりね…コインランドリーにホストの二人組がいて、後輩が先輩に「センパイ、コカコーラ・ライト黒いやつってアレ、シュガーフリーってほんとすかね?…マユミが言ってたんすけど。」「…ま、一ヶ月もマユミに飲ませ続けりゃ分かるだろ。」っていう会話の方がですね(笑)、面白いか面白くないかは別として、血が燃えるんですよね。
血が燃えるっていうか、懐かしい気分にになるんで、それをこう…やっぱりラジオのパーソナリティーなるもの、やはり懐かしく良い気分で言った方が伝わると思うんですよ、皆さんに
え〜…曲いきましょうか(笑)。


Da Mind Of Traxman Vol.2 [ボーナストラック2曲+ライナー+ポスター+帯]

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※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。