「大人になった江藤愛さん。」

TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」第388回放送。
年末までのラストラン、女子アナを迎えての最後のコント。
懐かしの江藤愛さんとの、コント終わりのアフタートークを文字起こししてみました。


KISTUNE Maison 17 [国内仕様輸入盤CD] (TRCI-055)

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菊地 はい。というわけで(笑)…今回のコント「ねえ、愛ちゃん。」のお相手はTBSアナウンサー・江藤愛さんでした。江藤さん、お久しぶりですね。
江藤 お久しぶりです、菊地さ〜ん。
菊地 懐かしいですよね。
江藤 も〜う。…何年ぶりでしょうか。
菊地 何年ぶりなんだろう。何年ぶり?…5〜6年は、いってますよね。
江藤 はーい。もうずいぶん経って、20代だった私ももう30代で。
菊地 (笑)。いやいや、まだ全然お若いですよ。
江藤 いえいえいえ。
菊地 40代だった僕も50代で、今。
江藤 (笑)。見えない、見えない。
菊地 いやあ、お元気そうで何よりです。
江藤 はーい。
菊地 懐かしいですよね、とにかく。
江藤 いや〜懐かしいです。でも私、このスタジオ開けた瞬間に、「はぁ。菊地さんの香りだぁ〜。」って。
菊地 そうですか(笑)。
江藤 「菊地さんの空間に来た!」っていうのを、パッと思い出しました。
菊地 ああ…お恥ずかしい。そうですか。
江藤 はい。
菊地 いやあ、何と申しましょうか。僕が一番最初に…この番組始まって、なんでしょうね…そんな事やったことないんですけど…
江藤 はい。
菊地 女子アナさんて人たちがいるから、その人たちが使えるよって言われて…
江藤 うんうん。
菊地 なんかコントみたいなのを書いたら、その配役として女子アナさん来るよって言われて…
江藤 ええ、ええ。
菊地 何もわからず書いたら、最初にいらしたのが江藤さんだったんですよ。
江藤 あたし?…私、一番最初でした?
菊地 一番最初ですよ。
江藤 うわぁ…嘘〜。
菊地 ほんとほんと。
江藤 え〜…感動です。
菊地 ほんとですか。
江藤 いや…今回もね、あの…終わるって聞いて…
菊地 はいはいはい。
江藤 あと9回しかないのに、その一番最初に私を呼んでくださって。
菊地 ああ、ラストランのね…最初ですね。
江藤 なんて感動なんだ!って思ったんですよ。
菊地 ほんとですか(笑)…嬉しいです。
江藤 そうか…初コントが私だったんですね。
菊地 そうです、そうです。
江藤 きゃあ〜。
菊地 その後、いろんな…
江藤 いろんなね。
菊地 女優さんが現れたんですけど(笑)。
江藤 ええ、ええ。もちろんです。取って代わって…「もう私はお呼びじゃないな。」と思いながら。
菊地 いやいや、とんでもないですよ。だって、テレビ稼働が増えて…
江藤 (笑)。
菊地 途中から「江藤さん、テレビ稼働が増えたから、もう出れないよ。」って言われて(笑)。
江藤 そんなことないですよ〜。待ってましたよ〜。
菊地 ほんとほんと(笑)。
江藤 本当?…嘘〜。
菊地 みんなね、この番組でひとしきりコントやると…「テレビ稼働が増えたんで、出れない。」っておっしゃるんですよね。
江藤 あ、じゃ何?…菊地さんがヒットメイカーみたいな感じですか、やっぱり。
菊地 どーうなんですかね。いや、違うと思いますけども。
江藤 いやいやいや。あたしだって…
菊地 はい。
江藤 「私のTK」じゃないですか。
菊地 (笑)。
江藤 憶えてます?
菊地 覚えてますよ(笑)。
江藤 リスナーさん、これ…憶えてくれてるかなぁ。
菊地 えっとね…どうなんだろう。古くからのリスナーの方はね、もちろん憶えてますよね。
江藤 ねえ。私が歌ったんですよね。
菊地 だって、ライブで歌ったんですよ。
江藤 そう。赤坂サカスのステージで、何百人とお客さん来てくれた前で。
菊地 そう。
江藤 白いワンピース着て。
菊地 あん時、半端じゃなかったですよね。
江藤 そう。「ラブちゃーん!」って言ってくれて。
菊地 あれはね…何百人どころじゃなかった。1000人ぐらい…
江藤 ほんと?
