「ピグミー・エレクトリック・フロム・スカイ」

「粋な夜電波」第236回はフリースタイル。世界各国から選りすぐりの音楽を四種盛り。
アフリカ音楽愛好家の最後の聖地、ピグミー族の音楽の貴重なフィールドレコーディング音源を紹介された部分を文字起こししてみました。

エコーズ・オブ・ザ・フォレスト

エコーズ・オブ・ザ・フォレスト

え〜…次いきましょう。
アフリカの音楽の愛好家ならば、もうこれは古典でありマストアイテムなんですけど。
95年にCDが出まして。…ね、もうアフリカのフィールドレコーディング命の人にとっては、「ファミコン30周年」とかね、「ヴィクトリアシークレット20周年」とかね…今年はもう「周年」ですからね。「中森明菜さん、生誕50周年」ですから、今年は。もう、そんな事は全然眼中に無いっていう…「俺にはこれなんだ!」っていう、「エコーズ・オブ・フォレスト」のCD化20周年だ…っていうのが、ま…アフリカ音楽の本物の愛好家の台詞でしょうね。
これはヴァイナル…レコードは5・6・70年代に録音された物を70年代にリリースしたんですけれども。
これね、中央アフリカ一帯におります「ビグミー族」の音楽なんですよね。
ピグミー族ってのは、身長が…アフリカの人ってみんなおしなべて大体どの地域の人も大きいじゃないですか…その中でも珍しい小柄な人たちですよね。で、そういうこともあり、森の中に住んでいるの。で、当然アフリカですから、歌も踊りも非常に豊かなんですけど。
ピグミーはとにかく…アフリカ音楽にハマった人の最後の聖地って言われているのね。
プロレスにハマった人の最後の聖地は、メキシコまで行ってアレナ・メヒコでプロレスを観た後にエル・サント主演の映画のDVDをいっぱい買ってきて、それを観ることだ…と言われてますけど(笑)、それに近いですね。地の果て…っていう感じの所があるんですよね。
えーとね、ピグミー族は今言ったような事情からなんでしょうかね、森の中を移動しながら歌い奏でられるわけ。止まってらんないの。…らんないっていうか、止まっては演奏…ま、止まって演奏することもあるんだけど、多くは移動しながら…しかも森の中ですよ。傾斜もあるし河もあるわけ。
普通出来ないですよね。普通の密林の中を、4〜50人で移動しながら、歌い奏でるんで、好事家はみんな5.1chのサラウンドで再生したいと。で、今疑似5.1がありますから、この盤も疑似5.1にしてサラウンドにしてしまえっていう人もいるんですけど、ま…それはともかく、要するに…この当時はまだ1本マイクですから。だから…イギリス人のその録音する人が、ピグミー族の人たちを追っかけるようにして、1本マイクで付いて行ってるだけなのね。
だから練り歩きなんですけど。まあ…この…非常に豊かです。こう…音にくるまれるっていう…感じというかね。人々に包まれる。自然と音に包まれる。
好事家の間では有名なんですけど、オチを言っちゃうとね…あれなんですけど。まあ…ラジオだから、逆に驚いちゃう人もいるかもしれないんで。
この日、録音に出掛けるんですよね。で…音楽はですね、「Men's Elephant-Hunting Song」と、ま…作った人がイギリス人なんで英語になってんだけど、「Men's Elephant-Hunting Song」…つまり「男唄」。だいたい民族音楽には男唄・女唄ありますから。で、男唄の「象狩りの歌」なんですよね。象を狩る…なんですけど、象を狩りに行くにしては…天気がちょっと…ね?…っていう音楽なんですね(笑)。聞いてみましょう。
(曲)

※参考音源
あのね…まだちょっとあるんで、口つっこみますけどね、すみませんね。
あの…これは、もっかい言いますけど、密林の中を…あ、今ちょっとゴロゴロ…とかいってますよね(笑)。河を越え、ブッシュをわけて、蔦に絡まったりしながら演ってるんですよ、これ。その絵を想像しながら聞いてみててください。そいで、エンディングは衝撃のエンディングが待ってますので。じゃあ、引き続き後半をどうぞ。
(曲)

※参考音源

はい、というわけで…彼等の演奏を止めさせたのは、象との遭遇ではなく落雷だったというね。ピグミー・エレクトリック・フロム・スカイですよ。
CMです。

※今回放送のWBOトピック「いま新宿でヤバい場所 珈琲貴族エジンバラを語る」の書き起こしはmiyearnZZ Laboさんのページでお読みいただけるようです。