「菊地ナルヤッコ期。」

「粋な夜電波」第205回は、久しぶりの生放送。
TBSアナウンサーの林みなほさんの熱演が光る、完成度の高いラジオコントもあり。
今の御時世を斬る考察から、御幼少の頃の話まで、幅広いトークと、最新の音楽。
特集がなくても、この内容の充実ぶり。
菊地先生が「やっこさん」と呼ばれていた頃のエピソードが面白かったので、その部分を文字起こししてみました。

Classics

Classics

だいぶ、ほんとに…言葉もね、今いちばん…昭和に普通に言われてた言葉で、全く形骸化しちゃって、よしんば言ったとしても意味が無い言葉は何かな?って考えた時に、「言いたい奴には言わしときゃいいんだ!」っていう台詞がありますよね。ありました、というかな。
それは、まあ…例えば、なんか自分の陰口だとかを言う人がいると、陰口なんか叩く人間は少数派で、無視して生きてたって何の問題もないし、なにせ数も少ないし、会う事もないし、自分さえ気にしなければ何ともないんだから、言わせておけばいいんだよ…って意味だと思うんですよ。
あの…「思うんですよ」って、ついこないだまでは、そういうコンセンサスが取れてたんですけどね(笑)。そういう意味でした。
でも今、世の中ってのは、「言いたい奴には言わしとけばいいんだ!」って言ったところで、実際…一分一秒おきにですね、言いたい人が言いたいことを言い続けてる世の中なんで(笑)。
少数派でもないですし、自分の目につかないってこともないですから。「言いたい奴には言わしときゃいいんだよ!」ってのが、何の慰めにもならない時代になったんだ…っていうね、…ことを感じますね、ほんとにね。


え〜、ワタシは一回かなりの…ま、ワタシ何事も早いんで、2004年ぐらい…11年ぐらい前に、かなりの依存症っていうか、使っちゃいけない言葉かな?…中毒っていうのかな、まだSNSのエの字もない頃のインターネットにだいぶハマって、これは危険だなと思って、自分の肉体的精神的健康のためにやめてる…というか、たしなむ程度にしてますけども。
今はね、文化人類学の学生なんかが、とんでもない秘境に行って、「ここにはWi-Fiが無い!」って、そりゃ無いよ!っていうね(笑)。
壁中にコウモリが張り付いているような場所ですよ。そこで教授が「ここにはWi-Fiが無い。」って言うと、一人また二人と…過換気で倒れていくっていう時代ですからね。どんだけ依存してるかって話なんですけども。


ま、それはともかくですね、ワタシの実家の仕事的に言うとですね、下戸が…要するにお酒呑まない方ね、下戸が宴席でキリンオレンジや三ツ矢サイダーで鰻や天ぷらを食わずに済むようになった…っていうのも、かなり大きいんですよ。
それはね、ウーロン茶って物の製品化によって変わったんです。
でね、これは日本に独特の現象で、例えばフランスなんかもね、最近はやっと「ORANGINA」来ましたね。
オレンジーナ」の次に来るのが「レモンジーナ」っていうのは、ちょっと違うと思うんですけど(笑)、フランス語では「シトロン」ですからオレンジーナ→レモンジーナ」ってのは「仏語・英語」になっちゃってるんですけど、ま、ま、ま…そこはともかく…そんな事にケチ付けようって気は毛頭ありませんけども。
まあ、何が言いたいかっていうと、あのね…アジア圏の…東南アジア・北東アジアといわず、中国・韓国・台湾・フィリピン・ベトナムといわず、お茶があったの。冷たいお茶をね…あったんですよ。だから下戸の人は、宴席の時は冷たいお茶を飲んでいればよかったんですけど、日本人はね…お茶で宴席にっていうのが、ちょっと駄目でね。
ワタシの家は…古くからのファンの方は御存知でしょうけど、父方が飲み屋…まあ、大衆割烹よりちょっと料亭より…ま、昼は料亭、夕方から大衆割烹、夜になると飲み屋っていうね、で、母方は鮨屋ですから。
そうすっと、もう年がら年中宴席が持たれるんですけど。
あの…ミネラルウォーターが無いから、フランスみたいに。で、アジアの諸国みたいに、冷たいお茶ってのが無かったんで。
で、熱いお茶で天ぷら食うってのはね(笑)…日本人の…何て言ったらいいんですか、サラリーマンのお父さんとかがね、良しとしなかったんですよね。