菊地 いた気がしますけどね。
江藤 それも大げさじゃ…
菊地 それは大げさか。でも相当いましたよ。
江藤 ねえ。
菊地 うん。
江藤 そん時、あたし朋ちゃんになりきって…
菊地 (笑)。
江藤 「私のTKだ!」って言って。
菊地 そうですね。
江藤 もう…最高の思い出でした。あれ。
菊地 はい。いろいろね、あの…「江藤さんを呼んでほしい。」ってメールが本当に…
江藤 えっ?
菊地 これは御世辞じゃなくて、たくさん来てて。
江藤 ほんと?
菊地 はい。今日読み切れないから読まないですけど。
江藤 うわぁ〜、嬉しい〜。
菊地 「ぜひ、江藤さんに。」ってのは…特に番組の初中期ですよね、江藤さんが毎週のように出てくださった頃の…
江藤 はい、はい!
菊地 愛聴者の方が…あの…いっぱい、いろんなコントやりましたからね。
江藤 いっぱいやった。いっぱいやった。赤江さんとのコラボみたいなのもやったし。
菊地 やった、やった。
江藤 ねえ。
菊地 うん。あん時は江藤さんがシリアルキラーでね。
江藤 そうでしたっけ。
菊地 うん。殺し屋で。
江藤 ああ…ほんっと…いろんなキャラやりましたよね。
菊地 やりました。夫婦になったこともありますよ。
江藤 ありました。
菊地 子供のね…耳に障害があって…っていう。
江藤 ああ。もう…いろんなの考えますねえ。ほんと。
菊地 あん時は…そうですね。あの頃もう…江藤さんしかいないと思ってたから…
江藤 はい。
菊地 最初はね…江藤さん、どんな方か知らなかったし…
江藤 はい。
菊地 ほんとに。不勉強ながら。
江藤 いえいえ。
菊地 だんだんやってくうちに「江藤さん、こういう人だな。」ってわかってきたんで。
江藤 うんうんうん。
菊地 「江藤さんとこういう事やろう。江藤さんとこういう事やろう。」っつんで、どんどんどんどんアイディアが湧いて…書いてたんですよね。
江藤 ええ〜。あたしをちゃんと想像して書いてくれてたんですか。
菊地 もちろん、もちろん。
江藤 うわぁ。
菊地 そしたら…「テレビ稼働が忙しくなった。」って(笑)。
江藤 (笑)。
菊地 「江藤さん、もう出れません。」って言われて。
江藤 そんなつもり無いのに!
菊地 ええ。
江藤 菊地さん、収録遅いからでしょ。
菊地 そう…ですね。それね、皆さんおっしゃる…今、サブが「その通り、その通り!」っつって…
江藤 ねっ。その通りって。
菊地 遅いとダメなの?
江藤 あのね。やっぱり昨今、働き方改革というのがありまして。
菊地 あっ…それねえ。
江藤 やっぱりね、残業とかあんまり…
菊地 古谷有美さんにも同じ事言われました。
江藤 言われました?
菊地 言われました。うん。
江藤 そう。だから私とかも…古谷さんも早いし。
菊地 ええ。
江藤 私も朝がわりと早いので…
菊地 ですよね。
江藤 遅いとそんなに…だから昼の3時ぐらいからやってくれるといいんですよ。どうですか。
菊地 収録をですか。
江藤 はい。
菊地 というか、まあ…終わりますけどね(笑)。
江藤 (笑)。
菊地 どうですかも何も。
江藤 そうなんですよね。
菊地 はい。
江藤 いや〜…でも今回もこれ…
菊地 はい。
江藤 菊地さん、私のこと…すごく分かってるのかな?っていうような気がして。
菊地 あ、そうですか。
江藤 はい。コント…
菊地 いや、まあ…空想の類いですよ。江藤さんがお綺麗だから…
江藤 またまた。
菊地 一見、振ってばっかりいて…やっかまれたりするんだけど、意外と実はそういう人がフラれる…ね。多いですよね。
江藤 いや…よく言うじゃないですか。「フラれた事なんか無いんでしょ?」って。
菊地 とかね。うん。
江藤 あたしなんか、昔からフラれてばっかりだよ!って…
菊地 (笑)。
江藤 思って言っても、「いやいや〜。またまた〜。」って、絶対信じてくれないんですよ。
菊地 はいはいはい。
江藤 だから、これ見た瞬間に、ちょっと嬉しかった。
菊地 あ、ほんとですか(笑)。
江藤 そう。
菊地 まあ、最後の一発まで当たって良かったですね。
江藤 うん。ほんとに…え〜…終わっちゃうんですかぁ。寂しいな〜。
菊地 そうですね。終わりますね。
江藤 そうかあ〜。
菊地 いや、でも…こんなね、言葉で言うとなんか凄い事みたいですけど…
江藤 はい。
菊地 これで江藤さんと一緒にコントをやるのも、今のが最後ってことですからね。
江藤 えっ、最後?
