「フレンチアルプスで起きたこと」




テアトルシネマグループカード会員は1000円で観れる火曜日の夜。
時間調べたらちょうど間に合いそうだったので、久しぶりに仕事帰りにヒューマントラストシネマ有楽町へ。
「アヴェンジャーズ」も「バケモノの子」も、今夏休みに突入してどこも鬼混みだし…と思って、「フレンチアルプスで起きたこと」という地味〜な作品を鑑賞。
この作品、町山さんの「たまむすび」での解説を聞いていなかったら、完全にスルーしていただろう一本。
監督も主演俳優もまったく知らない。
リューベン・オストルンド監督というのはスウェーデンの方で、この作品の高評価で一気に知名度が上がったそうな。
とにかく、町山さんの「あの『ゴーン・ガール』以上に、妻が旦那を精神的に追い詰める恐ろしい映画!」という煽りで、これは面白そうだ…と。
スキーリゾートで家族でバカンスを楽しんでいた時、レストランのテラスのテーブルに着席していたところに向かって雪崩が迫ってくる。雪煙で視界が真っ白になる中、夫であり父であるトマスは、つい咄嗟に自分ひとりだけで一目散に逃げてしまった。結局、大事にはならずに済んだのだが、子どもを守ってその場に身を伏せていた妻・エバのところに、のこのこ戻ってくるトマス。そこから気まずい雰囲気に。「いざとなったらこの人は私と子どもを置いて、自分だけ逃げる人なんだ…。」と失望した妻の信頼を、どうやって回復するのか?
というストーリー。
いやあ…なんか他人事じゃないすね、これ。
しかも、ここからトマスが信頼回復のために努力するのかと思ったら、都合の悪いことは無かったことにしようとする自己防衛本能からか、その時の記憶がうやむやになったまま、すっとぼけ、スマホに録画された証拠を突き付けられると、開き直ったり幼児退行して泣き出したりと、どんどん見苦しい姿を家族の前で晒してしまう…という。
なんとも身につまされる話だなあ。
いちおう、これコメディで、観客はところどころで爆笑していたのだが、自分はすっかりトマスに感情移入してしまい、精神的に追い詰めるエバに対して、「いや、もうそれ以上追い込まないで。もう勘弁してあげて〜。」と切実に願い、笑うに笑えなかった。
どーしてもダメ人間のほうに肩入れしちゃくなっちゃうんだよねえ。
「マッドマックス」のようなド派手な作品は、もちろん最高なんだが、たまにはこういう我が身を振り返るような映画も観ておかないとなあ…と思ったのでした。