「サラ太郎は寿司太郎。」

「粋な夜電波」第289回は、マンスリー・ガールフレンドに〈ものんくる〉の吉田沙良さんを迎えての放送。
スタッフやアナウンサーも巻き込んで、どんどん劇団化していく傑作コントでの名演技など、聞きどころ満載。
目指すはミュージカル女優か?という沙良さんの学生時代の話が聞けたトークの一部を文字起こししてみました。

Sao Paulo Rio

Sao Paulo Rio

菊地 はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。「得意科目は数学…ただし、幼稚園に上がるまで。」の菊地成孔です。
沙良 「中学までは数学派。」の吉田沙良です。
菊地 高校からは変わってしまったんですか?
沙良 高校からは…音楽高校に行ったので。
菊地 俗に言う「音高」ですね。
沙良 そうですね。全然、普通の勉強しなかったです。
菊地 あの…何て言うんですかね、普通高校ですら半分以下しか出席せず、下駄を履かせて卒業した身としてはですね(笑)…
沙良 (笑)。
菊地 音高ってのは、音楽の授業だけじゃないんですか?
沙良 だけじゃないです。
菊地 数学もある?
沙良 ちゃんと、数学とか…
菊地 体育ありました?
沙良 体育ありました。カポエラやってました。
菊地 (笑)
沙良 カポエラ楽しかったんです。ずっとカポエラを…
菊地 カ、カポエラやってたんだ!(笑)。
沙良 はい。
菊地 なるほど。ちゃんと今、1曲目のブラジルの曲から引いてますよね。
沙良 そうそうそう。
菊地 なるほどね。それはカポエラ部とかじゃなくて、授業でカポエラ…やったの?
沙良 そうなんです。半年に一回、自分の好きなものを、体育の中でも選べるんですよね。水泳やりたいとか、サッカーやりたいとか、バスケがいい…とか。
菊地 はいはい。なるほど。
沙良 で、部活みたいな気持ちで、みんなその体育の授業を…
菊地 水泳やバスケもあったわけですね。
沙良 あった…かな。私、もう…カポエラ一本だったので。周りが見えてなくて。
菊地 なるほど(笑)。カポエラって…両手着いて脚回すやつでしょ?
沙良 そうです。
菊地 ですよね。何でそんな…
沙良 けっこう…脚を振り回したり。でも、私…ずっと基本のポーズばっかりやってました。
菊地 あ、ほんとですか(笑)。
沙良 こう…横に足を動かして、横に揺れるだけ…みたいな。
菊地 ああ…なんか緩い踊りみたいな感じですよね。
沙良 そうです。はい。
菊地 おー、すげえ。思いっきり脚を振り回して、人を蹴りまくってたのかと思いました。
沙良 いやいや。
菊地 なるほど。じゃあ…体育はカポエラだった、と。
沙良 そうですね。
菊地 えーと…英語とかもあったでしょう。
沙良 ありました。
菊地 音高だったらイタリア語とかもあるんじゃないですか。
沙良 えーと、何語があったかなあ。うん、大学と一緒で…
菊地 なるほど、音大と。
沙良 自分で選べるんですよ。好きな科目を。
菊地 なるほど。はいはい。
沙良 で、あったかもしれないですけど…私は英語をやってました。
菊地 なるほど。数学は…まったく?
沙良 ありました。が…ほんとに記憶が無いですね。私もあんまり学校にちゃんと行ってなかったので(笑)。
菊地 (笑)。
沙良 わりと午後出勤の…
菊地 午後出勤のね。
沙良 …人だった。
菊地 実技で稼いでたわけでしょ。でも。
沙良 いや…そういうこと出来なくて、結構ギリギリで卒業しました(笑)。
菊地 なるほど。そうですね、じゃあ…お互いスカラーシップはあまり無いっていう感じで(笑)。
沙良 そうですね(笑)。
菊地 吉田さんって…そうですね、吉田さんって、そんなに学校で優等生だったっていうオーラじゃないもんね。
沙良 オーラじゃないですか(笑)。
菊地 うん、確かに。それはわかりますね。
沙良 同じ所に通えない。
菊地 うん、同じ所に通えないのね。
沙良 通い続けられない。
菊地 すっごいよくわかりますよ、気持ち(笑)。同じ所に通うの、すごい嫌ですよね。
沙良 嫌なんですよ。バイトもほんと続かなくて。
菊地 バイトも全然続かないです。僕ね、一番もったバイトがね…それでも「バイトやったんですか!?」って言われますけど。