菊地 最後ですね。
江藤 本当に最後?
菊地 本当に最後ですよ。
江藤 あと1回とか無いですか?
菊地 あと1回はね…もう埋まっちゃってるんですよ。
江藤 うわぁ…埋まっ…そうですよねえ。
菊地 埋まっちゃってるの。でも、でも…女子アナの方がいらっしゃるのは、江藤さんだけです。
江藤 えっ!…嘘?
菊地 はい。江藤さんがね…テレビ稼働で(笑)…しつこいようですけど…
江藤 また〜。
菊地 テレビ稼働でお忙しくなって、いなくなってから…番組もだいぶ変わったんですよ。
江藤 はい。
菊地 そいで…ヒップホップのコーナーとか、K-POP…韓流の特番が増えたりして。
江藤 うん。
菊地 そういう企画が戻ってくるんで。
江藤 ああ〜。
菊地 あとは…ここ最近、アフター江藤さんで…番組を彩ってくださった女子アナの皆さんもいらっしゃるんですけど…
江藤 もちろん、知ってますよ!…「いいなぁ〜。」って。「ああ…フラれたなぁ〜。」って思ってたんですから。
菊地 いや、フラれたってフったじゃないですか(笑)。
江藤 ああ。テレビ行っちゃったから。
菊地 そうそうそう(笑)。テレビのほうが彼氏としていいでしょう、やっぱり。
江藤 (笑)。
菊地 どう考えたって。いい彼氏でしょう。テレビのほうが。
江藤 いや…ラジオは寄り添ってくれますから。
菊地 (笑)。
江藤 四六時中いてくれますから。大好き!
菊地 江藤さん…大人になったねえ、なんか(笑)。
江藤 えーっ、本当?
菊地 ええ。ものすごい大人になってね、ルックスも言うことも…なんか全体のオーラが大人ですよ。
江藤 変わりましたかねえ。
菊地 変わりました、変わりました。
江藤 いい意味で?
菊地 もちろん、もちろん。
江藤 ああ、嬉しい〜。
菊地 あの…こんな事言うとリスナーが…ま、別に終わるんだから何言われようといいですけど…
江藤 うんうん。
菊地 お綺麗になって、すごく。大人になった…と思います。はい。
江藤 ありがとうございます。やっぱり…テレビっていう彼氏に鍛えられたからかなぁ。
菊地 でしょうね。
江藤 なんてな。
菊地 やっぱテレビっていう彼氏、厳しいでしょう。やっぱり(笑)。
江藤 厳しい(笑)。
菊地 アイツは厳しいですよね、ダメ出しとかがね。
江藤 そう。ラジオはね、甘やかしてくれるんですけどね。
菊地 甘やかしてくれるのね。そうそうそう(笑)。
江藤 そうなんですよ〜。
菊地 ラジオと一緒にいても、あんまり自分が磨かれないんですよね。
江藤 あら?…(笑)。
菊地 (笑)。
江藤 居心地はね、すごくいいのね。
菊地 居心地いいんですけどね。すごく。わかりますよ。
江藤 うーん。
菊地 テレビはキツイですよねえ。
江藤 まーね…その分やり甲斐もありますけどね。「頑張るぞ〜!」って。
菊地 僕、たまにテレビ出ると…なんか1日寝込みますからね。
江藤 はっ!…ドッと疲れますよね。
菊地 ドッと疲れる。テレビは。うん。
江藤 違うんですよねえ。
菊地 いやあ、ほんとに。で…なんで、このラストランの9回の中で、女子アナさんがいらっしゃってコントやるのは、江藤さんだけです。
江藤 はぁ〜…もうほんとに嬉しいです。
菊地 ほんとですか。
江藤 はい。
菊地 僕も嬉しいです。来ていただけて。
江藤 ど…どうでした、大丈夫でした?…コント。
菊地 全然全然…うん。もう、なんか懐かしいですよね。
江藤 ねえ。楽しかった。
菊地 楽しかった。楽しかったですよ、すごく。うん。これで味しめちゃったんですよね。
江藤 そう。そうなんですよ。
菊地 うん。江藤さんと毎週コントやってるので味しめて…
江藤 はい。
菊地 「どんどんいろんな人に来てくれ!」みたいになっちゃったんですよね、なんか(笑)。
江藤 (笑)…だって、交通情報の方とかもやってましたよね。
菊地 やってた。
江藤 ね?
