「インヒアレント・ヴァイス」



そういえば、ポール・トーマス・アンダーソン監督作「インヒアレント・ヴァイス」を観てはいたのだが、その感想を書いておくのをすっかり忘れていたのだが。
なぜ書かなかったかといえば、よくわからなかったから!
いや、映画は面白かった。間が長過ぎたりして途中ダレたところもあったけど、ホアキン・フェニックスの顔観てるだけで間が持つので、全然楽しめたのだったが。
結局…どこがどう面白かったんだっけ?と思い返すと、なんだか煙に巻かれたようで、つかみ所のない映画だったな〜…としか言いようがない。
そこで、町山智浩氏の「映画ムダ話」の音声ファイルを購入して、解説を聞いてみた。
「町山智浩の映画ムダ話14 コーエン兄弟の『ビッグ・リボウスキ』がわかると『インヒアレント・ヴァイス』もわかる!おかしな奴らが次々に出てくるけど話自体はさっぱいわからない!と言われるこの2本!」
と、まさに「インヒアレント・ヴァイス」観たけどよくわからなかった…という自分みたいな人のためにあるような解説。
しかも、コーエン兄弟の「ビッグ・リボウスキ」との関連性が?
ビッグ・リボウスキ」は確か公開当時に観に行った記憶がある。
たしかに、すごく面白かったという思いは残っているが、どういう話だったっけ?と思うとほとんど覚えていない。
巨大なハサミを持った全身タイツの男3人組がジョンソン(男性器)を切り取りに来るという妄想のシーンで笑い転げた覚えがあるけど。
そこで解説を聞いて、「ビッグ・リボウスキ」ももう一度DVDで観直してみた。
なるほど…確かにこの2つの作品は同じようなテーマを扱っていて、それも間に「ロング・グッドバイ」をはさむとより理解しやすいという解説には納得がいった。
主人公巻き込まれ型のストーリーの、謎そのものを解き明かすことはあまり重要でなく、ひとつひとつのシーンの面白さを楽しむ映画だということでいいのかな。
次から次へおかしな騒動に巻き込まれる主人公が、その時代にうまくフィットできない、どこまでいってもストレンジャー感というのが、現代に生きづらさを感じている観客の共感を呼ぶということなのだろうか。
うーん、まあ確かに。
ま、べつに教訓を得ようと思ってこれらの作品を観ているわけではないのだけど、よくわからないけど分厚い本を出している有名な作家、トマス・ピンチョンの原作を映画化!とか言われると、何か重要なものが隠されているのでは?と深読みしたくなったりもして。
わけのわからなさを楽しむという鑑賞態度は、意外と自分は苦手だったりする。こういうコメディから入って、混沌自体に慣れてくると、リンチとかも楽しめるようになるのかなあ。
LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)

LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)