で、結果としてね、ビールを飲んでるお父様方の中で、下戸のお父さんはキリンオレンジや三ツ矢サイダーで鰻食ったり天ぷら食ったりする時間が長かったの。今から思えば、ずいぶん甘口ですよね、それってね。子どもっぽいっていうかね。でもね、かなり長かったですよ。
だから、ウーロン茶って商品が出てきて、缶入りのウーロン茶ってのが、こう…ある意味瓶入りのキリンオレンジみたいになって、トクトクトクとこう…ビールのグラスに注いで飲めるようになったってのはね、なんかもう…福音って感じがしましたけどね。
まあ、そんなに最近でもないですけど、あれ何年ぐらい前なんですかね?…20年ぐらい前なんでしょうか。というような…「何年ぐらい前なんですかねぇ?」いういい感じも、「じゃあ、検索します!」っつって、あっという間に正しい年代が出るという、クソのような世界ですけどね、今はね(笑)。ほんとに…知らなきゃ知らないでいいんですよ(笑)。


あとですね、あの…鮨をね、これはね…トモミン…ま、トモミンっつってもね、村松友視さんですけどね(笑)。エッセイストの、小説家の。「時代屋の女房」、「私、プロレスの味方です」。
村松友視さんが、はっきりと書いてますけども、ある地方…これは金沢だったと思いますけども、「金沢なんか行くと、もう…穫れたての白身魚をレモンと塩で食うんだよね!」っつって、「ものすごいことだ、これは!」っつって、エッセイに書いてたのを、ワタシ憶えてますから。
今、当たり前ですからね。「すしざんまい」行って、ミル貝とかつぶ貝っつーと、「レモン塩で?」(笑)…「梅醤油で? わさび醤油で?」って訊かれる時代になって、もう当たり前になりましたけど。
ちょっと前まで日本人ってのは、どの鮨ネタも全部むらさきで食ってたんですよね。その…昆布締めだのね、ましてや塩とレモンってのはありえないですよね。ま、年寄りの繰り言シリーズですけどね、やだと思ってるわけじゃないですよ、塩とレモンが定着したのは面白いし、良い事ですよね。
マヨネーズなんて、ギリギリ下手物だったはずですけど、今主力商品ですからね、ほんとにね…低価格寿司屋さんではね。


いろいろありますよ、ほんとに。
ワタシなんかねぇ…一家で一番年下ですからね、何て呼ばれるか?…「ナルヨシ」なんて呼ばれないですよ。「ナル坊」…良くて「ナル坊」ですよね。これは「ナル坊ちゃん」ってことですけど。で、兄貴が秀行ですから「ヒデ坊」。「ヒデ坊・ナル坊」が、これはまだいいほうで。
平均的には「奴さん」って呼ばれてましたから(笑)。「やっこさんがよお〜。」って(笑)。
ワタシが学校でテストの平均点を下回ったんで、そのテスト用紙をクシャクシャに丸めてランドセルの底にしまっていた、これに関して母親は父親に「奴さんよぉ〜」…やっこさんで通じるんですよナルヨシだってことが(笑)。「奴さん今日よぉ、テストの用紙をよぉ、点がしくかったからっつってよぉ、クシャクシャに丸めてランドセルの底に隠してたよ、やっこさんがよぉ〜。」というような感じですけど。
今やこのね、小さな子ども…ま、童(わらべ)を指すために、「奴(やっこ)」と呼ぶと、これもまあ…ある種の階級ですね、ある業界の階級に倣った俗語ですけども、一番下の子を「奴さん」と呼ぶというのも無くなりましたね。
今「奴さん」っつったら、椿鬼奴さんのことを指す時代になりました。固有名詞になっちゃいましたからね。時代は変わったわけでございますけども。


どんどんどんどん、こうしてね、言葉が変わっていくわけですが。こうした「言葉が変わった!」というメッセージを皆さんから募集しています、番組では(笑)。
してないっつーの、別に(笑)。今そういう話の流れになっただけなんですけどね。

Break Stuff

Break Stuff

SOUL MOVEMENT VOL. 2

SOUL MOVEMENT VOL. 2