「『SPANK HAPPY フォロワー』正式認定。」

「粋な夜電波」第265回放送は、「アーバンギャルド」のヴォーカル、浜崎容子さんをゲストに迎え、「元スパンクハッピー菊地成孔と、現アーバンギャルドの浜崎容子の粋な夜電波」と題した特集回。
第2期「SPANK HAPPY」に多大な影響を受けたと公言する浜崎さんの音楽を、菊地先生が知ったいきさつについて語られた部分を文字起こししてみました。

菊地 はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。本日は…何て言うんですかね、「春の特番」ていうか「初夏の特番」という感じでですね、ジャズミュージシャン、そして…一日中見つめていたい人…「今あなたは一日中見つめていたい人は誰ですか?」という質問に対しての回答が、「あばれる君」菊地成孔と(笑)…
浜崎 菊地成孔の浜崎容子♡」
菊地 おっ!…そのキクチナルヨシは、ワタシの聞き違えでなければ、私の事ですかね。
浜崎 そうです(笑)。
菊地 浜崎さん、キャバクラ嬢みたいな答え、やめてください。
浜崎 (笑)。
菊地 そんな要らぬサーヴィスは…まだお会いするの3回目…ですので。…の、お二人で「現アーバンギャルドの浜崎容子と、元スパンクハッピー菊地成孔の粋な夜電波」と題してお送りいたします、と。
浜崎 よろしくお願いしまーす。
菊地 よろしくお願いします。えーと…「元スパンクハッピーは流石にね、この番組…全国の地方のお年寄りとかも聞いてますんで、「何の事かのう〜。」って言われたらそれっきりなんですけど(笑)。
浜崎 (笑)。
菊地 ま、ワタシは幾つかのバンドを現在もやっておりまして、dCprGとかですね…やってるんですけど。
浜崎 はい。
菊地 やってる事が…ね、そんなに自分ではそうは思えないんですけど、やってる事が複雑過ぎるんだかなんだか、いわゆる…影響を受けた、チルドレンみたいな…
浜崎 ああー。
菊地 はい。音楽的な影響関係を表明してくださる、あるいは表明しなくても聴けば分かる…というような感じの…
浜崎 うんうん。
菊地 フォロワーって言うんですかね。
浜崎 そうですね。
菊地 今「フォロワー」って言うと何か特別な用語になっちゃってますけど。
浜崎 (笑)。
菊地 音楽的なフォロワーというかね。
浜崎 はい。
菊地 …が、全然いない、孤独なタイプだったんですけど。
浜崎 えっ。そうなんですか。
菊地 はい。そうなんですよ。…なんですが、その昔、「SPANK HAPPY」ってバンドをやってまして、1st「SPANK HAPPY」と2nd「SPANK HAPPY」ってのがあるんですけど。全然音楽性違うんですが。
浜崎 うん。
菊地 その2nd「SPANK HAPPY」…てのは解散してしまって、もう無いんですけれども。「その『セカンド・スパンクハッピー』の影響をどうやら受けていると思しきバンドがありまっせ。」…っていうタレコミのようなものが入りまして。
浜崎 はっ。どちら様が?
菊地 ファンの方です。
浜崎 ああ〜。そうなんですね。
菊地 ワタシSNSとかやらないので、ファンメールで送られてまいりまして。
浜崎 はい。
菊地 「何てバンドですか?」…あ、それ相当前ですよ。
浜崎 うん。
菊地 あの…2年や3年じゃないですけど。何年ぐらい前かなあ…5〜6年前だと思うんですけど。
浜崎 あっ…だいぶ前ですねえ。
菊地 はい。…に送られてきて、で…「何てバンドですか?」って訊いたら「アーバンギャルド」って言われて。
浜崎 おおーっ!
菊地 「へえ〜。『アーバンギャルド』って『アヴァンギャルド』の事かなあ?」っていうぐらい、何にも知らなかったんですね。
浜崎 (笑)。
菊地 その頃は全然。天馬さんのことももちろん…
浜崎 当然です、それは。
菊地 それで…まあ、確かに2nd「SPANK HAPPY」なら、可愛い女性がいて、歌の上手な…で、気持ち悪い男が…笑)。
浜崎 (笑)…そんなことないですよ。
菊地 気持ち悪い男が一人いればですね…。
浜崎 (笑)。
菊地 あの頃は「気持ち悪くいこう。」と思ってたんですよ、ほんとに。
浜崎 (笑)。
菊地 もう…カッコいい全盛の時代だったの。90年…渋谷系ってのは。
浜崎 うん。
菊地 …の時代だったんで、なんか…「気持ち悪ぃ〜、コイツ!」みたいな感じで(笑)。
浜崎 (笑)。
