【EVENT】「曽我部恵一フリーライヴ@下北沢」
下北へは「ツキイチ松嶋尚美」をゲットしようと思って行ったのだが、もう品切れになっていた。残念。配布場所である「salad bowl」という店を探してうろうろしていたら、いつも古着を売っている、餃子の王将の前のスペースでビラを配ったりなにやら署名活動を展開している様子。ふと足を止めてみると、「本日18時より曽我部恵一フリーライヴ」と書かれた張り紙が目に飛び込んできた。え?今日これから?全く知らなかったのに、なんとも絶妙のタイミングで通りかかったものよ。
ヴィレッジ・ヴァンガードをのぞいたり、いつも通りの行動をしているうちにあっという間に6時になったので、再び会場に戻ってみると、すっかり人だかりが出来ていた。先に出演している「素(もと)」というバンドの演奏が既に始まっていたので、ビール片手に脇からのぞいて観ていたのだが、この女性三人組の演奏が素晴らしくてちょっとびっくり!パーカッションを叩きながら歌う真ん中の人の多彩な表現力にすっかり魅了されてしまった。アコーディオンやピアノ、バイオリンなどを弾きこなす、脇の二人の演奏も素晴らしい。グループのプロフィールを見ると、バイオリンを弾いているのは、フィッシュマンズのサポートに入っていたあのHONZIではないか!夕暮れ時のちょうどいい時間帯に、ちょっとエスニックでゆったりとしたグルーヴを体感出来るのも下北沢ならではと思えた。
曽我部という名前に惹かれてたまたま立ち寄っただけだったが、このイベントの趣旨は「SAVE THE 下北沢」と題して、補助54号線という道路計画に反対するというところにあると知った。確かにテレビのニュースなどでその計画に対する反対運動が起きていることは知ってはいたが、詳しい内容までは知らず、そこまでの危機感を持っていなかった。でも、ビラの内容をよく読んだり、反対運動の代表者の方の話を聞いていると、本当にその道路計画は実行して欲しくないと強く思えるようになった。その道路が環七程の大規模なものになるとは知らなかったし、普段我々が行き来しているあたりを完全に潰し、本当にこの街を根底から破壊するようなものだったとは思っていなかった。これは地元の人々だけの問題ではなく、たまに訪れるだけの我々にとっても、この下北という音楽や演劇などの文化を発信している希有な街の魅力を奪われてしまうことは大きな痛手となってしまう。微力ながら、キャンペーンのバッヂを買い、署名もさせてもらった。本当に役人は何を考えているのだか!もしこれを実行に移そうというのなら、石原支持を完全に撤回するぞ!
さて、到着が遅れ、集まった人々を30分近くも待たせておきながら、少しも悪びれる様子もなく、曽我部恵一はふらっと現れた。いつもカレーを食う「茄子おやじ」にも昔からサニーデイ・サービスのポスターが貼ってあったことからも、彼がこの街を拠点に音楽活動を行っていたことは知っていたが、こういうフリーライヴに快く参加し、キャンペーンの一環として発売する予定のCDも、曲が出来過ぎてアルバムにするという、まさにこの街を愛する人の代表になっているほどとまでは思っていなかった。
その彼の下北沢という街を愛する気持ちが、まさにダイレクトに伝わった、非常に素晴らしいライヴを披露してくれた。アコギ一本抱えてやってきたので、しっとり聞かせるのかと思っていたら、初っぱなからテンション上がりまくりで、早くも二曲目にはマイクを放り出して台の上に立ち、生声で目の前の人々に向けて熱唱。会場を飛び出て通行人に向けて歌いながら一周して戻ってきたり、予想以上の熱演。「青春狂想曲」まで披露し、一部歌詞を忘れてしまうが、客に助けられて歌を再開したりする場面もあり、アットホームな雰囲気の中で楽しそうに歌う彼の様子を見て、ちょっと胸が熱くなった。
毎回下北沢に来るたびに、「うーん、シモキタ住みてえ〜」と言っている自分だが、いつまでもこの「住みたくなる街・下北沢」のままでいて欲しいと切に願う。今回のフリーライヴはその思いをさらに強く思わせてくれる絶好の機会であった。
あ、ちなみに帰りに駅の前で、噂の「漫画読み屋さん」を初めて実物を観た。興味本位相手の外人相手に、真顔でこれから読むストーリーの説明をし、通訳している人も笑いをこらえるのに必死だった様子。
いやあ、いろいろシモキタを満喫できた1日だったでごわす。