「映画のオープニングロゴに自分のイニシャルが?」

「粋な夜電波」第190回放送はフリースタイル。
最新のR&Bや昭和歌謡の隠れた名曲など、幅広い選曲とともに、WBO話に労力士(ロレックス)コーナーなどをお届け。
「通常営業こそが最高!」と仰る番組ファンの方も多いというのも納得の、充実の内容。
菊地先生の幼少期の思い出について語られた部分を文字起こししてみました。
(今回放送のほとんどは、先にみやーんZZさんが書き起こしされていたようですので、重複しない箇所を文字起こししました。「横浜元町のソウルバーで出会った酒乱の話」「深夜の大久保病院で見た、ゴネまくっている女性患者の話」「昭和歌謡コンピレーションアルバム『Nippon Girls 2』の紹介」などは、miyearnZZ Laboさんのほうでお読みいただけると思います。)

Offering For Anxious

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はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャン、そしてですね…
ワタシ…まあ、あっちこっち本なんかにも書いてますけども、実家…千葉県銚子市という港町なんですけど、家の両側が映画館で。
その2つの映画館以外にも、当時ですね…五社協定があった時代ですけども、映画館が…確かワタシの記憶では最高で9つあった町ですけども。
もう今はゼロになってしまいましたけども。1個あんのかな?…シネコンが出来たのかな?…ま、それはともかくとして。
ウチが飲み屋でしたんで、ガキが騒ぐとですね、楽しんで一杯やってらっしゃる方の邪魔になるってんで、ワタシが騒ぐと…第一におふくろ、第二にはおふくろの妹、第三には従業員の女性などが、急いでワタシを抱き上げて、どこに避難するかというと、パッと映画館に入ってたんですよね。
あの…(笑)、今から考えればですけど、映画館の中でガキが泣くのも…騒ぐのも、映画館に迷惑なんじゃないかな?と思うので(笑)、路上にしとけば良かったなと思うんですが。
大変高い確率で…これは推測するしかないんですが、映画館に入るとワタシが泣き止んだんじゃないかなと思うんですよね。
以降、ワタシが泣くと映画館の暗闇の中に、ま…女性と一緒に、女性にしがみついて、映画館に入って行く…という癖がついているわけですが。
日活って会社がありますね。ロマンポルノ…ロマンポルノですら、今ご存知無い方が多いと思いますが、まだ日活がロマンポルノになる前の…それこそ五社協定なんか残っちゃってて、小林旭さんなんかが肩で風切っててね、あの時代の日活映画。
あれはもう、始まると必ず…要するに会社の…ああいうのは何て言うの?…映画の批評の本まで出していながら、テクニカルタームを知らないですけど、いわゆる日活には日活マークの…必ずブランドのあれが出てきますよね。
日活はこう…波頭っていうか、岩場に波がきてバーンと…波が砕け散ってですね、あ…それは東映だ。日活はこういうね…何つったらいいんですか…「NK」って出るんですよ、日活は。
で、ガキの時分ですから、「NK」と…分かんないですよね、漢字すらわかんない、ひらがなも覚束ないガキの時代だったんで。
とはいえ、アルファベートっちゅうのは覚えやすいですから、「NK」というマークがバーンと出て、何て読むのかも分からず、そこが日活だっていう映画…もちろん「NIKKATSU」だから「NK」なんですけど…そういうことも何にも分からず、ただ…子供は物覚えがスポンジですから、「NK」ってのがビヨーンと出てくる…で、波頭がバーンと割れる…会社によっては。
波頭がバーンと割れるのも、後から知ったんですけど、銚子の犬吠埼海岸なんですよね、あれ。
なんで、銚子の犬吠埼海岸ってことは、ワタシが良く遊びに行った…マセくりかえった頃にはバイクで遊びに行った…海岸の波頭だということも後から知ったんですけども。
それよりも何よりも、菊地少年が長ずるに、アルファベートなんか…ローマ字なんか覚えちゃったりなんかして、そうすっと…まず最初に自分の名前書いたり、自分のイニシャルなんかを分かるわけですよね。
そうすると、テメエのイニシャルが「NK」だってことが分かるわけです。
で、え!?…「NK」だって分かった時に、「あ!ガキの頃からずーっと見てた、あのマークが『NK』だ!」っていう、自分のイニシャルと同じだって符合したこと、そしてそれが日活映画の「NK」だということの、数々の符合にですね、非常に興奮した菊地成孔が(笑)、TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
え〜…驚くって言うかね、後から記号の意味が分かるっていうのは、面白いもんですよね。先に覚えちゃってからね。
ワタシね、3歳の時に、当時3歳ってのは記憶無いですからね、だいたい4歳ぐらいでしょ。まあ…いろいろ精神分析学だとか持ち出さなくても、だいたい4歳ぐらいですよね。3歳までは、学問的に記憶が無いものとされてんですけど。フランスなんかだと。
3つの時に、「つづく」っていう…(笑)、昼の連ドラが好きでね、うちの母親が。
そうすると見てると、当時の番組には、必ず最後にひらがなで「つづく」って出たもんなんですよね(笑)。どんなドラマも。
で、そのね…「つづく」を覚えてて、まだ幼稚園も入る前だったんですけど、家にある食券にね…「刺身定食 680円」とか書くペンを使って、あっちこっちに「つづく」「つづく」…って書きまくってたもんなんで(笑)、家が「つづく」だらけになった(笑)…ね。
ま、このエピソードが、番組が「つづく」かどうかに(笑)…かかっているかどうかは、まったく関係無いんですけどね、ええ。
今自分で喋りながら、「あっ…。」と気が付いてしまったわけですけども。
でもまあ、触れないわけにはいかないでしょうね。数分後には触れているでしょう。


Nippon Girls 2

Nippon Girls 2