SONG FOR TALES OF THE ABYSS/MOTOO FUJIWARA

SONG FOR TALES OF THE ABYSS (通常盤)

SONG FOR TALES OF THE ABYSS (通常盤)

もう、そのメンバーがステージに立っている姿を見ただけで泣きそうになってしまうバンドというのが存在する。
自分の場合はそれは伝説のスタープレーヤーが勢ぞろい・・・とかの面々ではなく、むしろ逆に各々はミュージシャンとして突出しているわけではないが、この仲間と音を鳴らしたいから音楽をやっているのだという強い思いで結束しているバンドがそうだ。さらにそれが昔からの幼馴染だったりなんかすると、ただでさえ人間関係を保つのは難しいのに、友人であり共同作業者でありビジネスパートナーであり、とにかくあらゆる現実と共に闘っていかなければならないわけで、その共同体を維持出来ていることは奇跡に近い。
BUMP OF CHIKENの4人がサポートも入れず、群集の前に立ったとき、そこには「俺達VS世界」という図式があり、「荒波の大海原にゴムボートで投げ出された生き残りのクルー」のようなイメージを思い起こさせて、どうにも切ない気持ちになってしまう。
そんな奇跡的な結束の下で音楽をやっているからこそ、その一人一人が他の誰とも代えがきかない、誰が欠けても成立しないはずだという思い込みを抱いてしまう。
なので、藤原基央があれだけ優れたソングライターであるにもかかわらず、彼のソロ活動というのは思いもしなかった。バンプ以外に自分を表現できる場などあるわけないと、彼は思っているに違いないと、疑ったことなどなかった。
だから、先日タワレコの新譜コーナーに「SONG FOR TALES OF THE ABYSS/MOTOO FUJIWARA」というジャケットを見つけた時は、本当に動揺した。
「え?何?ソロ名義?」「いや、こんなの作ってるって聞いたことないし。」「バンドより先にソロアルバムなの?」と、年甲斐もなくうろたえてしまった。
その後しばらくして冷静さを取り戻し、CDの帯とかを注意深く読むと、楽曲提供したゲームのサウンドトラック集だということをようやく理解し、ほっと一安心した。
なーんだ、そうかと判れば、「おお、そうか、よーやく一音楽家としての藤原の凄さに世間がスポットを当て始めたのか、よろしい、どんどんおやんなさい」的な、無意味な余裕をかましたりして・・・(なんなんだ)。
そして、ああそういうことならと納得して、手にしたジャケットを元の棚に戻してその場を去りました。
(買わんのかい!!)

いやだって、ゲームやんないし。オーケストラとかで聞いても・・・。
バンドの新作を楽しみに待っています〜。