菊地 で、すんげえ可愛い女の子…ま、2nd「SPANK HAPPY」ってのは岩澤瞳さんっていう、もう引退されてしまいましたが…方と、ものすごい気持ち悪ぃ奴…ま、それはワタシなんですが、二人でデュエットチームでやってるっていう。それだったら今ね、フォロワーみたいな人が出てきてもおかしくないのかな?と思って聞いてみたら…
浜崎 はい。
菊地 確かにまあ(笑)…ワタシの言う事では無いんですけど、直接…天馬さんにももうお会いしましたし。あ、天馬さんってのは「アーバンギャルド」のリーダー…
浜崎 「気持ち悪いほう」ですね(笑)
菊地 気持ち悪い男のほう(笑)。でもよく見たら天馬さんって、すごいハンサムですよね。
浜崎 そう…ですか…ね?
菊地 そんな感じですか。
浜崎 あの…顔が濃いとは思うんですけど。
菊地 ああ、そうですか。ま、ウチらは…これもすごい古い言葉…古語っていうか死語ですけど、「カルト」のバンドとして…。
浜崎 カルト的な…っていうことですよね。
菊地 はい。もう地下バンドとして、闇から闇へだったんですけど。
浜崎 (笑)。
菊地 アーバンギャルド」は、もう時代的にも…ウチらは…2nd「SPANK HAPPY」は、まだ健康的であらんとした時代に、やや病理的であるという事と、あと恋愛の時代に性愛を…しかも倒錯的な性愛ですよね。その…インセストとか…あんまりラジオで言っちゃいけないのかな。
浜崎 うんうん。どうなんでしょう。
菊地 まあ…インセストなら大丈夫でしょう、きっと。…とか、ですね。
浜崎 はい。ググってください。
菊地 あとファザコン…などを扱っていたので、まあ…相当異物感があったわけですけど。
浜崎 うん。
菊地 もう時代は、そうでもないですもんね。
浜崎 なんか…「病み」とか、普通の子たちが「病むわ〜。」「死にたい。」とか言っちゃいますね。
菊地 そうそうそう。
浜崎 ね。
菊地 まあ…神経症の平均値が上がってきたってことですよね。
浜崎 (笑)。
菊地 上がる…原理的にそうなってるんですけど。そんな時代ですので…つまり何が言いたいのかっていうと…
浜崎 はい。
菊地 スパンクハッピー」や「アーバンギャルド」というバンド名を初めて聞いた方、たくさんいらっしゃると思いますが。
浜崎 そう思います。
菊地 「説明はしません!」っていう…(笑)。
浜崎 (笑)。
菊地 浜崎さんは、今も活動中であられますところの、「アーバンギャルド」のほうの、ヴォーカルの方なんですが。
浜崎 はい。
菊地 6年ぶりにソロ・アルバムを出したということですね。
浜崎 そうなんです。6年ぶりです。
菊地 だから…ワタシがタレコまれた時あたりに、ファーストのソロ・アルバムが出てたってことですね。
浜崎 そうですね。タレコミの頃です、多分。
菊地 ですよね。
浜崎 うん。
菊地 で…6年ぶりに出た、と。ワタシはその間に…まあ、言っちゃあね…本人に確認したわけじゃないんですけど、「これはフォロワーと言って差し支えないのではないかな。ありがたいことだ。」と思いながら…
浜崎 それはでも…本当に嬉しいです。
菊地 あ、そうですか。
浜崎 もう…認定されたかったんですよ。
菊地 (笑)。
浜崎 公認?…公認されたかったんで(笑)。
菊地 公認…ですか?
浜崎 はい。
菊地 公認ってのは、ワタシが認めればいいんですか?
浜崎 そうですね。もう「フォロワーだよ!」っていうふうに、御本人…菊地さんに…
菊地 ああ、はいはい。
浜崎 仰ってもらえたら、幸せだなぁ〜と思ってます。
菊地 公認します!
浜崎 わっ!
菊地 (笑)…公認します。
浜崎 もう…どうしましょう、これ。保存版です。永久保存版です。
菊地 そんな…大した話じゃないと思いますけどね(笑)。ワタシが公認したところで。
浜崎 (笑)。
菊地 まあ、ここら辺はね…音楽のことですからね、ほんとに微妙な…
浜崎 はい。
菊地 「俺のフォロワーがさぁ〜…」みたいなのは、一番ワタシ苦手なんで。上からってのが。
浜崎 (笑)。
菊地 …なんですが、とても素晴らしいバンドで。
浜崎 ありがとうございます。
菊地 今日はお互い…ワタシが「アーバンギャルド」で一番好きな曲、浜崎さんが「スパンクハッピー」で一番好きな曲ってのを、今ブラインドで…。
浜崎 そうなんです。まだ私聞かされてなくて。
菊地 ワタシも聞かされてないです。
浜崎 そうですよね。
菊地 なんですが、とりあえず四の五の言わずに、ワタシが作詞のオファーを受けて、このアルバム…「Blue Forest」というアルバムです。6月15日に発売となっております。
浜崎 そうなんです。みなさん買ってください。
