「ノンストップ・ビートルズ!」

「粋な夜電波」第235回放送は、先週予告されたとおりの特集、「ノンストップ・ビートルズ」。
聞き飽きるほど、何度となく聞いてきたはずのビートルズの楽曲を、菊地先生の超訳詞の朗読の後に、最新リマスター音源で聞き直し、まさにビートルズをフレッシュに再獲得できた音楽体験となりました。
番組冒頭で菊地先生のオールタイムベスト曲が発表されたところを文字起こししてみました。

いかした彼女がいたから、「ねえ、君。何になりたいんだ?」って尋ねたらさ。
「ベイビー…わかんないの? アタシはスターになりたいの。映画女優とかね。
だけど、あんたにも…もう出来る事があるわよ。
ベイビー…アタシの運転手にしてあげる。そう、アタシはスターになるからね。
そしたら、あんたを運転手に雇ってあげる。
ついでに、愛してあげたって…いいし。」


「いいぜ〜。なかなか見通しが明るくなってきたね〜。」
「そんなの当たり前よ。あくせく働くのだって悪かないけどね。
一緒にもっといい暮らしをしてみない?…ベイビー。
アタシの運転手にしてあげるから。だって、アタシはスターになるんだから。」


「ベイビー、運転手にしてあげる。メイビー…愛してあげてもいいわ。ブンブーン、ブンブーン!…てね。」


「そんなもん、もうすぐにでも始めようぜ。」
「あ、ちょっと待って。これ…言っとかないと。
情けないんだけど、まだアタシ…肝心のクルマを持ってないのよ。
でも、まず運転手は確保したもんね。
ベイビー、アタシの運転手にしてあげる。だって、アタシはスターになるんだから。」


「ベイビー、運転手にしてあげる。メイビー…愛してあげてもいいわ。ブンブーン、ブンブーン!…てね。」


(曲)

はい、というわけで…音楽産業という帝国が傾くと必ず現れるという、現人神であり来訪神であるザ・ビートルズですが、先日発売された例の3枚組バイカラーBOX…非公式の発表によりますと、発売初日の日本国内の売り上げは7万セット。この数字を巡る評価だけでも、レコード会社の人間はバーでスコッチの3〜4杯はいけるでしょう。
しかしながら、当番組の評価は以下のようなものであります。
「直撃世代かつ金持ってるくせして、団塊のジジイ共が100人に一人も買わなかった!」
そして、今夜この番組を聞いてくれている、若い世代の皆様にひと言。
ビートルズ団塊オヤジの懐かしアイテムにしてはならない!…もはや連中はポテンツを失い、『Hey Jude』とか『Let It Be』とか『The Long And Winding Road』とかで沁みる事しか出来ないゾンビもどきにすぎない。The Beatlesの偉大なメロディ&ハーモニーを、たった今この瞬間、すべてフレッシュに奪回する事!
今夜は住宅環境の上限をはるかに上回る大音量でお楽しみください。
そして、隣人住人からクレームがきて、「うっせーんだよ、てめ!…何やってんだ!」と訊かれたら、こう答えてください。「『何やってんだ!』と?…俺はザ・ビートルズの音楽を聴いてるんだ!」と。
只今お聞きの本日3曲目「Drive My Car」。
神学上の難問にも等しいと言われる「ビートルズのオールタイムベスト」ですが、彷徨えるジャズミュージシャンであるワタクシ、オギャーと生まれた瞬間から、この曲がナンバー1の座から陥落したことは一度もありません。
ワタクシはUAとも、菊地凛子とも、大西順子とも、岩澤瞳とすら…アルバムを制作する時は、朝起きてこの曲でテメエのハートに着火し、大音量で鳴らしながらスタジオに通っているのであります。
「ベイビー、あんたをアタシの運転手にしてあげる。なんなら好きになってやってもいいのよ。ブンブーン、ブンブーン!…てね。」
というわけで、東京は港区赤坂旧お掘裏、力道山刺されたる街よりお送りしております「菊地成孔の粋な夜電波」。
本日は去る11月6日に世界同時発売された、1CD2DVDボックスセット「ザ・ビートルズ1」を受け、英国のロックバンドThe Beatlesの特集をお送りいたしております。
オンエアの曲の中には「ザ・ビートルズ1」に収録されていない曲も含まれる事、歌詞はすべて私、菊地成孔超訳である事を、番組の冒頭におことわりさせていただきます。
以下、MCは番組終了時まで流れません。「ノンストップ・ビートルズ」。立ち上がって踊りながらどうぞ。
「ベイビー、なんなら愛し合ったっていいんだぜ。ブンブーン、ブンブーン!…てね。」
CMです。

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