「オン・ザ・ロックメン宣言。」

TBSラジオ菊地成孔の粋な夜電波」第315回放送は、久しぶりのフリースタイル。
ゆるい話題と小粋な音楽の通常営業。番組のトークの一部を文字起こししてみました。

Feel

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Freedom TV

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はい、どうも。「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの、そして…
「好きな夏の食材」はですね、全部やっぱ天ぷらで食いたいですね。串揚げでもいいですけれども。まあ、揚げて食いたいですね。
「好きな夏の食材」3位、茄子。2位、鰆。1位……っていうね。氷が(笑)…一番好きですよ、やっぱね。
「氷の天ぷら」…うん、「氷の天ぷら」最高でしょ。天つゆで、こう…カッとね(笑)。
日本人は、あの…「アイスクリームの天ぷら」なんつって、「ビックリ!」なんつってたのが昭和ですよね、あれね。40年代だと思いますけどね。
いつまで経っても「氷の天ぷら」出ないんでね。「いつ出るんだ、いつ出るんだ?」と待ち望んでおりますけれども。
氷…本当に好きですねえ。
氷、売ってるでしょ?…昔はほんとにね、氷屋がガシガシかき出して、売りに来たもんですけど。ワタシのホームの銚子のほうなんかだと。まあ、東京でもそうでしょうけども。
今はコンビニでね、氷売ってますよね。ビニールで…何だ、ジップロックみたいになってパチッとやる…あの氷があるじゃないですか。
あれ、まあ…なんか見ると買っちゃいますよね。
あの…「見ると買っちゃうシリーズ」ってあると思うんですよ。ティッシュとかね。ペンとかね。
見ると要らないけど買っちゃうっていう…で、なんか溜め込んじゃうっていう…フロスとかね。今、多いですよね。
キャラメル買い込んじゃう人とか。
ワタシ、それが氷で。氷を…すごい買っちゃうんですよ(笑)。
製氷室がいつも満タン!っていうね。製氷室の脇のほうに氷がちょっと…しかも半分使った氷の袋がいる…なんて事がありえないっていう…菊地成孔が、TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
氷はね…何でも氷で飲むの(笑)。
飲むって、水とかを。生(き)で飲まないわけ。
夏場は水なんかは、キンキンに冷えてても氷で飲みますね。
要するにオン・ザ・ロックメン」ですよ(笑)。菊地〈オン・ザ・ロックメン〉成孔ですよ。
オン・ザ・ロックですよね、全部ね。
だからもう…何ていうか、素麺もオン・ザ・ロックメンですから。韻踏んじゃってもう。何つーか、ざる蕎麦もオン・ザ・ロックだし。
まあまあ…「水のオン・ザ・ロック」ですよ。一番美味いのね。
やっぱりかき氷の…何て言うんですか…達人は、一番好きなのが「スイ」だって言いますけどね(笑)。
あれと同じで、「水のオン・ザ・ロック」が一番美味いですねえ。
あとは、何ですか…最近ハマってるのはね、コカ・コーラの…太んねえやつあるでしょ?…ゼロ・ファットの。0ファットのコカ・コーラに、0ファットの三ツ矢サイダーを混ぜるの。それオン・ザ・ロックでやると、めっちゃくちゃ美味いですよ。
みなさんも是非お試しください。
まあまあまあ…夏の飲み物は、意外と皆さん混ぜないんで。混ぜていきましょう。
結構な割合で…雑に作っても、カクテル美味しくなりますんで。
で、締めにいい氷入れときゃね。だいたい様になりますからね。
だいぶ時間作れますね、あれでね。
ワタシなんか家で音楽聴く時間が長いんで。どうしても音楽聴きながら、夏場…喉渇きますからね。
ガキの頃からね…「腹空かしの喉渇かし」でね。
「腹空かし」のほうはだいぶ治りましたけど、まあ…あんま食えなくなってきた(笑)…わけですね、やっぱ54にもなるとね。ガキの頃はめちゃくちゃ食ってたんですけどね。
「喉渇かし」は54になっても変わんないんで、もう喉乾いて乾いてしょうがないですね。
喉乾くと…あんまり喉渇きすぎて、病気じゃないかな?と思って、「喉かわく 病気」で検索すると、すごい怖いのがいっぱい書いてあるんですけど。でも、全然それなった事ないっすね。
54年間喉渇きっぱなしなんですね、やっぱね。
やっぱ、人間どっか渇いてないとダメっすよ(笑)。渇きが無いと…ダメだと思いますよ。
…バカみたいな事言ってんな、オレ(笑)。