菊地 うん。
江藤 やっぱ菊地さんのそのセンスって面白いなあって思って。
菊地 いやいやいや(笑)。
江藤 好きなんですよ〜。うん。
菊地 ありがとうございます(笑)。
江藤 うーん。
菊地 え〜…というわけでね、ほんとに…名残惜しいんですけどね。
江藤 名残惜しい。
菊地 まあまあ…これからテレビという彼氏に、さらに磨いていただいて(笑)。
江藤 ええ、ええ。追い掛け続けて。
菊地 追い掛け続けて。
江藤 何かあったら…戻って来ていいですか?
菊地 もちろんですね。それ…僕がTBSに言うセリフですけどね。
江藤 (笑)…待ってる、待ってる!
菊地 いやいや(笑)。まあ…ね、すでに10社から…「番組やらないか。」って話は来てますけども。
江藤 ええっ!?
菊地 ええ。
江藤 もう…他局?
菊地 他局から来てますねえ。ええ、すでに。
江藤 そうか、そうか〜。獲られちゃうんだなぁ。
菊地 いや、でも行きませんよ。
江藤 えっ?
菊地 はい。
江藤 行かないんですか?
菊地 行かないです。しばらくラジオやんないです。
江藤 あっ…そうなんですね。
菊地 はい。下手したら一生やんないですね。
江藤 ええっ?
菊地 もういいかな…って。
江藤 もういい?
菊地 ええ。もう、やりたい事…ラジオでもうみんなやったんで。
江藤 ああ〜。やっぱそう思えるって、カッコいい。
菊地 いやいや(笑)。
江藤 うん。
菊地 というわけで、なんかもう…ね、昔話してたら、こんなのって…もう。だって江藤さん、半端じゃないもんね、一緒にやった時期が。
江藤 そうなんです。
菊地 3〜4年やってましたよね。
江藤 そんなにやってました?
菊地 2〜3年か。
江藤 でもやっぱ…濃い…濃かった。すごく濃かったのを憶えてる。
菊地 濃かったですよね。
江藤 なかなかこういう経験ってないし。ほんとに。
菊地 うん。どこまで書いていいのかって、僕…全然わかんないから。
江藤 (笑)。
菊地 放送作家とかじゃないんで。
江藤 はいはい。
菊地 だから…どこまでやっていいんだろう?って、もう…やれるとこまで。「『江藤さん、泣く。』って書いたら泣いてくれるかな〜?」とかさ、いろいろ考えたんですよ。
江藤 ねえ。はい。
菊地 そしたら泣いてくださったりしたんで。「おお〜!」とか思って。まあ…悪い癖がついたとも言えますけどね。
江藤 はい(笑)。味をしめちゃって。楽しくなっちゃって。
菊地 はい。というわけで…大人になった江藤愛さんが(笑)…
江藤 ありがとうございました〜。
菊地 久しぶりに番組に来ていただいて。
江藤 もう楽しかったです。
菊地 はい。楽しかったです。ありがとうございました。
江藤 はい。じゃあ、あとラストラン…向けて!
菊地 はい。あの…ブラウン管のこっちから応援しておりますんで(笑)。
江藤 はっ!…もう今、ブラウン管無いですよ。
菊地 あ、ブラウン管無いんだ。あ、そっかそっか。そうだそうだ。
江藤 そうですよ。まだまさかブラウン管じゃないですよね、もうね。
菊地 うん。そうね…うちのは何だろう、あれ。液晶っての?
江藤 液晶でしょ。
菊地 うん。そうそうそう(笑)。液晶の向こうからね。
江藤 お願いします!
菊地 「あ、江藤さんだ〜。」とか思う時ありますんで、よく。
江藤 ずっと変わらないんで。
菊地 はい。頑張ってください。
江藤 はい。ありがとうございました。
菊地 ありがとうございました。
江藤 ほんとに光栄でした。
菊地 いや、とんでもないです。こちらこそ。ありがとうございました。
江藤 またいつか!
菊地 はい。江藤愛さんでした。
江藤 ありがとうございました。

プライベート・アイズ~トリビュート・トゥ・ホール&オーツ

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