沙良 (笑)。
菊地 「やってたの?…バイト!」って言われますけど。今、自分の庭になってる新宿ルミネでやってたんですよ。
沙良 ええっ!…え〜、ルミネで?…店員さんですか。
菊地 違います。えとね…開店前の掃除のバイトやってたんです。
沙良 へえ〜…すごーい。
菊地 これがね…十日ぐらいでクビになりましてね。
沙良 クビになったんですか?
菊地 うん、あまりに眠くてね、ベッド売り場のベッドで寝てたの。
沙良 あっ、すごーい。
菊地 そしたらね、所轄の一番偉い方に…モップで顔拭かれて(笑)。
沙良 (笑)。
菊地 「出てけ!」って言われて(笑)。
沙良 すごーい。
菊地 その代わり、スゴかったですよ。モテっぷりが。一番モテたかな、あん時が。
沙良 へえ〜。
菊地 おばちゃん達に。掃除の(笑)。
沙良 十日間で。
菊地 掃除のおばちゃん達が、もう…僕にだけ依怙贔屓でね。麦茶いっぱい注いでくれたりして(笑)。
沙良 (笑)。でも、モップで顔拭かれて。
菊地 拭かれてね、ダメでしたね。
沙良 クビになる。あー。
菊地 そうそうそう、のちにルミネさんからのオファーでね、対面の…あれルミネさんがやってるんですけど、「NEWoMan(ニュウマン)」っていう…
沙良 はいはい。
菊地 あれのテーマ曲を作るようになったんでね。出世したもんだな〜と思いましたけどね。
沙良 素晴らしい。
菊地 でも、「NEWoMan」のテーマ曲作ってる時よりも、バイトに行くのがツライ記憶の方が、はるかにリアルですね(笑)。
沙良 (笑)。
菊地 吉田さんて、何のバイトしてたんですか?
沙良 居酒屋で、普通にホールとか。
菊地 働いてたの?
沙良 あと、食べ放題のお店で…和食とか作ってました。お寿司とか握ってました!
菊地 (笑)。ごめんなさい…寿司握ってたの?
沙良 寿司握ってました。
菊地 こうやって?
沙良 はい。一人…オードブルじゃなくて、食べ放題な感じなんで、そこにみんな取りに来るんですよね。で、寿司コーナーがあって。一人3カンまで一回に注文できるんです。
菊地 あ、なるほど。
沙良 みんな列になってて、「次の人、どうぞ。」って言って、こう…「サーモン、イカ、玉子…」みたいな感じで。
菊地 なるほど。
沙良 握りながら次の人のも聞かなきゃいけなくて。
菊地 なるほど。
沙良 覚えられなくて。
菊地 (笑)。
沙良 すぐそこはナシになって、和食の方へ戻りましたけど。あれが一番楽しかったですね。
菊地 ああ、寿司が。
沙良 寿司が。
菊地 寿司って楽しいでしょ。
沙良 楽しい(笑)。
菊地 僕、実家がほら…片方鮨屋だから。
沙良 ああ、そうでした。
菊地 よくわかりますよ。
沙良 そっか。
菊地 寿司って楽しいですよね。握るだけならね。
沙良 うん。
菊地 なるほど。じゃあ、数学はあまりやってなかったってことですよね。
沙良 はい。
菊地 そんな…学校の…数学もワタシは…得意だったのも、幼稚園上がるまでですから(笑)。
沙良 逆に、幼稚園上がるまでに…何があったんですか?…数学に。
菊地 ものすごい得意でしたね、数学は。
沙良 へえ〜…なんか図形でこう…合わせてみたいなやつじゃなくて?
菊地 いや、そんなカッコいいやつじゃなくて。お客さんが「天ぷら定食とビール2本。」とか言うと、いくらいくらって分かるこどもでしたね。
沙良 へえ〜。
菊地 ええ。だから、トロい店員が計算してるのを見て、心の中で「いくらいくら…だよ!」っつってました。
沙良 すごい。
菊地 はい。もう水商売に…完全に体が水商売で働けるようになってるんですよ。いまだになってるんですけどね。
沙良 幼稚園あがるまでって、3歳とかですよね。
菊地 そうですよ。その頃から…歩けるようになった頃から、店の中うろうろしてたんで。
沙良 へえ〜、すごーい。
菊地 すごかったですねえ。ほんとに…何であんな子どもを…水商売のフロアで子どもを歩かせてね、危険だと思わなかったのか、クソ親父!…って思ってるんですけど(笑)。ま、それはともかくとして。
沙良 (笑)。

FOR ALL WE KNOW

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