「ペペ10周年記念公演。」



品川インターシティホール…初めて行く会場。そもそも品川駅で降りることがほとんど無かったのだが、通路で駅に直結していて場所はわかりやすかった。
大きなコンベンションセンターのような施設の一角にあるホールは、コンサートホールではなく多目的ホールで、入場してみるとパイプ椅子が並べられていた。
これだと後方の列もフラットなので見えにくいし、ゆったり座って観れると思っていたので、ちょっとガッカリ。まあ…でも音さえ良ければいいか。天井も高くて響きは良さそうだし。

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの結成10周年を記念した2夜連続の特別公演「歴史は夜作られる」。
同タイトルの2枚組DVDも発売され、節目のこの年に今までの活動を集約しておこうという大事なコンセールになることは予想された。
第一夜がメンバーだけでインスト曲のみ演奏する日、第二夜がゲストを迎えて歌モノのみとなる日ということで、両方とも観てこそペペ・トルメント・アスカラールの魅力を余すところなく味わえるのだが、両方行くには金銭的に厳しいので、ギリギリまでどっちに行くか迷った。
最終的に当日引換券発売日に、第二夜を観に行くことを決めたのは、アルバム「戦前と戦後」のレコ初の公演に行きそびれてしまっていたからだ。演奏のみのベスト選曲のコンセールは、すみだトリフォニーホールでの公演を観ていたというのもあったので。
初日のチケットは完売だったそうだが、二日目も当日券が伸びて、結果的にほぼ客席は埋まり、年齢層が高めかと思われたが、若いお客さんの姿も多く見かけられ、みなそれぞれにドレスアップして来られているようだった。
「退行」「Woman」「ミケランジェロ/カラヴァッジョ」と、「戦前と戦後」の曲順通りに演奏され、「歌唱のみ」とあったが、サックスをソプラノもアルトもバリバリに吹く姿も観れて、かなり良かった。
やっぱり菊地先生はサックスを吹いている時が一番カッコいいと思ってるので。御本人もMCで「2日目のチケットが初日に比べて売れ行きが芳しくなかったのは、ワタシの歌が見限られたということでしょう。」と自虐的に仰っていたが、歌モノの評判が良くないということは決してないのだろうが、「キリング・タイム」や「嵐が丘」などのスリリングな曲がないと物足りなさを感じてしまうのも確か。
それもあってか、ゲストを迎える曲のあたりから、トークで客席をなごませ、リラックスしたムードで、本来のこのオルケスタとはまた違った一面を楽しんでもらおうとされているようだった。
実際に自分もすっかりリラックスして、集中して演奏に耳をすますというよりは、入れ替わるゲストの方との様々な組み合わせを楽しみ、いろんな出し物のある10周年を祝うイベントとして楽しむような気持ちになっていった。
ラストの「たゞひとゝき」では、会場に手拍子が起こり、ゲストを引き連れて楽団員の間を縫うようにステージ上を楽しそうに行進するという珍しい場面が観られて、とても多幸感に満ちていた。
サーヴィス精神過剰の菊地先生のトークに拍車がかかったため(笑)、2曲用意していたアンコールが会場の時間の都合で1曲になってしまったのは残念だったけど、「時さえ忘れて」でしっとりと締めてライブ終了。なんとも充実した2時間。

終演後のサイン会に並びたかったので、「嵐が丘」のスコアも買った。
サインをいただく時に「あれ?ぢゃぽんさんって本名なんだっけ?」と声を掛けていただいて、自分がdjaponだということを知っていらっしゃったのが意外だったけど嬉しかったです。(むしろ、生徒なんだから本名のほうを覚えててくれないといけないんじゃ…(笑)。)

歴史は夜作られる [DVD]

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