【DVD】「パンチドランク・ラブ」

実は「マグノリア」を未だに観ていなかったりするのだが、ポール・トーマス・アンダーソンとゆー監督を「ブギー・ナイツ」一本みただけで、「この監督のセンスは合うんじゃないか」と気に入っていた。そして、ようやく「パンチドランク・ラブ」をレンタルして観たんだが、これがやはり良かった。
パッケージ通り、闇とレインボーカラーの対比が非常に美しい、「まずは映像ありき」で撮られたんじゃないかと思わせる作品。主人公が常に着ている青のスーツ、ハワイの夕暮れ、スーパーマーケットの陳列棚など、常に色彩を意識してすべてのシーンを作っているようだ。コントラストが強くて、浮かび上がる人物のシルエットが特に印象的。
テンポはゆったり、話の内容もちょっと不条理で、基本的にはラブストーリーで大きな展開もないから、普通なら退屈してしまうところだが、最後まで楽しんで観れたのはこの映像による所も大きい。
ただ、自分はあまりSFだのスペクタクルアクションだのといった映画は感情移入出来なくてあまり好きではないので、この作品のように「なにげない日常の中のズレ」が妙なおかしみを出しているようなものは、むしろツボ。気弱だがたまに感情を爆発させる主人公のイカレ具合にもすごく共感できて、ストーリー的にもほぼ満点を差し上げたい。
観終わった後に、「結局あのシーンは何を意味してたんだろう」とゆー疑問が多々残るが、この不思議な感じも、作品のテイストに合っているような気がした。
感情を激しく揺さぶられる映画もいいが、たまにはこーゆー作品を気楽にさらっと観るのもいいなあ。