【BOOK】反社会学講座/パオロ・マッツァリーノ

反社会学講座

反社会学講座

友人に借りて読み始めているんですが、いやあ面白いです。「世間でいう『こじつけ』を、社会学では『社会学的想像力』という」とスパッと言い切る本書は、意図的に資料を誤読し、統計結果の都合の良い部分だけを利用して、個人の偏見を社会問題に仕立て上げることの害悪を説いています。
「凶悪少年犯罪が近年急増したと言われているが、実は昭和35年、当時の17歳が最もキレやすかった」、「日本人は勤勉というのはウソ」、「長期的には幼児英才教育の効果は期待出来ない」などと、テレビで知識人がしたり顔で行う社会分析をあざ笑うかのような結論を次々と掲げています。その理由を述べるのに統計資料を用いて説得力があるのはもちろんですが、なによりも語り口が軽妙で揚げ足取りが嫌味にならず、「実はこうだったの?」と単純に笑えます。
全然コムツカシイ本ぢゃありません。だって表紙イラストは吉田戦車だし。