メトロノミー。

ナイツ・アウト

ナイツ・アウト

SNOOZER誌の2008年ベストアルバムのNo.1に選出されていたのを読んで初めて知ったMetronomyというバンド。
買って来て聴いてみたが、なかなかユニークな音で面白い。
しかしタナソウが大絶賛するほど、そこまで「傑作!」と盛り上がれなかった。
思えばまだ田中宗一郎氏がrockin' onに在籍していた頃、BeckRadioheadはもちろん、Thermanの「Lux」といったマイナーなアルバムまで、ことごとく彼が紹介するレコードと自分の好みが一致していた時期があった。
レビューの文体も好きだったので、雑誌SNOOZERが創刊された時は毎号買って、「こんな読み応えのある雑誌は他にない!」と、熱心に読んでいたものだ。
でもいつからか、タナソウが熱心にプッシュするバンドをいまいち好きになれなかったり、といったことが続いて、そうなるとあの熱を帯びた文体に、どこか「これがわからないやつはアホだ」という変な「ロック選民思想」のようなものを感じるようになってしまった。
それでも時々、あまり予備知識もなく買った国内盤の解説がタナソウだったりすると、「あー、やっぱり好みが近いんだなー」と思ったりもしていて、評論家としては坂本麻理子氏や宮子和眞氏などと並んで、いまだ信頼しているひとりでもある。
それにしても今回のこのメトロノミーのプッシュの仕方はすごい。2000年代のマスターピースと言い切っている。
確かに斬新なサウンドプロダクションだけど、やっぱりちょっとマニアックというか、実験作の域を出てないと思うんだよねえ。
96年にベックの「オディレイ!」が出たときの、「こんな音聴いたこと無い!」という新鮮さと同時に、「いやこれは全世界でヒットするわ!」という明快さ、ポップさも兼ね備えていることへの驚きと比べると、「ナイツ・アウト」はそこまでポピュラリティを獲得出来るような気がしない。
勝手な言い分だが、「またメディアに乗せられちゃった…」というちょっとした自己嫌悪をともないつつ聴いた作品になっちゃったよ。
snoozer (スヌーザー) 2009年 02月号 [雑誌]

snoozer (スヌーザー) 2009年 02月号 [雑誌]