「告白」

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

分厚い。文庫で1000円以上もするので買うのに躊躇していたのだったが、職場の「ご自由にどうぞコーナー」に紛れていたのでいただいてきた。ラッキー。
しかしエラいもんで、読みにくくて苦労していた町田康の著作群だったが、何冊も読み続けているうちに、こんなに長いものでもすぐ読めてしまうようになった。
特に時代劇的なものってなかなか興味を持てずにいたのが、以前読んだ「パンク侍、斬られて候」が非常に面白かったおかげで、今回の「河内十人斬り」をモチーフに書かれたという作品も楽しんで読めた。
時代設定を無視して現代語も混在するので、真面目に小説を読もうと構えている人にとってはデタラメに感じるかもしれないが、これは町田作品のグルーヴ感を出すためには必要なことなのだろう。この手法、自分は結構好きで、突拍子も無い言葉が乱入してくると、それだけで笑えてしょうがない。
町田作品に一貫しているテーマは、「とかくこの世は不条理だ」ということであろうと思うが、どんどんその混乱ぶりは拡大し、最初は四畳半的な狭い範囲で怠惰な男が空回りするだけの話が多かったのが、もはや時代も超えて、「人間とは愚かな生き物だ」と言い切ってしまえるほどの普遍的なテーマを獲得するに至っているように思える。
次は世界だ、町蔵。