(中略)


もう1曲いきましょうか。
SOIA(ソイア)さんって人です。S・O・I・Aですね。
SOIAさんはね、オーストリア…オーストラリアじゃないぞ…オーストリアなんですね。「H・I・O・P」ってアルバムが出ました。
ウィーンを拠点にしてるのね、この人。
ウィーンもね、ワタシね…ウィーンは思い出深いですね。ウィーン、5〜6回仕事で行きましたけどね。
え〜…「あんな事があった、こんな事があった。」ってことを、ラジオで一切話せない街ですね、ウィーンは。
はい、もうヤバい事しか起こんないです、ウィーンは(笑)。
ウィーン少年合唱団」なんかがいるんでね、ウィーンはいい所だと思ってる方が多いでしょうけど、「第三の男」の舞台になった街でもありますからね。
ウィーンは終戦直後から今日にかけてヤバい所ではありますよ。
闘犬やってたりするからね、地下で。これ、ギリギリ言える(笑)…話ですけどね。
昼間ね、ウィーンの地下街歩いてたら、「何でタワーレコードの前にこんなに血痕…『けっこん』ってマリッジじゃなくて血の痕ですけど…床に血痕が付いてるんだろう? おっかねえな。」と思って、夜同じ場所行ったら、闘犬やってて。賭けの闘犬やってましたね。ヤバい所でしたよ、もう。
ま、これが…ウィーンで話せるギリで、これ以上は全部放送NGって街ですけど。
そんなオーストリアのウィーンを拠点に活動しているSOIAさんですけども。
ビートメイカーのMezって人ね、エレクトロ・ソウルをやるんだけど。あのね…音楽用語で「スティッキー」って言うんですけど、粘り着くようなビートね。さくさくさくさく…さっぱりさくさく行くんじゃなくて、粘って粘って行くビートってのが、アメリカで最初にこう…当たり前ですけど、流行るんですね。アフロ・アメリカンの人たちが粘りを提出するんだけど。
比較的…アフロ・アメリカンの人って、自然体でやってるから、もう飽きちゃったらやんなくなっちゃうんだけど。
で、それを素晴らしいって思って継承するのは、やっぱヨーロッパの人が多いんですよ。
今、打ち込みの音楽なんかで、スティッキーなビートね…粘って…要するに「ドッ・ツッ・カッ・ツ、ドッ・ツッ・カッ・ツ…」って普通に行かないで、「ドツツッ・ド・カツッツ、ドツツッ・ド・カツッツ…」って、つんのめってるような粘ってるような感じのリズムってのを大切にしてんのは、もうL.A.、N.Y.、アトランタとかではないですよね。
また今さっぱりしだしてる中、じゃあ何処が粘ってるか?っていうと、大体ベルリンとかウィーンとか、ヤバい…夜が怖い街(笑)…に、だいたい集中してるんですよね。面白い現象です、あれ。
次に聞く曲も完全にそれもんですね。
アメリカでもう今こんなにスティッキーにやっちゃうと、ちょっと「ププッ。」って感じになっちゃうんですけど、まあ…ウィーン平均だと、これが今クール!って感じでしょうね。
アルバムは昨年、グレイトヴィンテージである2016年に発表されました。SOIAで「H・I・O・P」より「A Porcupine’s Agenda」。色の名前ですね。聞いてください。


H.I.O.P.

H.I.O.P.