「2015上半期〈面白かった事〉ベスト10、選考中。」

「粋な夜電波」第210回放送は、ジャズカバー曲特集。
今年ももう6月に入り、そろそろ決めたいという「2015上半期〈面白かった事〉ベスト10」について語られた部分を、文字起こししてみました。

Yael Naim

Yael Naim


はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。え〜…ジャズミュージシャンの…
そしてですね…
まあ〜…もう6月入りましたねえ。もう…梅雨の前の、ほんのちょっとのね、暑苦しい時期…そして梅雨が来て、それが終わると、まあ…ほんとに…クソ暑くなるわけですけど(笑)。
いずれにせよですね、そろそろ、我ながらですね…我ながらっていうのおかしいか(笑)。
ま、そろそろ、今年の上半期のいろんなベストテンが決まる…決めなきゃいけないなっていうね、気持ちはありますよね。
で、ま…今年の上半期のベストテン…何を決めるのか?
ま…音楽もいろいろありますし。今年はすごい豊作ですよ。2015年ってね、2014、15は相当いい音楽が出てますよね。
この番組始めた時は2011でしたけども、穫れ穫れの新譜っていうのが、最初の頃ね…それこそヘヴィ級のリスナーの方向けの話になっちゃいますけど、初期はね…そんなに穫れ穫れの新譜が無かったんですよ。
だけど、もう…ここ…だから去年と今年はもう…ほとんど14年・15年で間に合っちゃいますね。そのぐらい、あの…全世界的にあらゆるジャンルが今盛り上がってますよね。な、何なんでしょうか。よくわかりません。いわゆるグレートヴィンテージですよね、14年・15年ね。
で、まあ…そう、音楽にもそういう事があるわけですけど、やっぱりその…「面白かった事」ベストテンっての、やっぱ出したいですよね(笑)。上半期のね。
自分なりに…ワタシこういう…自分の質っていうか了見っていうかね…が、ちょっとこう…躁病でね、気の毒なことに。病によって(笑)…アガっちゃってるわけなんで、いろんな事が面白いわけなんですけども。面白くてしょうがない…箸が転がっても面白い中年なわけですけども。
そんなワタシですら、やっぱり…「何が面白かったかな?」ってのは指折り数えてですね、この番組やってますから、面白いなと思ったら番組用のノートに書く癖がついてるんですよね。
こないだ友達と飲みに行ったら、そいつがニッカウヰスキーハイボールばっかり飲んで。
「ふうん、珍しいね。昔、焼酎派だったのに、なんでニッカウヰスキーハイボールばっかり飲んでんの?っつったら、
「いやあ…『マッチャン』の影響で。マッチャンがね、ニッカウヰスキー…」
「あ、松本人志さんってニッカウヰスキーの宣伝とかやってたっけ?」っつって。
「マッチャンの影響で…すごいですよ、マッチャン!」っつって。
『マッサン』でしょ!っっていうね。
これもね…上位にくるんですけど(笑)、1位は獲れないですね、やっぱね。1位を獲るのは大変です、ほんとに。いろんな意味でね(笑)。なかなかね、やっぱり。
金色のメダルが欲しいなっつって、アスリートがしつこくなっちゃうのもしょうがないですよね。…しつこいっていっちゃいけないですけどね、アスリートのことをね(笑)。素晴らしいみなさんですけども。
ま、今年のワタシの上半期金メダルは…テレビの街頭インタビューで、「あなたの趣味は何ですか?」っていう…面白くもなんともないような企画ですよね、どんどんマイク向けてって「あなたの趣味は何ですか?」って訊いてくコーナーがあって。
で、それは別に、その中の珍回答を集めたとかじゃなくて、ある日普通にそういう特集をやって、園芸、ホバリングだとか、釣りだとか…おっしゃるわけですよね。
で、その中である妙齢の御婦人が、「演歌歌手の応援が趣味なんだ」と。で、「自分も歌うよ。」っつったんですよね。
で、「あー、そうですか。」っつって、「有名な人の公演とかも行ったりなさるんですか?」って、「行くよ。」っつって。
ほんで…「そしたら、追っかけなんかもやっちゃうんですか?」って、「まあ、もう〜…追っかけだねえ、ハハハ!」とか言ってる方がいらっしゃって。
「ひょっとしたら会った事あるんじゃないですか?」っつって。「あーあーあー、あるよ。会った事ある。ほら、森進一さんにあった事あるから。えーとね、写真もあるから見せようか?って。「え、よろしいんですか?」
「ほら、写真。」ってガラケー出してきて、ガラケーで撮った写真をポンポンポン…ってやって。
「森進一の写真あるよ、ほら、森進一の写真!」っつって。「え?ほんとですか、どれですか?どれ…」って、カメラがバッと寄ったら、ひな人形だっていう…(笑)。
そん時はもうビックリしましたけど。面白いっていうのを超えてね、何が起こったんだろうっていう。
しかもこの話オチがあって、「あー、間違った間違った。これ森進一じゃない。」っつって。
そりゃそうなんですけど。「はい、あった。これが森進一!」って出したら、またひな人形だったっていう…(笑)。
何の関係だったのか…番組何にも説明せず、そこでブツッて終わられたんで。テレビ側もね、打つ手が無かったんでしょうね。
…な、菊地成孔(笑)…TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
今週はクラブ系…ダンス系っつったほうがいいかな?…ダンス系のヒットチャートアクションした名曲をジャズカバー…の特集でございます。お楽しみいただけておりますでしょうか。
(中略)
(「菊地さんは(三十代の頃に)どうして高円寺に居を構えようと思ったのですか?」という質問のメールを読んで。)
えーと、あんま面白くないです、答えは。ですから番組でわざわざお答えするのは、ちょっと申し訳ないぐらいなんですけど。
亡くなったクソ親父がですね(笑)…素人方位学に凝ってまして。
「ほういがく」ってのは、死んだ人の死因を調べたり犯人を同定する、あの「法医学」ではなくてですね、方位の学問ですね。「こっちの方位に行くといいよ。」っていう。
あの方位学にものすごい凝ってて、そいで…親父が「こっちに引っ越せ。」って、なんかワタシにとっていい方角ってのがある…らしいんですよね。
それを綿密に決めてきて、地図上何十度とか言って、東京の地図に…「この中から選べ。」っつって、ちゃんと自分でシャドーをかけて。…つってもね、もう…大正九年生まれですから(笑)、シャドーかけんのも色鉛筆なんですけど。
「その色鉛筆で黒くなってるところに引っ越すと良い事あるんだ。」って言われて。で、その親父の言ったところに引っ越せば、自分が例えば…なんでしょうね、「代々木八幡に越してえ。」とか「池尻大橋、オシャレだから越してえ。」とか言っても、ゾーンに入ってないとシカトなんですけど、ゾーンの中に入ると、「俺の言う事聞いた。」っつーんで、ちょっと引っ越し代出してくれたりしたんですよね。
で、まあ…特に住みたい街も当時無かったんで。歌舞伎町見つけるまでは。
何処でもいいやって思ってたんで、親父の言う通りにして金浮かせてたんですよ。
で、高円寺が便利かな…っていう(笑)。新宿にすぐ出れるし…っていう。それで高円寺に越しただけなんですけど。

Sector b

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