【BOOK】「正しい保健体育」 みうらじゅん・著

正しい保健体育 (よりみちパン!セ)

正しい保健体育 (よりみちパン!セ)

みうらじゅん先生が「正しい保健体育」という本を出されました。これがたいへんよく売れているそうです。
この本は理論社の「よりみちパン!セ」シリーズの一冊で、中学生たちが知りたい、でも学校で学べないというリアルな知恵を扱ったものだそうです。装幀も学校図書や副読本として教材に採用されそうな感じで、今までのみうら先生の本とはだいぶ異なっています。
最初この本を見た時は、「長年、童貞をこじらせ試行錯誤を重ねた結果、みうら先生が学んだ『きれい事ではない性教育というものを若い人に本音で語ろうとしている、面白いけれどもマジメな書籍」なのかと思いました。
中身を読んでみると、その見方は半分は合っている気がします。しかし、これを「正しい保健体育」として鵜呑みにして良いかというと、そうではありません。
これは教科書風の文体を利用して、大っぴらに下ネタを披露するという、みうら先生の一種のブラックジョークなのです。
自らの体験を通したことを一般論に落としこむのではなく、相変わらずみうら先生はあくまでも個人的な趣味の範囲内で「性」について述べられています。普通の教育読本には安岡力也氏とDonDokoDonの平畠氏の顔写真を掲載して比較したりはしないでしょう。あかひげ薬局に「弾薬庫」というキャプションを付けるのも間違っています。
中には、「SM」の「S」はサービスのS、良い駄々をこねてきた人ほど良い「M」になるので、「M」はメモリーのMだ、とか、持論が説得力を帯びて、ある種真理に近づいているかのような深いお言葉も述べられていますが、あまり深く感心しすぎないことです。
この本は恥ずかしがりながら夜中独りでこっそり開いて、「はは、ち○ぽとか堂々と書いてあるよ」と笑い飛ばしてしまうのが、正しい読み方といえるでしょう。