菊地 はい、買ってください。CDが売れない時代だって言われてますけどね。
浜崎 そうなんです。じゃiTunesでもいいです。
菊地 iTunes…あのね、アメリカなんかじゃ誰もCD買わねえよ。みんなiTunesだからさぁ。」って音産の人…音楽産業の人は言うんですよ。音産の人は。
浜崎 うん。
菊地 だから「日本でCDが売れなくてもいいんだ。」みたいなね。ある種の理屈なんだけど。
浜崎 うーん。
菊地 日本は配信もあんまり売れてないんですよ。結局、何にも売れてないんです、日本は(笑)。
浜崎 (笑)。じゃあ、何を売ればいいんでしょうか。
菊地 何を売ればいいんでしょう。ライブ…じゃないですか。
浜崎 ああ〜。
菊地 音楽ソフト…デジタル情報としての音楽は無料(タダ)で聞けるもんだと、これからどんどんどんどん若い子は思っていくと思うんで。
浜崎 あ、そうだと思います。最近の子たちも「大好きです。YouTubeで聞いてます。」って言う子がすごく多いです。
菊地 多いですよね。
浜崎 驚きます。
菊地 驚きますよね。いやぁ…お若い浜崎さんが驚いてるわけですから。
浜崎 いえいえ。
菊地 え〜…レディーに年齢を訊くのは本当のタブーですけど。公認してる側として訊かせていただきたいんですけど、お幾つですか?
浜崎 それは言えないんです。
菊地 (笑)。浜崎さん、歳バレNGなんだ。
浜崎 NGです(笑)。
菊地 なるほど、わかりました。じゃ、もう1個訊いていいですか。
浜崎 はい。
菊地 浜崎さんって、ちょっとヤンキーだったりしませんか?
浜崎 何でですか?
菊地 なんとなくワタシの勘なんですけど。
浜崎 全然でしたよ〜。引きこもりでしたよ(笑)。
菊地 引きこもりでした?
浜崎 はい。どの辺にヤンキー臭がしましたか。
菊地 えとね…顔(笑)。
浜崎 顔!
菊地 すいません(笑)。
浜崎 あ、でも…Sっぽい顔だとは言われるんですけど。
菊地 いや、「Sっぽいルックスだね。」って言われてるほとんどの人がMですよね。
浜崎 もうドMです。
菊地 ですよね。もう見るだに「この人…挙動不審だし、Mだな。」っていう(笑)。
浜崎 (笑)。ヤンキーじゃないですけど、ちょっとギャルっぽいお友達は多かったですね。
菊地 はいはい。
浜崎 兵庫県出身なので。やっぱり地方ということもあり、ギャルっぽい女の子が多かったです。女子校だったし。
菊地 はい。あの…兵庫県とかギャルとか…ヒント出してると、年齢がだんだん推定されてしまいますよ。
浜崎 いいです(笑)。
菊地 いいんですか、本当は38だって事が分かってしまっても(笑)。
浜崎 そんなにいってないです(笑)。
菊地 すいません。今…高目にヒド目に言ったほうが、Mなのでお喜びになるかな?と思って、言ってみたんですよね。
浜崎 心がゾクッとしました(笑)。
菊地 ああ、そうですか。分かりました。やっぱり…全然違いますよ。実際はね、今目の前にいるので、よく分かりますけど。肌の色艶とか見るだに、23ですからね。
浜崎 (笑)。
菊地 (笑)。
浜崎 あ、でもヤンキーっぽいって言われたの初めてです。
菊地 あ、ほんとですか。
浜崎 どの辺がだろう。
菊地 あの…それに関する深い掘り下げは、収録が終わってからゆっくり…。
浜崎 わかりました。
菊地 というわけで、1曲。ワタシが作詞させていただいております曲が、届きました。
浜崎 はい。
菊地 届きまして。届いてすぐ…の感想は…
浜崎 はい。
菊地 あれ?…これ俺の曲なんだけどな。
浜崎 (笑)。
菊地 (笑)。
浜崎 あのデモですか。
菊地 そうデモを聞いて。イントロからこう…段々聞いてって、あれ?って思って。
浜崎 (笑)。
菊地 あれ?…「スパンクハッピー」のアウトテイクスかしら?って一瞬思って、よく聞いたら「ああ…オリジナルだわ。」と思って。
浜崎 (笑)。
菊地 それでは…だいぶ話が長くなりましたが、ワタシが最初自分の曲だと思った(笑)…2nd「SPANK HAPPY」のファンの方が聞いたら、同じように思うと思いますけどね。
浜崎 (笑)。
菊地 「ANGEL SUFFOCATION」という曲です。聞いてください。

ブルー・フォレスト CD

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Computer House of Mode

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