「具象の時代」@すみだトリフォニーホール

嵐が丘

嵐が丘

月末の週末、最も忙しい時に「用事があるんで…」と早めに仕事を切り上げさせてもらって、急いで向かった先はすみだトリフォニーホール
自宅にわりと近いので、場所はわかっていたけれど、中に入るのは初めて。
普段はクラシックの演奏が主に行なわれているということだが、菊地先生の活動を追いかけていると、今まで行ったことがないような場所での演奏を聴くことができる機会が増えたというのも、楽しみのひとつでもある。
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール公演「具象の時代」。
先日の東京グローブ座公演で初めてペペを生で聴いて、あまりに素晴らしかったので、それからあまり間を空けずに決まった次のこの公演も楽しみにしていた。
今回はゲストにSIMI LABのOMSB'Eatsが参加するというのが目玉のひとつだが…DCPRGならともかく、ペペでSIMI LABのラップとは…どういう音楽になるのか全く予想もつかず。
クラシックのコンサートホールのステージにラッパーを呼ぶというのも、チャレンジングで菊地先生らしい。
音が良いことで有名らしいトリフォニーホールは、天井も高く座席の間隔も広くてかなり見やすい造り。1階席の中央あたりだったが、ステージがよく見えた。グローブ座の時は前の方の列だったけど、右端の方だったので、ベースとハープとコンガの方がほとんど見えなかった。
今回中央でステージ全体を観ながら演奏を聴いて、あらためて、こんなにめずらしい編成なのに、すごく調和がとれていて聴きやすいと思った。
弦楽四重奏にラテンパーカッションやバンドネオン、ハープまで入っているのだから、特徴のある音があらゆるところから耳に飛び込んできて、かなり刺激的なのだけど、それでも奇を衒っただけの編成ではないのだと、年月をかけてアンサンブルがより深く円熟味を増していったのかもしれないけれど。とにかく美しい曲はうっとりするほどムーディーで、スリリングな曲は全身の毛穴がざわつくほど刺激的だった。
今回はよく見えたベースの方が、難しそうな演奏なのに余裕綽々で、ニコニコ楽しそうに弾いているのも印象的だった。
途中のOMSB'Eats参加曲も、今までに聴いたことがないような斬新な音楽で、次のアルバムがますます楽しみになった。
それ以外の曲順や構成はグローブ座の時とほぼ同じだったけど、まったく退屈することがなかった。むしろ気持ちの準備が出来ているおかげで、キター!という感じで、かなり能動的に楽しめた。
やっぱりなんといっても嵐が丘」から「Killing Time」の流れは圧巻で、ホールでのコンサートであることを忘れるくらいの興奮をもたらす。
特にパーカッションのソロを挿んで加速していく曲の終わりにはシビレた〜。大儀見さん、カッコ良過ぎ!
さらにクライマックスの「ルペ・ベレスの葬儀」。菊地先生のテナー・サックスの唸りには胸が熱くなった。
アンコールでは爆笑もののMCで会場を和ませ、甘くスタンダードナンバーを歌い上げて、女性客をうっとりさせて去って行く。…クール過ぎますなあ。
またぜひ、行ける機会があれば何度でも観たいペペ・トルメント・アスカラール。…とはいえ、今度の週末にはもう日比谷野音DCPRGが予定されているのだった。すでに次が楽しみで仕方がない。

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